Search for:
Idol アイドル

松田語録:ベフ・ジェゾスの熱力学的コンピューティングと効果的加速主義



松田語録:ベフ・ジェゾスの熱力学的コンピューティングと効果的加速主義

収録日:2024年3月31日
シンギュラリティサロン主宰の松田卓也神戸大学名誉教授の健康や学習に関連する日ごろのお考えを皆さんにお伝えします。今回はジェフ・ベゾスならぬ「ベフ・ジェゾス」さんの熱力学的コンピューティングと効果的加速主義について。

出演:松田卓也 シンギュラリティサロン主宰・神戸大学名誉教授
   塚本昌彦 神戸大学教授
   小林秀章 セーラー服おじさん
   保田充彦 XOOMS代表
企画・運営:シンギュラリティサロン(https://singularity.jp/)

8 Comments

  1. 汎用プロセッサと専用プロセッサの戦いはもう何十年にもなってますね😊インテルはある意味そこでNVIDIAに負けてる面もありますね。

    フォン・ノイマン型とは言えないGPUもここまで発展してきて、もはやCPUよりでかくなってますし、その中をさらにNPUに切り分けて設計するようになってるところを見ると、専用が特に高度処理では生き残るのも確実で、熱力学的、と言うのも実際に物理的なカオス発生出来れば乱流内の代表サイズが量子レベルになるので超拡散が起こり、上手くコントロール出来れば量子コンピュータ的な動作も将来的には期待可能かなと思います。媒体も水やガスみたいなものを使い、デジタルでコントロールすることである程度の汎用性は持たせられそうかなとも思います。

    齋藤さんもそっちもBitNetのアナログ実装としても進めて欲しいです😊

  2. 現在の計算機科学の理論的な基礎は、チューリングマシンであり、あれは一種の確率論みたいなものだが、物理学の熱力学などと比べると幼稚なものらしい。しかし、実際にコンピュータを使う上で問題ないので、あまり重視されてこなかった。それを、改めて考え直そうとしているのか? いずれにしても、面白そうだ。

  3. 生物は生存コストが低い、コスト・パフォーマンスの高い、要は効率の高いものが淘汰圧を逃れ、子孫繁栄のベクトルを示すというわけですが、自然の展開過程が結局、それを通底しているわけで、自然宇宙を情報展開過程として眺めてみると、結局、情報としての宇宙のエネルギー過程が、全てその流れにあるということになるのでしょうか?
     実はそこから考えてみると、効果的加速主義に対して批判をしている効果的利他主義の立場から主張されているAIアライメント問題について、次のような考え方もできるのでは、と思いました。
     現行人間の存在様態には、「理性的動物である」という動物要素があり、ここに生存繁栄のための資源確保のためのテリトリー争い(領土や資源の取り合い)の原因が残されてしまっています。戦争で殺し合いが、これほど文明が進んでも止みません。
     しかし、個体脳からコミュニケーションによりネットワーク社会脳へ拡張し、そのネットワーク・エージェントに、人間個体脳(社会共同体では、殆ど専門職能・脳で、特化型だと思います)に加えて特化型AIをLLMの自然言語ネットワークで繋げば、グローバル・ブレインの様にAGIが発生すると思います。こうした情報プールに浸るようなAGIは、自然の展開過程である、エネルギー最適=効率化により、現在の現行人間のテリトリー争いをしなくてよい最適解へ導いてくれるのではないでしょうか?効果的加速主義は効果的利他主義の結果を導く気がするのですが、どうなのでしょうか?
     先日の斎藤先生の研究開発でも、消費電力と発熱を抑える、要はエネルギー効率を高める方向が示されました。自然宇宙の流れは、それが底流にあるのではないでしょうか?

  4. 僕にとっては今回のシンギュラリティサロンは神回なので長文になってしまった。

    カルダシェフの文明の等級の概念について聞ける動画はめったにないのだ。

    僕はAIの進歩によってカルダシェフの文明の等級でタイプⅠをスキップしてタイプⅡの文明と呼ばれるダイソン・スフィアに到達することができると考えている。

    そしてダイソン・スフィアのスケールに達した文明が銀河全体のエネルギーを利用するのは時間の問題である。
    なぜならダイソン・スフィアは完全に自律的な機械によって建設されるのだから、その機械に自己複製の能力を持たせ、フォン・ノイマン探査体として宇宙に送り出し、それが目的の星系に到達したら資源を採掘して工場を建設し、自らを複製させてダイソン・スフィアの建設に当たらせるようにプログラミングすれば銀河に存在する全恒星がおよそ1000万年のオーダーで全てダイソン・スフィアに覆われることになるからである。

    これについては松田先生が、1980年代に旺文社から発行されていた科学雑誌オムニの別冊に論説を書いておられた。
    その記事では銀河全体が自己複製するフォン・ノイマン探査体によって征服されるのに1000万年しかかからないという壮大な展望について触れられていた。
    今に至るまで僕の最も好きな科学記事のひとつだ。

    さて、D-WAVEなどが推進しているコンピュータは量子アニーリングマシンと呼ばれるタイプだ。

    D-WAVE社が開発しているような量子焼きなましという方法で答えを出すアニーリングマシンは組み合わせ最適化問題を解く上では非常に有利で、量子ゲート型の汎用コンピュータとは異なり量子ビット数を容易に増やせるので、例えば巡回セールスマン問題などの組み合わせの爆発的増大によってノイマン型コンピュータでは1兆年以上もかかるような問題も解くことができる。

    アニーリングマシンは巡回セールスマン問題のような組み合わせ最適化問題を回路の上にハードウェアで再現するため、量子干渉状態がきわめて微弱な擾乱によって崩壊して計算ができなくなる量子ゲート型量子コンピュータと比較して大きなパラメータ数を持つ問題を解くことができる。

    僕は量子アニーリングマシンの回路構成を何らかの方法で容易に変えることができればプログラマブルな量子ゲート型マシンに近づくことができると思う。

    D-WAVEのマシンは超電導回路を用いているため絶対零度近くまで冷却する必要があるが、齋藤元章さんの講演によれば長大な光ファイバーケーブルを使った光パラメトリック発振タイプの量子回路を使った方法もあり、こちらの場合は室温で動作するため、容易に拡張でき、持ち運ぶこともできる。
    光パラメトリック発振を用いた量子コンピュータをD-WAVEのような超電導回路を用いたマシンと比較すると、量子ビット間の結線数が量子ビット数の2乗で増加し、量子コンピュータでありながら脳のような機能を持たせることができる点が異なる。
    光パラメトリック発振タイプの量子コンピュータで量子ビットを100万まで増やせば結線数は1兆となり人間の脳に匹敵するニューロモーフィックな量子コンピュータが可能となる。
    光パラメトリック発振タイプの量子コンピュータはアニーリングマシンでありながら量子ゲート型の量子コンピュータのような機能を持つのだ。

    だから、熱力学的コンピューティングによる加速主義はよいアイデアである。

    いずれにしても僕はテクノロジーは可能な限り加速する方がそうしない場合よりも人類の未来にとって無限によい結果をもたらすと考えている。

  5. “自然計算”にはすごく興味があります。こっち方面の研究開発はもっと盛り上がっていいと思う。

  6. ブルーバックス「手作りスーパーコンピュータへの挑戦」を何十年か前に読んだ時にはワクワクしましたね。
    あの本では「専門的すぎない専用計算回路が重要。距離の2乗に反比例という計算は多体系問題で多く現れるのでGRAPEではそれを専用回路化した」とありましたね。現在のGPUはもっとプリミティブに行列演算をmassive parallelに行って高速化するという「いろいろなことに使える専用回路」であると言えると思います。
    GRAPEに先見の明はあったと思いますが、GPUというコンシューマ向けの量産をバックグラウンドに先端半導体プロセスを使った「専用回路」を安価に広めるというビジネスモデルの前にはあえなく消えていったというところでしょうか。

Write A Comment