【朗読】林芙美子「羽柴秀吉」 朗読・あべよしみ
林文子 作橋 秀義まずもって日本のハムレットはどの ような人物であろうかと私は 考えるなかなかそれに当てはまるべき人物 がい ない歴史はいわば水物であろう か群衆をくり群衆の花をにう人物のみが 日本の歴史の中に動いて いる愛と喜びで庶民を慰めた人物はおよそ 1人もい ない青空を流れる雲は何もかも忘れた虚し さで流れて いく人間を何千年も何世紀も見捨ててきた 雲の流れのみが ある金星の神々は をえてこられ た栄養師長のごをたかせておら れるさて私はここで私の解釈を加えた ハムレットならぬ豊富秀義を下よのこたつ 話として語ることに しよう明地を滅ぼし柴田一族を滅ぼして 天下の実験を握った秀吉は天井天下何事も 己れのみが幸運に恵まれた人間として心に 何事かを決するものがあっ た天生11年の5 月秀吉は参議に任ぜられ10にじせられた ことから秀吉の眼中には目には見えない ながらも偉大な力が自分には生まれながら にあるのだという過信が分あったに違い ないかつては先輩であり同輩であったもの もそしてまた自分よりもはかな定石にあっ た武将たちも内心はともかくとして皆一応 に秀吉の馬前に廃棄するのを見た秀吉は 我が身の成り上がりであること全てを心 密かに承知でありながら秀吉は下につきの たまるような鬼越の境に入っていた 自分の思いがけなき地位に硬骨となってい た全ての運命は本能寺にあったので ある織田信長が明智光秀に打たれたこと から秀吉の運勢は決まったのであろう か何が幸せになるかはわから ない中のモ方へ征していた秀吉は本能寺で 大臣が秀に打たれたことを知るとふっ光秀 に天下を握られるのをああ嫌だと思っ た信長の敵を今日ただいまずべと言った 直感の聞いたことが秀吉の運命を掴む1つ のきっかけになったと言って いい人間に生まれたものは人間より気高い ものにも偉いものにも良いものにもなろう とすべきではなくまたなることはできない と言ったマルチンビランとの言葉ではない けれども秀吉は思いがけないジシという 地位や参議というくらいにふっ己れの人間 性をその日からすっぽりとすり替えて しまったので ある1階の人間でしかないものが老して くいを得た 心の奥底ではこの程度の遺でとまっている ものかと奢ってきて いる今少し登り詰めたいというおる神馬が 種紙を振って真倉に走り出そうとして いる秀吉は政治の方では人間的であろうと 色々に工夫を凝らし た工夫を凝らすほどその人間的なものは ますますっぽさに落ち込んでいっっ た山崎の活線では秀吉は勝った秀吉は戦い をすることは勝つ以外にないと決めていた し勝つためにはいかなる犠牲も厭わなかっ たどのような美しい風物を見ても秀吉は 忙しい見方しかできない男であったに違い ない晩年近く多くの女性を側近にいてはい たであろうけれども秀吉は美に対して人 一倍の嫉妬心が 強くその美しさをすぐ己れの手足の下で 踏みにじりたい欲望を持っていたの だ秀吉は何事にも勝つことが目的であっ たかければことごとく自分は勝つという 気運を秀吉はよく承知していた 天生10年6月13日朝8時をきして戦い ましょうと秀吉は光秀に戦線富国の所管を 送った 秀吉五大人家ご不死打たれた犬と聞きて 痛恨に絶え ずそのご主意を受けたわらんため急ぎはり て そろ警子のうを騒がしたまらをは恐れを 押し山崎あたりまで打いでた べし秀吉も急ぎは向いそろ べし秀吉はこの手紙に自分でどんなものだ と密かに感激をしてい たこうして気力を考え出した自分の才能を 神々は俺だけを守りたうに違いないと思っ たうまくいけば光秀を打って法音の美名の もに天下が 伺えるもしまた下手をしても仇打ちという 名で構成を飾ることができるであろうし 信長の手下の武将はそのまま秀押しを 見捨ててはおかないであろうという計算も ちゃんと腹の中にしまっていたの だこのような手紙を突きつけられては心に やましくそのやしさに多少の疲れを持って いた光秀は秀吉の手紙を見て早いことだと 思い今更ご主意を受けたわらんため馳そろ とあっては別に知義するわけにも行かない ので ある使いのものにいかにも我らの望む ところ鹿と心へろうと言って光秀は すぐさま山崎へ軍を向けたであっ たせの国境である西国街道はまた戦いが 始まるというので土民は右王さおに家を 捨て田を捨てて荷物を抱えて避難していく の だ12日の昼秀吉は自分の軍勢を島軍の 郡山まで進め たそして馬を丘の上に登らせ 家臣の荒木兵うを呼んでなんじはこの国の 地理には食しかららんあれなるつはなんと 申すぞと尋ねたあれは以前はまずかと申し 来しが中川瀬へ和神をここにて打ちそろう てより勝ちと申し そろと答えた秀吉はこれを聞いてほほう昔 はまず今は勝ち嬉しや軍の門出の幸先よき ぞと非常な喜びよで手を叩いたというので ある秀吉といえども戦いの勝敗を決する ギリギリのところに立っていては多少の 不安があったのに違いないまた他の統一家 をさしてあのつの名はと渋内を向けると あの塚はぬかずにそろ柄の通りに進めば 山崎にて そえと言った秀吉はふっと思いついて大音 に声を張り上げてやよ物どもぬは馬に くるるものぞ味方はまかにあり敵方はぬか にありこの軍味方の大勝利だあら 心地よと呼んで自分の軍勢へのしをかけて いっ た我々が生まれついた性質以上のものに なろうとする時にはもうすでに我々は必ず その性質以下のものに堕落するものだと エドガーポはこのようなことを言って いる全く幸運にありついた人間が人間と いうものを甘く見積もった時にその人間は 半神半中の悪魔の門の中へ片足を踏み入れ ているのに違い ない東の男山西の天王山辺りからも続々と 避難の市民が最街道へ くる秀吉はふと馬上から病人を乗せていく 荷車を長め た病人は白髪の老人であったがその目は 恨むようなまなざしで じっと寝ながら荷車の上から馬上の秀吉を 見てい た秀吉はその老人の目を注視してい た病人は少しもするところなく秀吉の目を 見つめかして いるその肉しげな目の表情にあって秀吉は 瞬間瞬きをして自分の目をそらし たドミごときの差しに負けてはならぬと また馬を返して荷車の病人の目を見つめ かし た心が焦った切って捨てようかとも思った 不吉気がしたかつての遠い昔にこのような 場面があったような気がし た息子らしいのがその荷車を引いていた 屈強な若者である秀吉はその若者の百姓を さらって妊婦に使ってやろうかと空想をし たどこのものとも分からぬ虫ケラのような 土民の眼光に押されたということが秀吉に はは腹に据えかねるの だ沈黙の光義をその目の光の底に眺める えいお前が貧乏くじを引いたのだわいと 秀吉は腹の中でつぶやくの だ暑い日差しの落ちかかるところ西はハエ を撒き散らしながら病人の上を照りつけて い た秀吉は走って通り抜けていく土民のすげ がを金重に取らせて病人の顔の上へかせる ように命じ たあの正期末的な眼光は傘の下に暗く隠れ てしまっ た秀吉はすっと気が変わっ た明日の戦場はあの山崎であるぞよまず あの山から戦いとるべしとを た堀義春を呼んで明けの勢は昇竜寺で あろう距離もよほど近いぞまず試して何時 はあの山へ 向かえと言っ た秀吉は馬に乗ってあちらこちらの視察を する夜になっても避難の土民はのろのろと 出しきて敵か味方かの用人がなかなかつき にくい今にこの辺りも火の海となるで あろう予想で土民は持てるだけのものを 持って安全な地帯へ避難していくの だ時々野人のそば近くで赤子の鳴き声が 聞こえたり するその赤子の声は元気のない枯れたよう な声で細細 いつまでも続いてい た秀吉は一軒の荒れでの中に本人を構えて い た物実から戻ってくる兵の報告が次々に 来る明日の朝8時をきして光秀と秀吉両軍 の日は切られるので ある秀吉はのに打つ雨の音を聞い た鉄砲の玉が雨に濡れるのは配線のもだと 早速下のものに命じて大いをかけ させる筒井純系の行動がどうもはっきりし ないからご注意ありたしと忍びのものが 言ってきたけれども秀吉は運を天に任した 以上は味方と 思うつい方がどうであろうと構わない気が してい たほが峠をしているらしい様子で ある秀吉は昼間見た100勝の病人の目が 時々まぶに浮かんでき た今日の運命を取り逃していたならば自分 もまたあのような百勝の惨めな姿で戦乱の 中を逃げ惑うているに違い ない自分の家族だけの力で自分たちの命を 守らなきならない不な運命を秀吉は過去の 勝姿の自分に当てはめて 考える何が本当の生き方かは知らぬもう 全ては運命の女神に任せてしまった以上 乗り越えてもう今は全てに自分の人生を かけていかなければならないのだといつ までもあの百勝のくすった不気味なを 思い出すことが秀吉は口惜しかっ た 翌朝正軍は矢を放っ たまた琢に天王山は味方堀モ義春堀九太郎 秀正によって落とすことができ た1番良きの兵を率いていたほが峠の筒井 純系も心の木を捉えたものであろうか 昼過ぎにはさっと三方に兵を分けて敗色の ある光秀の人の方へ迫っていくようで ある秀吉は心密かに筒純系のいらしさに 侮りの心を持ちながらも表面ではとても 嬉しいという表情を見せてこれが戦いの 駆け引きであろうかと笑っ た一方の武将といえどもてはこの いやらしい駆け引きで今日を生きてきて いるの だ何事もこれが人の世の低たらなのだと 秀吉は心々に純恵を笑いながらも純恵の心 の乱れを面白いものに睨ん だ近平の馬印を先に式の派手な吹き抜けを なびかせて秀吉も騎兵を従えて山を勢い よく下っていっ た秀吉は山崎の活線には勝っ た死yetの罪は光秀にきし復讐の皇は 秀吉の敏な頭で求めずして得ることができ 秀吉は信長に対しては大中心ということに 世論は決まってしまったので ある秀吉は信長への法音のの気分も多少は あったのだけれどもそれよりも1番心を 占めていたのは明智が天下を取るという ことが1番不愉快に思っていた一時で ある何よりも光秀の水色の字に気強の門ど が警視にたくことを考えるのはやりきれ なかっ た信長はもうすでに光秀に打たれてしまっ た 打たれて死んだものはどうにも仕方がない の だだが秀吉はふっとこの目の上のコブで ある君主信長の死に対して心密かにほっと するような思いもないではなかったと 言える時はいよいよ俺の上に走ってきた ような気がしてき た信長の遺族である信勝信孝三謀シを囲ん で信長参加の武将それぞれが心ならずも 秀吉の光秀を打った皇を認めないわけには いかなかったので ある尾の清洲の城に集まったもの池田商庭 五郎蜂や出の神筒井純系中川生兵佐現場 前田俊 さっさ倉之助モ秀北畑少々 信勝神部三郎 信その他柴田勝橋秀吉高山羽のそれぞれが 途上してき た柴田主かは小田にとっては重心であり 年頃ももう50を過ぎた年配であったので この人の発言も重であったのはもちろんで ある柴田克は大柄な男でおよそサメ老古評 の秀吉は骨格がまるっきり違ってい たしれ顔の中で一番立派やかなのは竜とし たダバであり目はララと高野ごとく鋭いと いうことであっ た秀吉のこの旅の軍スコブル高く予防全て 秀吉の上に集まってこようとしているのを 柴田勝井がいい気持ちでいるはずは ない北の小の短大として悠々と収まってい ては小坂秀吉が何をしでかすか分かった ものではないので あるかはおいのさ森というのを連れてきて いたので早速腹の中を割って相談をけてみ た何しろ今度の直前の校は大したもので誰 も彼も一応は彼を褒めそやしているけれど もあの男は家康ほどの慎みもない人間だ からますますこに誇り胃を張って世を しのぐに至るのは必で ある今のうちに何とかしなければならぬが 理由なく殺してしまえば人は世のことを 嫉妬深き男と言うであろうそれゆえ今日の 清洲の表情に託して彼と争べしその時男が 矢庭に飛びかかってきて彼を切って捨てて はくれまい か何しろ考えもなければ学問も知らぬ土木 上がりの秀吉だからこのままで行けば何を やり出すかわからぬ1つうまくそこの ところを森ましっかり 頼むと言われて血気な青年の森まはそんな ことはたやすいことかいのためならばスカ も厭わぬという仲のいいおじおいで ある彼はうまく秀吉をとっちめてあっさり 爪を切らせてやりましょうと計略を構えて い たいつの世も同輩愛はむということはあっ たので あろう企む願える密告 するこの戦乱時代は全てこの3つの柵に 人間は堕落しきって天とはじることなき 社会であったので ある清洲の表情では柴田勝は信長の側室の 子信高を後として押したすると秀吉はその 時3歳の三宝シ殿を差し て信長校のご性質に生まれた信孝の子三方 丸様が政党のおすめだとしてなかなか譲ら ないので ある今やこ ご高い増しました後たい3歳のお孫さんで 弱小の恩家とはいえご正着にわしますこと 誰も疑う余地のないところをいかにご武勇 優れた方とはいえご側室の方に生まれた信 殿を王子になりますのはちとご無理では ないかと言っ た波いる諸は曖昧もことした心でちょうど 筒井純系のほが峠を気取ってか誰も口を 関してこの2人の議論を拝聴しているだけ で ある秀吉はじろりと波いる武将を見渡した 皆それぞれ貝殻の蓋のように秀吉の視線 からまぶを閉じて いく秀吉は腹の中でふふんと笑った 去勢されたようなこの大人しい武将たちを 手なずけるのは今で ある勢いのいい方へなくは必で あろう議論は声の高い方が勝ちなので ある声は思いっきり張り上げて辺りを平原 して精一杯の見を張る以外にこの急場を 利用する道はないので あるその反対に柴田克はなんとなくやしい ので土を含みながらも言葉は至って穏やか であっ たいかにも三帽子殿はご正当ではある けれども今のところは天下太平とは言い がい世の中である西にモ大友島あり東には 北条上杉伊のの達人が控えている泣き殿の 意で東西の大敵を滅ぼしていくには三宝し 様では 心もとなこのところはご勇の優れたのぶ殿 をいだくのが正当ではない かの秀吉はなるほど胆読めたりとは思った けれどもありは水を打った としている秀吉はにこりと笑って大声で 言っ た死殿の押せられる通りなり三宝丸様では 軍のさしずなぞはご無理なことは承知なれ どいかがなもので ござろうしるべき役を立ててお守りするの もおかしいことではおざる まい年と言い輩といい大の五過労の家柄と いい柴田勝殿をおいてはこの補佐役は ござるまい三謀しま気味をいいて柴田殿が 采配を振りたばここに波いる人々は喜んで 見場のロを取ることと存ずる これ正当なることではござるまかの もの驚きも去るものながら手裏かいへも 驚いてしまっ た秀吉がバカに砕けているのであるだが 武将たちは滅多なことでは口出しすべ かららずとうっかり口出しをして寒い思い をするよりはとただただ誰も彼も黙りこっ て いる秀吉は私がおってはご団子もしづら かろうと さっさと席を引き上げて遠い座敷へ行き 涼しいところでごろりと横になっ た金重のたまり部屋と見えて机の下に夏ば が脱ぎ捨てて ある床の壁にはバカに貧弱な大東が 立てかけてあっ た机の上には満々と牧10を称えた大りに 庭の青葉が反射し セミがかまびすしく泣きたてて いる秀吉はネタなりで手を伸ばして机の上 にある帳面を引きずりおろし た天井を向いたまま両手を高く差し上げて 帳面をパラパラとめくっ た何事も俺にはわからぬ戦いのための戦い は この有なる天地に対して不合しごく なり人間を作れと死は 言う人間とは何で あろう日や戦いの策のみ考え我々は1つで も敵の印をあげんことのみに救急として いる何のために罪もなき敵兵の印の数を 誇るのか意味がわから ぬ秀吉はじんと頭がしびれてき たかやにでも行ってゆうゆうと無の境に 彷徨うているであろうこがの青年のおかが この達筆な文字から 伺える秀吉はその長面をそっと机に戻し た腕を枕にして目を閉じた自分の侍では ないので別に怒る気もしなかったがこの ような男は秀吉にとっては見所はないので ある人生に精子をかけない男に出世は望め ないのだこうしたふんただならぬ中に有 なる天地なぞと言っている暇があれば馬に でも乗り野山を少し走り回ってくるが 良い歳月は人を待たないのだ人間は短い 障害であるこの天地をうまく乗り回して しまわなければ意味が ないうとうとしながら秀吉は廊下に足音を 聞いた若い声でああ気色が悪いと言って いる馬鹿に青いしているがどうしたうん口 から長い虫がよろよろと吐出してきた 引っ張るといくらでも胃袋から出てくる 汚いやつだ な山崎の活線で蛇を食った祟り だ秀吉はうつらうつらと若たちの話を聞き ながら久しぶりにのどかな気がした 久しく自分も妻には合わないねねのところ へ1度戻ってみようかと思っ た母も妻もジシという意に驚いたことで あろう今に自分はもっともっと偉くなって 驚かせて やる秀吉は機嫌のいい子供のように むっくりと起き上がって誰ぞ冷た水を持て と怒鳴っ た清洲の城も天地有休なぞと戦いを暗示顔 の侍がいるようでは長いこともあるまいと 秀吉はまたスタスタと会議の場所へ出向い ていっ た庭には涼しく水が巻かれて いるだいぶ飲んできたと見えて佐森まが 秀吉のそばに座った なんとなく表情に殺気がみって いる秀吉は単純な男よと思っ た森まはさっきは秀吉に叔父の担い絵に花 を持たせてさっさと別室へ引き上げられた ので秀吉の胸に刃を向ける機会を失ってい たけれども今度こそは機械を捉えなければ ならぬと思った 列座の武将もまたこのただならぬ気配を 察している様子であった秀吉はわざと 大きい声でああ熱いことじゃのとすっと 立って勝井のそばに行って座っ た秀吉の留守の間に参謀奉仕が後目を取る ことに決まり全ては秀吉の言葉通りになっ ていたのであ あ秀吉としては誰がどのように後目を取っ たところで大したことはないのであった けれども信という男は秀吉の勘に触ってい たので ある経略を用いてあ長の未亡人小谷の方を 信は勝井へに再婚させようと口を聞いて いると知ってからは は信をひどく嫌ってい た小谷の方は信長校の妹君で絶世の美人で 聞こえの高い夫人であっ た秀吉は前々からこの35歳の小谷の方の 大柄な水々しい美しさを心々に恋していた ので ある小谷の城落城以来10年間を未亡人と して暮らした夫人で ある秀吉は長らく長浜の城へ戻ってねねに 会うことも控えていたのはこの小谷の方へ の悶々とした気持ちがあったのも1つの 理由であっ た長い間心にかかっていた夫人を勝に取ら れてしまうということは秀吉にとっては 辛いことであっ たなんとかし信には一報いてやらなければ ならないと思ってい た有国頃になってやっと医療配分の会議に なり兄の信勝は終わり以北伊勢大美の 100万国をもらうことになり清洲の城に 収まることになっ た弟の信は野の国をもらって岐阜の城に 収まりそれぞれ分割されて話し合いはつい たが勝は思い出したように越前北の商より あまではほど遠く時々の参考にも便利が 悪いので竹前殿の長浜をそれがしに賜る わけには行くま かのと言った秀吉は考えるところがあった のでこの嫌がらせを少しもためらうこと なくあっさりと長浜ご万国の城を勝に暮れ てしまっ た勝が自分の領土から遠く離れたところに 小さい領土を持ったところでいざ活線と なればその領土を取り戻すのに何の手間暇 がかかるもぞと秀吉は勝井への長浜を欲し がる気持ちがが哀れでもあっ た何もかも応用に構えて波いる武将の人気 を得ることの方が秀吉には大切な戦略で あっ た秀吉は成り上がりもだがなかなかの 太っ腹で欲気のない男だと思い込ませて おくことが大切であっ たこのように多くの武将が一同に解する ことは珍しいのである ここで芝居を見せておかなければならぬと 秀吉は勝井へのなすままにしておい た野々が始まっ た貝には滞りなく住んだのでみんな くつろいで酒を過ごし たかいは中でも大使家であったので大敗で 霊主を煽りながら赤ら顔に目をララと 燃やして秀吉に向かって冗談かしく 話しかけ た我らの今日あるは一心に武幸があったと はいえまずまず祖この軍港にもよることで あるだがエゼ度のおは馬の口取りからおり とりお茶坊主温土木と小心あって我々同様 の大国の漁師となられたることは大したご 出世のの仕方で ござる何かご新人の向きとか内々のお 引き立てとかござったのか光学のために1 つお話を受けたりたいものよ のすると秀吉はにやりと笑って心の中では この追いこれれ目が今に秀吉に人吹かさ れることを承知すべし とされ いかにものお話なり秀吉がこのようなもの になりそろも柴田殿のご水魚が多分にお ざったからにそえ木下吉郎の頃足軽として しばしば親方へ参りそろ以外には何の新人 もいたしたことはこれなく 相老と言ったすると勝はこれはれに腕押し の略できたか急に肩を叩きながら ああ行こう肩が張りもした1つこの脇 あたる中に昔の藤吉郎を思い出されてかい の方もみたまわる親切はなきやとじろりと 秀吉の顔を勝は底意のある目で見 たはその眼色をじっと睨み返し た笑いながらお互いの目は睨み合って いる秀吉は山崎の活線で見たあの病人の 眼光には負けたけれども勝の眼光には負け なかった睨み返し た勝はシパシパと瞬きをして あははと目を伏せて笑いながら大っ た親にも人修理殿のこといざ早速揉んで まいらすべし秀吉はさっとかいへの肩を つかんで力の限り肩をつまんだ勝はこいつ やりおるわいと思ったが何気ない風で ごろりと横になり腕から腰へと秀吉に揉ま せる 主演竹縄ではあったが波いる武将から城の 侍たちまでこの勝井への巨continu 武法には呆れ返り南な真中に行りを感じ 秀吉に道場の目を向けてい た秀吉はこの大勢の自分になびいた気持ち を知るとああこれで良いのだと一層 ニコニコとしてみせた 直前殿の昔よりもなかなか上手になられた わいいそ上手なところで足も1 つそう言って勝が大引きでねいてしまうと 秀吉はさすがにむっとしてふっと顔をあげ た森まがさっきからじっと秀吉の顔を見て いるのだすると 森は額に青筋を立ててきりたっ た前殿のおは親にも等しいなと口はたき ことを押せられるがその心の無念さっと額 に現れたるわ口と腹とは違うものいかにも 偽りを吐きたもう よ森はここでなんとか秀吉を打つべしと 思ったからを含んで秀吉のそばへ詰め寄っ て いく何も心の無念を隠してまでこのような ことをなさるには及びますまい根が土百姓 の成り上がりもゆえ武将の魂はちあらぬと 見える わ波いる武将このようなこともあるものか と皆酒が回ったせいかボツボツと自分 らしい意見を吐きかけようとする気配の 見えた 時いや作守正どのそれは間違いない なるほど秀吉土省の出でござるまだ東吉郎 と言って柴田殿の肩を揉んでいた時はおは まだ生まれしか生まれざりしかの時なり その頃の柴田殿はりゅりたる体つきなりし がただいまもみながら思うようはまに年を 取り たまり往年の半分もなき肉づきなり我にも あらず驚き悲しみたる次第なり大切なるお の上なりおにも心して守らせた 前秀吉は凸と言っ た森ま心の中ではしりをしながらもこうし た美しい言葉には歯向かうことはできない 列座の武将は初めてほっと眉を開いた けれどもどの人の心の中にもかいと森まに 対しては心よく思わなかっ たかって秀吉に対して人物の大きさを知り 秀吉の人柄というものに打たれたかのよう であっ た秀吉はいい気持ちであった先輩の知恵の ない猛進ぶりをこっぱみに叩きつけてやっ ような気がしてさてここが宴の引き上げ時 ぞと秀吉は少々腹が痛くなったと糸を告げ て宿舎へ帰っ たそぼ降る雨の中を3の金重のものを連れ て秀吉は今日の清洲の会議を忘れるものか と思っ た祖先の家柄が何であろう百勝女の連れご として義の父を持った情がこれがまた何で あろう行くところまで行ってみるこれが 秀吉のたった1つの通り だ北の小あたりの追いこれれ侍に負けては いられない秀吉は馬上をしずしずと行き ながら暗い夜が幸せであっ た暗いということが物もう考えを深くする いくらでも計画が浮か 時々木の小に頭が触れるとパラパラと しずくが降りかかっ た馬は水しぶきをあげて寂しくいな なく甘い悲しみの霧が久しぶりに戦いに つかれた秀吉に女を欲しいと思わせ た小谷の方はどうしておられるであろう かあって小谷の方の手に触れてみたい気が が する信長一族の美貌が秀吉には遠い人の ように 思える自分に自慢のできぬものは生まれ ながらの卑しい風貌で ある金重の者たちは馬上の主人が黙って 歩いていることに同情をしてい た中でも故障の清さはこいの宴の一時が 腹立たしく素は何かある場合は秀吉の 身代わりとなって命を捨てる覚悟であっ た戦闘の松が時々消えかけようとしては 西風に煽られて暗い中に王を引いて いる秀吉は急に寂しくなっ た 清正このまま長浜に戻る ぞ長浜へ戻ると秀吉に言われて清正ははっ と胸を疲れた 定め主人は悔しいためであろうと思っ た森まは酒の酔いを買って夜討ちに来るや もしれん若い者を相手に手間の取れる 小競り合いは面倒なり宿舎のものせいなし て夜道を長浜へ 戻れよ秀吉はこのまま少数の友を連れて 感動を行くつもりなりかい森まの花を 明かして秀吉の知恵のあるところを1つ 見せてやるの じゃ清の城では勝はこの甘を幸い血気な森 まに下地して牙20期ばかりを仕立てて 秀吉をうにやらせてみたが秀吉はすでに 宿舎を引き上げて長浜へ戻っていった様子 で ある後を忍びに追わせてみたが秀吉は とっくに感動を通って長浜に戻った様子だ と聞いて森は秀吉を打つ機械を永久に失っ てしまっ た秀吉は森という男を憎くんだけれども その荒々しい正常は育ちの良さから来て いるわがままもとしてかって魅力を持って 眺めてい たいつかは手付けて己れの膝に屈しさせて みたいと思った 若いからと言って別子することはできない どんな出来事が目の前に来てもあの男の前 に己れの顔を崩してはならないと秀吉は きっといつかはさ守正をくすぐる時も あろうかと含むところがあっ た秀吉は長浜の城を約束通り早速柴田に 明け渡して宝デラ城に帰った まもなく小谷の方が3人の娘おやおは小野 を連れて北の章へとがれたことを聞い た長浜の城は柴田の容姿カが上司となって 引っ越してきた様子であったがこれは秀吉 の思う壺なのであるカは病弱で勝の愛情 薄いもらい息子であった勝は追いの現場 盛正を出来合いしていたのでこのカは いわば隠居させられたような形で長浜の城 の留守役に収まったので ある秀吉はこれでは我が家の玄関版も同じ ではないかと心の中で勝井への知恵の浅い のを笑ってい た磯にはうウを見ているようにまに頼りの ないカであるカは勝の老親今兵の息子で勝 が皇帝容姿としたのだけれど勝は自分の妹 の息子である森まに愛情が移りカに対して は全てがよそよそしい態度で向かってい た北の章へ戻って小谷の方を迎えたかいは なんとない予感がして雪の解けるまでは どうにかして秀吉の機嫌を存じてはなら ないと考えてい た屈して清洲の時の輪を入れるのは不愉快 なことではあったけれども北の小のこの 常夜に余る雪を犯してまで戦いをすること は不利だと思えたので ある側聞するところによると秀吉は警視で 政務を取り中電をも許されたと聞いて勝は 雪を待ってどうしても秀吉を打たなければ 身が立たないと思い決してい たそれにしては雪解までは秀吉を騙して おかなければならないのであるそれにして もかいは秀吉の幸運を不思議なことに思う のであっ たいかなる手腕があるのかは知らない けれども家康という豪のものも近くには あるのに辺りに人ごき天意無法の振る舞い が尺に触ってならなかっ た中へ対しても何かと贈り物をしているの に違い ない貧しいものに狭いをしたり警視の民心 を引くことに大宣伝をしている様子も勝に はおかしいので ある秀吉という男は政治の根本を甘く考え ているとかいは苦しくっ た勝はそうした秀吉の小さの聞く品のない やり方が不満であっ た家康は怖い存在ではあったが秀吉は雪解 さえ待てばたいなく打てるような気がし た秀吉は秀吉でまた柴田克へ対しては深く 含むところを持ってい た雪に閉じ込められている時にまず信を 打たなければならないと計略を巡らしてい た信を打つことに対して他の武将は依存は あるいと信じてい た色々の活線の経験をなめてきて秀吉は 兄弟愛戦い主従愛争うをつくづくと見てき ているせいかもう何ほどの過もなく敵を敵 として誰をも信じない方が習慣になってき ているの だ己れ以外の誰をも信じない信じるという ことは秀吉は利用することだと悟ってい たくいも富も望むところも得られたけれど も秀吉は小谷の方においては腐敗をなめ させられたような気がしてい た妻としてのねねにはもう女としての謎が なかっ た秀吉は高きな小谷の方を自分の生涯の 恋人として絶望していたので ある小谷の方が心から勝を愛して嫁いだと は思われないだけにその略が秀吉には不 愉快であっ た信の嫌がらせが秀吉には清洲の時の勝井 への思い上がりと一緒に口惜しくてたまら なかっ た小谷の方を勝に取られたことだけが秀吉 の出世の光栄の縁の中の一辺を書い たこの苦しみは誰にも言えないものである だけに苦しいの だ合戦をして勝ったところでもうその女は 遠く去ってしまっているの だこんな不完全な幸福はありえないと秀吉 は無償に腹立たしく なるこのような考を持っている織北のから 思いがけなく前田俊ふ克金森長それに長浜 の柴田克までもまじえての使いが秀吉の ところにやってき たことのご高いの後包有同士戦を挑まん理 に合わ ずかい殿と まつって末長く若気を守らせ たまえこうした使いの言葉を聞いて秀吉は 何事も承知の上で顔だけはニコニコと笑っ てみせたので ある柴田殿は信長校の獣心であり老師なり 押せられること最もし秀吉慎みて敗申さず ろ と答えてやったので3人の使いはほっとし て喜ん だそして秀吉に熱くもてなされて4人は 去っていったのだ けれど3人の使いがまだ北の商へ戻らぬ先 に麻野長八須正々木村しこたちの面々が 秀吉のところへ来てどうもあの使いのコタ は油断なりがたくそろと注意を促し た秀吉はニコニコ笑いながらみ承知のこと なり北国は青春までは深い雪なり 上国料は見えたることなり まずこの木を一しては刑を失う恐れあれば 義父の信を落とすが必要なり先に清洲の 会議の右あ城修理の間若気秀信の弟秀典を 義父に預かったままあには返さずその上に 多くの老人を抱えて兵備を着々進めている よし今が内なりと 考えるまず清洲の信勝に図って長浜を取る べし越前兵の出ろをふぐが肝心の ことなりと言って秀吉は12月の中旬に 大軍の兵を引き連れて慌ただしく長浜の城 をかめとってしまっ た柴田克はすでに心から秀吉になびいてい たので ある秀吉は子供魂のような人情を持ってカ を中に納めることができ た洋勝に対して勝は少しの愛情も持っては いなかったので ある秀吉は精神をも動かすことのできる 勢いであることをカに見せるべく勝と森ま の悪行をカの老身木下半兵徳永典大金 大八郎に吹き込んであった何事も親子の フアを利用してのことであっ た世の中はまた混乱のきしが再び見え始め てきた 琵琶湖開きてこの戦いはどこまで伸びて いくかは分からないほどの不安を見せかけ て いる土民はまたも家屋敷電波を捨てなけれ ばならない運命が迫ってきてい た民心は不安におき物化はひしに登って いっ た慌しい朝夕の中をこの活線に遭遇する 土民の1人1人は意味もないこの戦いの 効果のなさをよく承知していながら癒し ものとして訴えの言葉を封じられてしまっ ている以上は身の安全を測ってどこかへ 逃げていくよりしよがないので ある金のあるものは深く土を掘って埋めた 穀物を持っているものは自分の電波に小屋 を作ってそこへ隠して万人をつけ た娘は顔を泥で塗りたくって昼間は見知ら ぬ男たちには顔を見せない工夫をしなけれ ばなら ぬ やがてヶを中心にして予後の海あたりから 陛下は北国街道へ伸びていきそうで ある秀吉は活線の道筋の辻辻に土木や妊婦 を募る高札を出させ たもちろん高い賃金を払うという 見せびらかしも付け加え たこうした中に徳川家康は三川部将の柵を じしてじっと城にこもったままこの秀吉の 派手な活線の状態を静かに眺めて動こうと はしなかっ たただ城から話す忍びの報告を大切に 聞き取るだけでひたすら中立の地位を守っ て固く心を崩して早まることをしなかった ので あるJA
『林芙美子全集』(文泉堂出版)より朗読させていただきました。
林芙美子作品リスト
林 芙美子
（はやし ふみこ、1903年〈明治36年〉12月31日 – 1951年〈昭和26年〉6月28日）は、日本の小説家。本名フミコ。山口県生まれ。尾道市立高等女学校卒。複雑な生い立ち、様々な職業を経験した後、『放浪記』がベストセラーとなり、詩集『蒼馬を見たり』や、『風琴と魚の町』『清貧の書』などの自伝的作品で文名を高めた。その後、『牡蠣』などの客観小説に転じ、戦中は大陸や南方に従軍して短編を書き継いだ。戦後、新聞小説で成功を収め、短編『晩菊』や長編『浮雲』『めし』（絶筆）などを旺盛に発表。貧しい現実を描写しながらも、夢や明るさを失わない独特の作風で人気を得たが、心臓麻痺により急逝。
その生涯は、「文壇に登場したころは『貧乏を売り物にする素人小説家』、その次は『たった半年間のパリ滞在を売り物にする成り上がり小説家』、そして、日中戦争から太平洋戦争にかけては『軍国主義を太鼓と笛で囃し立てた政府お抱え小説家』など、いつも批判の的になってきました。しかし、戦後の六年間はちがいました。それは、戦さに打ちのめされた、わたしたち普通の日本人の悲しみを、ただひたすらに書きつづけた六年間でした」と言われるように波瀾万丈だった。
(ウィキペディアより)
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#朗読 #林芙美子 #短編小説 #文豪
2 Comments
秀吉が茶々さんを嫁さんにしたのには、もう、権力乱用にも程がある。
林芙美子氏は人間観察が鋭いな〜と思いました。
素晴らしい朗読劇を有り難うございました。
羽柴ですものね😊 有り難う御座いました～♪