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地下アイドル

【感動☆厳選5本総集編】一族全員が医師の彼女の実家に結婚挨拶に行くと、義父「両親がいない?てことは低学歴か!大学も出てないような底辺がよくうちに来れたなw」彼女「お父さん、彼ハーバード大学卒よ」朗読

【感動☆厳選5本総集編】一族全員が医師の彼女の実家に結婚挨拶に行くと、義父「両親がいない?てことは低学歴か!大学も出てないような底辺がよくうちに来れたなw」彼女「お父さん、彼ハーバード大学卒よ」朗読

【感動☆厳選5本総集編】一族全員が医師の彼女の実家に結婚挨拶に行くと、義父「両親がいない?てことは低学歴か!大学も出てないような底辺がよくうちに来れたなw」彼女「お父さん、彼ハーバード大学卒よ」朗読

女は生活が安定しないような男となんか 結婚なんかしないましてや今の女たちは 下手すりゃ男より稼ぐからなそれを目当て に寄ってくる男もいるだろう女は稼ぎ頭の 男がしっかりしてれば安泰なんだ苦労の ない母親を見て育ったお前がス苦労する ような男と一緒になんて暮らせるわけない だろうもうやめて よ江莉香が立ち上がっ たその日は朝からどんよりと曇った日だっ た少々気が重い俺はさらに気分が 沈むだがそんなことは言っていられない クリーニングに出したばかりのスーツを着 て気合いを入れ た俺は宮沢県28歳のサラリーマンだ今日 はエリカの両親に初めて会いに行くエリカ は同じ会社の後輩で付き合ってすでに3年 になる俺が新入社員の研修補助をして 知り合い親しくなったエリカの父親は都内 で総合病院の委長をしているという祖父が 初代の委長で江莉香の兄も医者という エリート一家だだがカはがなくどちらかと いうとサバサバしたタイプでそこが魅力だ でも世間一般的にはいわゆるお嬢様なんだ と 思う家柄や親の職業にこだわって色々と 言われるんじゃないか俺にはその不安が 消えない江莉香にもそれは話してい た大丈夫よ私は気にしないからけ君も何 言われても気にしないでねいやいやそれで 済む問題じゃないだろう付き合い始めた頃 は自分たちのことしか見ていない彼女は ブランド思考ではないから言われるまでは 大病院の医者の娘だなんてことは思いもし なかっ た私はそんな家に生まれたことを誇りに 思ったこともないし自慢する気もない のそうあっさり言うのだが育てた側は違う だろうとにかく俺は俺でしかないのだし 誠意を見せるしかないと思っているじゃ なかったら最初から親に会うなんてで きっこないあ来た来たこっち よ江莉香が手を振っている場所は都心の ホテルのカフェだ俺は時間に遅れるのが嫌 だから普段から早めに 動く待たせるよりはいいと30分ほど早く ついたのだがエリカがもう待っていたえ俺 を遅れた違うの父がせっかちなのよこう いう時は大人が後から来てくれたらいいの に江莉香が膨れている言ってくれれば もっと早く来たのにいいの先に来て威圧し ようって魂胆なのよ本当意地が悪いんだ からこれは悪戦しそうだまだ何も始まって いないうから俺はため息が出たとにかく 覚悟を決めるしかない

普段はシンプルであまり聞かざらない エリカだが今日はスーツを着ている俺が見 ても一目でブランドもと分かるスタイル だった本当はこういう風にクラスコなんだ よなと後ろを歩きながらを持ってしまっ たおはにめにかかります江莉香さんとお 付き合いさせていただいている宮沢けと 申しますお待たせして申し訳ありません 本日はお忙しい中をいだきありがとう ござい ます俺を迎えるのはエリカの両親だと思っ ていたのだが祖父母もプラスされて大人が 4人もいた場所も下調べしたカフェでは なく個室のある高級レベルの方だった正直 言って入社の面接より緊張した入社なんて 縁や実力がなければ落ちるものだしダメで も他があるがこれはそういうわにはいか ない私が会社で新人の頃からお世話になっ てる宮沢主人よ紹介するわねこちら私の 両親と祖父母ですどうしてもってついてき ちゃって エリカエリカの母が小声で 嗜める祖母が俺を見てちょっと申し訳なさ そうに笑い俺は軽く頭を下げ た俺の隣にエリカ向い側に大人4人という 構図だとてもじゃないが俺はお茶なんか 飲める余裕はないそれなのにけん君何に するキャラメル巻きにしようか好きでしょ あそれともまっちゃラテおばあちゃんが 飲んでるの美味しいっていやいやいいんだ よこんな時はコーヒーで2人でスに来た わけじゃないんだ俺は焦ってアメリカンと 呟いたあらなんでコーヒーなんかどこでで も飲めるじゃないのここのおすめにしない ストロベリーベアだって エリカさっきよりきつめの母親の声に俺の 方が背筋が 伸びるアメリカの2つあ私はアイスにして くださいちょっと拗ねた声でエリカが注文 を済ませた頼むからこんなことで家族を 刺激しないでくれなんなら俺は缶コーヒー でも一緒のこと水道水でもいいん だ宮澤君と言ったね来た江莉香の父が俺に 言葉をかけてきたはい江莉香から聞いてる かもしれんが私はワンガンメディカル センターの委員長 ですそう言って名刺を渡そうとするので俺 も1枚さしたし交換し た満貫メディカルセンター総合委員長松井 孝幸と書いて ある顔を上げると江莉香の父はまじまじと 俺の名刺を見てい たまるでカードゲームで捨て札を引いて しまったかのような顔だっ た会社には何年

くらい隣から江莉香の母が話しかけてきて 俺は5年目ですと答え た主人 ね父親はまだ名刺を見ている明らかに不満 そうな声だっ た去年からなの同義の中じゃ1番最初に 主任になった人 よ江莉香の声にはやけに張があった江莉香 頼むから幹部にでもなったような言い方を するなよ娘が勤務している会社だから悪く は言わないがだからと言って褒めもしない もっと上を望んでいたん だろうご両親は今どちら に母親から2度目の質問が来た実はこれが 最も聞かれたくないことでもあっただが 絶対に避けられない質問でも ある両親は僕が幼い頃に離婚して僕は母と 暮らしました父とは現在繋がりがありませ んじゃあお母様とお2人いえ母は年前に 病気で会しました まあ祖母も声にならないような声で俺を見 たじゃあ君はすでに両親がいないってこと か父親の目がじろりと俺を見た手に取って いた名刺をテーブルに置きふーっとため息 をついた後話が始まっ たうちはね父も私も息子もですよ母も妻も 東京じゃ有名な女学校を出てね江莉香も 同じ学校に行かせようと思ったがどうも この子は現代子というか親が出たってだけ でそこに入る理由にはならないだのお嬢様 学校なんて嫌だなと言って効率に行かせた んですが ねだからってへボンボンと育てたわけじゃ ない医者の娘として受けさせる教育は しっかりしましたよ はい俺は大体この先の話の流れがつめた ような気がし た失礼だが早くに親をなくしたんじゃ学ぶ べきものも学べなかったんじゃないか な私はエリカの父だがひき目を抜きにして も妥協しなきゃいけないものは何もないと 思ってるんでね 大学は出たのかい国立それともおかいえ どれも違い ますまあ片親じゃ大学自体難しいだろうが もしは奨学金の返済を抱えているんじゃ ないでしょう な お父さんさっきからストローで ガチャガチャ音を立てながら派手に氷を かき混ぜていたエリカが声をは荒げたいえ 借金はありません俺は慌ててテーブルの下 でエリカを制したお前は黙って なさい大々衣を引き継いで病院を守 るってことが簡単なことだと思うかお前は

そういう中で育ってそれくらい恵まれた 暮らしをしてきたんだ医者なんか嫌だと 言うから好きにさせたのも後とりとして お前の兄がいたからできたんだ 家族に感謝しなさいいくら自由に生き られる立場だとしてもそこら辺の親も金も ないような見晴らし男に嫁に出すはずが ないだろう失礼なこと言わないでよエリカ そうですよお父さんも初対面の方を相手に 何を言っている の江莉香の母が助け船を出そうとしてくれ たが父親の方はますますエスカレートして いっ たお前だってそうだろ俺が医者でもなく 病院の後継でもなかったら結婚したか女は 生活が安定しないような男となんか結婚 なんかしないましてや今の女たちは下手 すりゃ男より稼ぐからなそれを目当てに 寄ってくる男もいる だろうもうやめてよお前のお母さんが能々 と専業主婦で暮らせたのはおじいちゃんの 台からの病院があったからでそれを守れる だけの学歴が私にあったからだろそれを 忘れるなお前の兄さんの嫁だってのんびり 子育てだけして暮らしてるじゃないか女は 稼ぎ頭の男がしっかりしてれば安泰なんだ そうやって苦労のない母親を見て育った お前がミスミ苦労するような男と一緒に なんて暮らせるわけない だろガチンと音を立てて江莉香のコップが テーブルに置かれすっと立ち上がっ たお父さんて本当いつでも誰にでもその 調子ね医者だからってブレイが許されるの それが社会でチもあり学歴もある大人の やる こと彼はねハーバード大卒よお父さんより よっぽど高学歴なの これ以上失礼なこと言わない でお父さんに合わせようなんて思った私が 間違ってたのよ誰と付き合おうと結婚 しようと好きにさせてもらうわエリカ座り なさいハーバードだ とこれ大きく出たもんだ現地で調べてもし ない限りバレないからなエリカも騙され てるんじゃないのか全く呆れた話だ 行きましょうもういいわお父さんなんて 大嫌いちょちょっと待って よ俺は驚くほどの力で腕を抱え込まれ椅子 を引かれて立ち上がっ た私はもう大人だし経済的に自立もしてる からこれ以上彼のことで口出ししないで くださいエリカ ちゃん祖母が止めようとしたが放っておけ と祖父が止めている早く 俺は腕とベルトを掴まれてずるずると

引きずられすみません失礼しますとなんと か頭を下げて退場した男のくせにみとも ないという父親の言葉とお前は自慢話をし に来たのかという祖父のしたが背中に 聞こえてい た全く冗談じゃない わエリカは燃え上がっているまるでわ人形 に釘でも打つように 力いっぱいサイコロステーキにフクを 突き刺して口に運んだヒートアップした時 のエリカにはとにかく食べさせて話をさせ てきたこれで大体90%はクールダウン できるのだ今日もその手を使って いるいつもああやって威圧的なのよ絶対職 でも同じ態度を取っているに決まってるわ まあまあそう言うなよ娘が心配だから だろうごめんねけ君本当に ごめん今度はいきなり泣き出すほらもう いいから食べよう俺も緊張して朝から何も 食べてなかったから さエリカは頷きながら涙を吹き食事を続け た私がどれだけあの家を出たかったかこれ で分かったでしょう幼稚園の頃から びっしり習い事させて週末は家庭教師が来 て寝をあげるとだらしないって怒られて私 サッカーやりたかったのに女が何が サッカーだって言ってバレーやらされて 恵まれて育ったって言うけど私は辛かった の大変だったの よ江莉香は大学時代バイトに明けくれ 1人暮らしを果したのだった子供の頃から のお年玉も独立資金として貯め続けてきた と言うから大したもんだそれくらい家が 息苦しかったんだろう母と祖母が出たと いう中高一貫の私立女子子江莉香は小学生 の頃からその学校の中学入手のために塾に 通わされていたのだが本課後男子と一緒に サッカーをしてはサボるということを 繰り返し塾に母親が呼ばれた本人の同機が ないうちは難しいと告げられ中学事件は親 が放棄その代わり高校で語学留学をする ことが親から出された条件だった好奇心 から承諾したが渡米してからの環境が悲惨 だったホストファミリーは古沢さんで毎日 ベビーシッター代わり貴帳面の母親と違い この家のママは何もかもが大雑把で家中が 混乱していた子育てで忙しいと食事は冷凍 食品洗濯もたまりっぱなし軸で習った綺麗 な英語とは違い早口で聞き取りづらい現地 の言葉に会話も苦労したようだすぐにでも 帰国を願い出たかったが規定期間をクリア しないと高校が留年になってしまう我慢 続きの17歳だったのだ餌を晴らしながら 散々食べまくった後今度はカフェに行き 好物のストロベリーフラペチーノを飲む

それでだいぶエリカも落ち着い ただからねアメリカに当たって現地に適を してハーバードまで出てる なんて私から見たら神様みたいなものよ今 にうちの親も分かる わ俺は子供だったから なカフェの席からおばあちゃんに連れて来 られたらしい子供を見ていたあの頃よく そばが作って飲ませてくれたアイスを 浮かべたソダを思い出す 俺は父の顔を知らない母の結婚生活は長く なかったようだ頭は良かったが結婚には 向かない男だったと祖母は言ってい た江莉香よりも若い年で俺を産んだ母反対 された結婚だったからシングルマザーに なってからも実家を頼るつもりはなかった ようだ俺を預け駆けもちで働いた大学を 卒業後に出たことがなかった母は相当苦労 したと 思う祖父母は仕事の関係で渡米していた 子供を育てる環境を考えろと説得し俺たち をアメリカに呼び寄せたの だ俺は小学校からアメリカで育った祖父は ハーバードの准教授まで勤めたが6年前に 帰国した俺の卒業と母の社会が1つの 区切りになったよう だ告して俺は独立し今は近所に部屋を借り て住んでいるその日は夜まで江莉香と一緒 で少し酒も飲んだくれぐれも親を責めない ようにと願王し た親の離婚も高も俺のせいではないから そこを疲れると 辛いだが大事に育てた娘だいくら条件が いい男だとしても何の心配もなく嫁に出す 親なんていないだろうそういうこだわりの 全てをクリアした相手なんてそれこそ 見合いでしか出会えないと思うその見合い を江莉香は何度も断っているまだ結婚 なんかしたくないと言っては拒絶した 挙げ句連れてきた相手が俺なのだ親として は文句も言いたくなる だろう次の週末俺はエリカに連れられて レストランに行ったエリカの祖母に呼ばれ たのだ あの時は本当に失礼したわねこの家の男は みんな傲慢なのじじよね子供の頃から直せ なくて嫌な思いしたでしょ申し訳なかった わ綿菓子のように真っ白でふわふわな髪に 薄いピンクのメッシュが入っている小柄で 色白の可愛い感じのおばあちゃんは ニコニコと俺に話しかけてくくれたあの時 もせっかくなんだから食事をしたらって何 度も言ったのに最初だからお茶でいいだ なんて言って今考えたらあれでよかったわ ねあんなんじゃ食事も喉を通らないわよね

代わりに今日は私がご馳走しようと思って ここはね林ライスが有名なのよ洋食の死な のそう言われておすめの林ライスをご馳走 になっ たエリカが実際に一緒に仕事をしてみて 選んだ人なんだから私はいい出会いだと 思うのエリカも大人なんだし家庭環境だっ てね両親揃ってればいいってものでもない じゃないこの子のお父さんにはおじい ちゃんからもよく言い聞かせてもらってる からブレを許してあげて ね物越の柔らかさは俺の似ている女性は年 を取るとみんなこうなるものなのだろうか 俺は携帯でアメリカでの暮らしや卒業式の 写真などを見せてとりあえず学歴に嘘は ないことを告げ たエリカはおばあちゃんと来て一緒に帰ら ないといけないからその日は昼食を取って すぐ別れたタクシーになりながらリカが 笑って親指を立ててきたとりあえず最初の を突破したよう だしかしこれはまだ女性だ俺は駅に走り 地下鉄を乗り継いで次の指定先に 向かう誰にも内緒でと言われた次の 待ち合わせ時間までには余裕があるかと 思ったが昼間の地下鉄は本数が少ない遅れ はしなかったが今度も待たせてしまった すみません遅くなりましたいいのよ私が 早かった だけエリカの母だあの日は想だったが今日 は着物を着ている友達とお芝居見に行くっ てことになってるのよそう言って笑った ねえ一緒に食事してくれるうあはい もちろん ですまさかあなたのお姑さんと林ライスを 食べてきましたなんて言えるわけがない俺 は了解するかなかった連れて行かれたのは 下町の食堂だっ た女が丼物なんて見た目が悪いってうちの 人が言うのよでもいい でしょそりゃもう美味しいものは 召し上がらないとそうよね本当にいちいち うるさいのよ自分は好き放題してるくせに 私ねカツ丼食べたいのあなたはどうする とんかつ定食はカツカレーもあるのよいえ 同じものをいただき ます待ち合わせは3時だったからこれは 全くの予想外だったおばあちゃんは若い人 だからとご飯の大盛を頼んでくれたのだ 1度は断ったが遠慮するなと言われて綺麗 さっぱり平らげたうまいと思って食べたの に申し訳ないが後悔して いるこねカ丼が美味しいって有名な の私この街が実家でねもう誰もいないけど 家族でよく来たのいい思い出ですねあなた

はアメリカが長いんですってねエリカが 写真を見せてくれたのよ将来またアメリカ に住みたいとかそういう予定はあるのいえ 僕はもう日本に住みけるつもりですそう 思って帰ってきたの で母の姉夫婦が東京にいて子供の頃から 長い休みの時は帰国して長気滞在したいこ たちと賑やかに過ごして日本の暮らしにも 慣れている母も祖父母もいない今アメリカ に住むつもりはなかったエリカのお母さん はそれを聞いてかなり安心したよう だあの時は本に失礼したわねこの家の男は みんな傲慢なのよ地筋よね何度言っても昔 から直せなくて嫌な思いしたでしょ申し訳 なかった わさっき聞いたばかりのセリフをまた聞い ている俺どうもこの家は傲慢な男とそれに 耐えてきた女とで構成されているようだ腹 はいっぱいだったがさすが死の名品だ確か にまた食べたくなるのも 分かるそんなことに関心している間に じゃあデザートを食べましょうと言われ かみで暗みを食べることになっ たもう今日は夕飯なしてもいけそうだ円満 結婚のためならこれくらい食べようじゃ ない かエリカはまだまだこだま染みてるけど 正義感が強いから人を見る目は間違って ないと思うの社会でも人に揉まれてそう いう中で出会った人なんだから人柄を見た わけでしょそれでいいはよ ねなんと答えていいかわからずとりあえず ありがとうございますと言って頭を下げた ご両親がいないって言ってもいい大学を出 て社会で働いてるんだものよく育った証拠 よ人の下で働くって楽なことじゃないわ富 の人には絶対 無理私は主人を信じてないからあの人が 見つけたお見合い相手なんてエリカに会う はずがないと思っているの家柄だの学歴だ のこだわったって結局人は性格が問題なの よ謙虚で家族思いが 1番いい家庭を築いてくれる でしょはい必ず幸せにし ますお母さんは満足そうな顔で頷いてくれ たよし第2ハードルもクリアだと思った 途端だっ た私ね江莉香のむこさんになる人に1つ だけお願いしなきゃなっていつも思ってい たことがある のなんです かドキリとして顔を覗き込むとお母さんも 俺を 覗き込み少し鋭い目つきででこう言っ た私ね松家のお墓にだけは入りたくないの

あ墓結婚もしてないうちに墓森の話なのか そう思いつつも耳を 傾ける私絶対にあの人ともあの人の両親と も息子とも同じお墓には入りたくないのよ おおの兄の話は聞いて いる俺はちょっと迷いながらも江莉香から 聞いた通りに口にし たはいお母さんが違うってそうなのよ私と 結婚する前にあの人に付き合ってた女がい てねそれを内緒にして私との談を進めてた のずるいと思わない女がいるくせにお 見合いしようなんてリカがお見合いした男 がそんなだったらただじゃ置かないくせに 本当に身て よ好きな女と恋愛して結婚は結婚で家に ふさわしい嫁をもらおうだ なんて結局私との結婚が決まってその女と は別れたんだけどね孫はよせって生まれた ばかりの息子を引き取ったのよ血を 引き継いだ後とだってリカのおじいちゃん が諦めなの相当お金積んでるわよこれで 人生やり直せて言ったんだって私がエリカ を産んだ時だってみんなで良かったよかっ たって言ってねこれでもう子供はいらない なんて言うのよここで息子が生まれでもし たら揉める原因になるからって私だって 他人の息子じゃなくて私の息子が欲しいわ よ私の気持ちなんて誰もてないのおかしい と思わない一体この結婚は何だったの かしらでも江莉香さんはお兄さんにも可愛 がってもらったって聞いてますそれは やっぱりお母さんがわけ隔てなく育てられ たからじゃないですか簡単なことじゃない ですよ ね俺だったら毎日でもカを奢りたいくらい だお母さんの密を食べていた手がたかと 思ったらスプーンを置いて突然俺の手を 握ってき たそんなこと言ってくれる人今までい なかった わ姑とも夫もこの家の家業安泰のためだっ てそれ ばっかり女しか産めなかったら嫁として 片身が狭いのに後継の心配もしないで楽に 暮らせるってそう言ったのよあの人女には 本当にだらしなくて何度も泣かされたのに 義母なんて浮気は男の会商だって本西が いちいち目くじら立てたらみともない なんて言ったのよ男なんてそんなもんだっ て松の男はみんな女ったらしで傲慢なの よお母さんの目からぽろりと涙がこぼれ俺 はポケットから半をさし出し たこの間このスーツをクリーニングに出し た時回転10周年記念だとかでサービスで もらったやつ

だこのタイミングに俺は1人で感動して しまっ た松のお墓には義父母と夫と息子の家族が 入るでしょ江莉香はお嫁に行くし私ね納骨 とがいいなって思ってるのお友達の お母さんがいるところがね明るくて素敵な のよコインロッカーみたいに1人ずつ コツボを入れるんだけど扉がガラス張りな のそれでね中のコツが綺麗なのよお釈迦様 とかイエス様の絵の人もいるんだけど ベルサイユのバラみたいにね金モールに バラの模様があったりし てじめじめ暗いイメージがなくてとてもお 化けが出てくるようなじゃないのそれでね コツボと一緒にその人の愛用品とか家族の 写真やお花とかいっぱい入っててああこれ いいなって思ったの私だけの空間に永遠に 住むのよ ああ私ねレインボーカラーズって知ってる あ俺はさっきから返事にならない返事 ばかり繰り返して い韓国のアイドルなのよ7人組の男の子で ね私ミース君が好きなの紫担当の子よ1番 背が高くて声も1番高くて性格もいい子な の本当に素直で謙虚なのよその子の写真を 一緒に入れてほしいわコンサートの時に 手首につつけるライトがあるのそれも一緒 に入れてね使ったことないけどちゃんと2 つあるからファン友達とお墓はそうし ようって決めたのいつもチケットが取れ なくてとてもコンサートなんて行けないと 思うけどせめてお墓くらいわと思っ て江莉香に話したら子供じゃあましって 呆れられたのよ頼れるのはあなただけなの お願い できる嬉しそうに話すお母さんの手前はい わかりましたとはたもの俺に権限なんて あるんだろうかこの辺は後でしっかり遺言 に書き残してもらってエリカとも話をつけ ておかなけれ ばそんなことよりあなたも呆れたあいえ 人生まだまだ長いんですからチケットの 予約なら僕も協力しますし元気にファン 活動してください僕が韓国旅行を プレゼントします よ俺の言葉にお母さんはもう一度涙を促し 晴ればれとした顔で帰っていったまだ50 代だというのに今からお墓の装飾を楽しみ に生きてるなんてどれだけ抑圧された人生 だったのかと 思うエリカの暮らしはあのお母さんの忍耐 の上に成り立っていたと言ってもいいん だろうさっきの話から言って江莉香のお じいちゃんも女関係ではおばあちゃんを 苦労させたようだしなかなか両気ってのも

大変だなと思っ た俺の祖父母は当時には珍しく祖母の方が 年上だ祖父が一目惚れして1年間口説き 続け親を説得して結婚にこぎつけたらしい そう考えると俺の母が親が反対した結婚を 成し遂げたのも自なのかもしれ ないエリカがお見合いを毛嫌いするるのも 母親の苦労を感じ取ってるから だろう夜江莉香からおばあちゃんと お母さんが結婚を承諾してくれたと LINEが届いたおじいちゃんは最初から 本人に任せろと言ってくれていたようだし ゴールはもう目の前 だ俺は努力が報われたと思いつつその夜は 胃薬のお世話になったそしてゴールは見え てからがまた長い 肝心金めのお父さんからの承諾はなかなか 得られなかっ たお父さんはエリカがお見合いを断った 知り合いの息子に未練がある らし優秀な下界だと言うからそれも分かる 会ってみるだけでもと俺のことはなかった かのように押してくる父にエリカの怒りが 倍増していっ た本当に人としてどうしてる わなんで職業なの家柄なのってうるさいの だからお父さんはお母さんに嫌われるのよ 散々こだわって結婚したくせに自分の嫁に なった途端に王兵な態度ばかりで私がその 医者にそんな扱いされたらどうなの偉大を 出て優秀な医者だって人格者とは限らな いってことはお父さんがいい見本よそれを お父さんだけが気づいてないだけ本当に 愚かだ わいくらなんでもそれって言いすぎじゃ ないかけ君には分からないのよ私は子供の 頃からお父さんのせいでやりたいことは できないしやりたくないことはやらされて いい暮らしなんてしたことないわそれを恩 きせがましく言われたくない初めて会う娘 の結婚相手にあんな態度を取るなんていい 恥さらしよ結婚式になんていてほしくない 家族の縁もりたいくらいだわやめろよ もう思わず荒くなった俺の声に江莉香が息 を飲ん だ料理を運んできた店員と目が合い俺も ちょっと焦った声のトを落とし平成さを 取り戻してゆっくりと話し 始める俺はさ父親がいる暮らしをしたこと がないからいつか結婚したら相手の家族は 本当に大事にしようと思ってたん だ俺にとって江莉香のお父さんは江莉香を ここまで育ててくれた人だそれだけじゃ ダメなのか俺なんて捨てられたんだ ぞいればいいってものじゃないよいるから

大変なこともあるのいるから生まれる葛藤 があるのよ尊敬するにふさわしい人なら こんな風には思わない わ昔のことに不満があるのは分かるけど お父さんはきっと変わらないよ50年以上 そうやって生きてきたんだから妥協する ことも必要なんじゃないか な俺と違って俺の母はアメリカでも苦労し たんだよエリカだって留学したから分かる だろ言葉や人種で壁がある国だ日本で幸せ に暮らせてたら行く必要もなかったのに俺 は頭のいい血闘に生まれて教育環境にも 恵まれたって何度も言われたよでもそれを 言う人たちが普通に持ってるものが俺には なかったんだだからってそれを根に持って たって仕方ないと思うだろう今とこれから を生きてくしかないんだよエリカも お父さんの不満ばかり言っててもいい人生 は遅れないと思う よ気まずい空気が 流れるしばらく無言で食事をした後で俺と エリカは同時にワインを飲み干してため息 をつきやっと2人で笑い合っ た難しいな学歴って何なんだろうな褒め られることは多かったけどだからって エリカの気持ちが分かるわけじゃない しやっぱり何でも経験なんだろう な俺は親に反対されたことも強制された 経験もないから さ私もごめんねけ君の気持ちも考えないで 好きかって言いすぎ た最後は乾杯し直し料理も完食してお互い 気を取り直して別れた自分の気持ちを理解 してもらうことだけに室してしまうと こじれるだけだそういう感じ方もあると 受け止めることも大事なんだなと思っ たそしてこの先は少しでもエリカの父親に 対する感情をいい方向にやりたいそうで なければ恨みがずっと積み重なりお母さん のようになってしまう だろう俺たちがそんな会話をしている間に 江莉香の実家では別の問題が起きてい た江莉香の兄嫁が子供を連れて家を出て いったのだメディカルセンターの4代目を 失うかもしれない危機となり家中が前と なった らしい結局兄嫁さんが連れ帰った子供たが 地元の幼稚園になじめず実家の親も孫の 育児に疲れはて一月ほどで戻ってきただが 戻る前にこれまでを改善するための 話し合いががっつりと行われたそこには嫁 の妖精で義父もも立ち合っ たそこで明らかにされた義兄の浮気と パワハラ学歴を見下す実家をざる専業主婦 は無だと笑い家事も育児も一切を押しつけ

てきた義兄その暴into無人さんを涙 ながらに訴える嫁を前にお父さんも考え させられたようだ対象的にお母さんは嫁の 手柄を称えたようで あるその騒動が過ぎ今度は俺の祖父母も松 の家族と会食の場を持つことになったこれ までのこの次第は祖父母にも全て伝えて ある 年齢的にダソン女否や後継にこだわる風習 は知りしているから誠意を持って対応する しかないと言ってい た今日はわざわざお忙しいところを孫の ためにありがとうござい ますそう言って頭を下げたソフト 立ち尽くす江莉香の お父さん お父さん慌てたように江莉香のお母さんが 覗き込むよりも先にという義父の声が響い た斎藤教授じゃないですかハーバードの そう言って俺を 見る母は離婚後もせを戻さなかったから俺 はソフとはせが違う江莉香のお父さんは 信じられないという顔をしてい た私をご存知ですかそれはもう本も読み ましたし新役にもお世話になって ます祖父は薬学が専門だ大学の薬学部で 助手をしていたが渡米してハーバードの 研究員になり中教時まで務めたのだった 江莉香のお父さんも祖父が発表した論文 などを読んでいたという指示する教授の孫 ということで俺の株は急上昇一気にことが 好転したのだっ た父親がいないのでね私たち老夫婦が 甘やかして育ててしまったところもあり ます 不足なところは私ともも助言しながらこの 先を見守っていきたいと思ってい ますいえいえとんでもない大変礼儀正しい 青年のよう で底生で俺のサフに接するお父さんの姿は エリカとその家族を業転させ たお父さんもやればできるじゃないと後で 江莉香が褒めていたこんなことなら最初 から祖父を紹介したらよかったがうまい ものもご馳走になったし松の女性たちの 本音も聞けてそれはそれでいい時間だった と 思う来週には結婚式の日取りが決まり今は 式場の打ち合わせで 忙しい結婚後は相手の家族を大事にすると いう俺の決意を実行する時が来た人生の 経験は少ないがその分相手をわる気持ちを 忘れずににいい家庭を築いていきたいと 思うごめんなさい私と別れて ください胃を消したようにさとは俺の目を

しっかりと見つめてこう言っ たどうしたんだよ急に突然のさとからの 離婚の申し出に俺は動揺して強い口調で 問いした今日は結婚15年の記念日だ結婚 してから今日に至るまでの長いよであっと いう間の月日を2人でさやかにお祝いする ために雰囲気のいい小さなレストランで 食事を楽しんだ後の離婚の申しでさとは ポロポロと涙を流しながらすでに署名を 終えた離婚届けを差し出した俺たちには 子供がいないさとは俺の世話をするのが嫌 になり自由になりたいと思ったのだろう次 の日に俺は区役所で離婚届けを提出した こうして15年の結婚生活はあけなく 終わったのだ全て忘れようと仕事に 打ち込んだ数年後俺は元妻の里と再開した すっかり雰囲気が変わった里の隣にだいぶ 年下であろう男が寄り添って いるどどうしたんだ よごめん実は ね俺の名前は橋本正50歳だ元々会社員と して働いていたが最近思うことがあり早期 退職した15年連れ添った妻がいたものの 40代の時に離婚している俺は妻のことを 大切に思っていたし 妻も同じだと信じていたとはいえ俺は自分 の思いを口に出して伝えたことはほとんど ない俺と妻のさとは中学生の時の同級生だ 口べたで気の聞いたことが言えない俺とは 対象的にさとは明るく活発な性格だった ためいつもたくさんの友人に囲まれていた 俺たちの性格は正反対であったが母親同士 仲が良かったこともあり学校の行事が 終わった後にファミレスで食事をすること がよくあったそのためいつの間にか学業 人間関係進学のことなどいつもの俺なら心 に秘めているような悩みをさとに相談する ことが増えていったそれはさとも同じだっ たのだろう気がついたら俺たちは親友と なっいた母親たちは俺たちがカップルに なればいいのにと盛り上がっていたがその 時は友達以上の深い仲になる勇気は持て ないでい た私みんなとワイワイするのは嫌いじゃ ないけどあれこれ考えて疲れ ちゃうさとは一見すると社交的であったが 実は気を使いすぎてしまうところがあっ たなんかすごく意外だよな誰とでもうまく やっていける感じがするけど俺なんか友達 ご本の指で足りる程度しかいないどこに 行っても人気者の里が羨ましいよ俺がそう 言って励ますとさとは寂しそうな表情をし て答え た賑やかなのもいいけど1人でいる時が 1番楽かもねあとはと一緒にいる時2人で

漫画を読んでいる時が1番 幸せさとの言葉を聞いて俺は一瞬告白され たような気がしてドキッとしたしかしさと はこれ以上何も言わずいつものように お気に入りの漫画を読み始めたさとは学年 トップの優秀な生徒だったので見事地元で 1番の新学校に合格した俺はと言うと成績 は中の上というレベル数学は得意だったが 国語が足を引っ張っていたそのため里と 同じ高校に行きたいという思いはあったが 遠く及ばなかっ た高校に進学した後も仲良くしようねああ いつでも連絡してくれよ卒業式で里にそう 言って別れたしかしいざ高校生活が始まる とそれぞれ新しい人間関係が生まれ勉強に 部活に忙しい毎日を送ることになったその ためさとのことは気になりつつもテレも あって自分から連絡することなく月日だけ が過ぎていったそして偶然あった中学校の 同級生からさとに彼氏ができたことを聞い た俺はわずかに動揺したがあれだけ 可愛らしく活発里を周りが放っておくわけ がない中学校の時の美しい思い出を心に俺 は楽しいとまではかないがそこそこ充実し た高校生活を送ったそんな俺たちに変化が 起こったのは大学を卒業して社会人になっ てからだ俺は大学工学部卒という学歴を 生かして建築系の会社に就職したさとは アパレル系の会社に入社した社交的で頭の 回転がいいのでぴったりだったしばらくの 間交流がえていたが中学校の同窓会で久し ぶりに再開 する久しぶりま君どうしてた今は建築系の 会社でなんとかやっているよさはどうして いるん だ私は洋服を扱う仕事をしているの簡単に 言っちゃえば店員さんってところよ俺に とっては眩しすぎるほどさとは美しい女性 になっていた元々可愛らしい顔立ちであっ たがさらに洗練されて気品が備わっていた しばらくの間俺たちは久しぶりにあった 照れ臭さもあってありきたりな話で場を ついでいたが里が突然こんなことを言って き た中学校を卒業する時これからも会おう ねって言ったのに正し君は連絡してくれ なかったじゃない実はねちょっと寂しかっ たんださとの言葉を聞いて俺は想像もして いなかった事実に驚いた俺なんかが連絡し ちゃ悪いと思って彼氏ができたなんて話も 聞いていたから俺がそう言うとさは大きく 目を見開いたえ彼氏って誰 よ実はさとに彼氏ができたという話は出所 のはっきりとしないただの噂だった もちろん仲のいい同級生はいたのだがお

付き合いするまでには至らなかったそうだ その時は連絡先を交換して別れたが今度は 約束をって俺はさに連絡を入れた何度か 電話でおしりするなど親しい友人として 信仰を深めていったが気がついたらお互い に大切な存在となっていきどっちが言う こともなくお付き合いし 始めるそして社会人になり仕事が落ち着い たそのタイミングで俺とさは結婚したのだ 夫婦としての仲はとてもだったが俺とさは 知れず悩みを抱えていた子供を授かりたい という思いはあったのだがなかなか 思い通りにならなかったのだとはいえ俺は さとと2人の生活もそれはそれで心地が 良かったまた建築系の会社に勤めている こともあり公共事業やビル建設が盛に行わ れている中国や東南アジア諸国などに出張 を命じられることも少なくなかったその ため子育てをするほどの余裕を感じられて いなかったことも事実だったしかしさと美 は子供に恵まれないのは仕事のストレスが 原因ではないかと店長就任を打身される まで経験を積んでいたアパレル系の会社を 自主的に退職したの だ私のことは気にしないでいろんなことを 同時にやる自信がなくて家計はちょっと 苦しくなるかもしれないけど貯金もあるし 節約もするから安心してさとは明るい表情 でそう言っていたが本当にそれでいいのか 心配になったお金のことは大丈夫だよでも さとはこれまでバリバリ働いていたし俺も 海外出張で家を開けることがこれから もっと増えると思うんださとは仕事が すごくできるのに家にいるのはもったい ないと思うんだ けどううん私が選んだことだからいいの私 どうしてもまの赤ちゃんを産みたい からこのような経緯からさとはキャリア ウーマンの立場を捨てて専業主婦となる実 はさとは料理がとても上手で和中のを問わ ず器用に作れたそのためさとが専業主婦に なった後は毎日家に帰るとおいしい料理が 待っている完全に胃袋をつまれた俺は友達 と飲みに行くことはほとんどなくなり仕事 が終わった後はまっすぐさとが待っている 家に帰宅するようになっ たほらこれ見て今日時間がある時に作った んだうわそれをさとが作ったの めちゃくちゃプロなじゃん か仕事を辞めた後に分かったのだがさとは 物作りの才能にたけていたいらなくなった 洋服や小物をアレンジしてこの世に1つ だけのカを作るようになったさとのカは 個性的なデザインだったが使い勝手がいい ことは男の俺にも分かっ

た元々アパレル系の会社ににいたでしょう カもいろんな商品を取り扱ってきたけど新 商品が来るたびに私だったらこうするの にって不満に思うことがすごくたくさん あったのそれを思い出して実家のミシンを 引っ張り出して自分で作ってみたら結構 うまいこと行くの よ俺はさとの底知れぬ才能をなんとなく 感じ取ったがそれを生かすための手段は 思い浮かばなかった さは俺の思いを気にかけることなく仲の いい友達にプレゼントしたり恵まれない 子供たちがいる施設に寄付したりしていた ゆりある生活を送っていたものの子供を 授かるには至らなかったこのまま2人で 穏やかに時を過ごし年おいて行くのだろう と俺は思っていたそれはそれで悪くないだ からこそを大切にしようと心に誓った きっとさとも同じように思っているの だろう俺は何の根拠もなくそう信じていた そしてさとと結婚して15年目俺は サプライズ企画を考えていた普段は口べた で気の聞いたことを言えない俺この時だけ はさを思いきり喜ばそうそこでいつもは外 をいるだけの高級レストランを思い切って 予約してさとに似合いそうなシックな 雰囲気のネックレスをプレゼントとして 用意した俺が予約したのはフレンチのフル コースさとは俺の奮発ぶりに驚いたものの レストランのこの上ない素敵な雰囲気と 全ての料理の美味しさに感動してくれた ただ里の表情はどこか冴えない中学生の頃 は活発な性格であったが最近はすっかり 落ち着いてしまっていた性格には口数が めっきり少なくなり物思いに吹けることが 増えていたのだ俺はそんな里の様子が気に なったが年齢を重ねるとみんなそんなもの かとそれほど深くは考えていなかったと いうか目をそらしていたのかもしれ ないこの白身魚すごく美味しいねうん とっても 美味しい一通りの料理が運ばれた後食後の コーヒーを2人でゆっくり飲むさとは何か 言いたそうな顔をして俺の目を見ては そらすということを繰り返していたそして 胃を消したように俺の目をしっかりと 見つめてこう言っ たごめんなさい私と別れて ください俺は突然の別れ話に頭が混乱した 確かに俺たちは子供を授からなかった しかし夫婦中は決して悪くなく離婚に つがる問題に心当たりが1つも ないどうしたんだよ急に普段は穏やかな 口調で話す俺であるが突然の里からの 申し出に同様したのだろう申し訳なさそう

な表情の里にきつい言い方で問いして しまっ た今日は結婚15周年のお祝いだろう結婚 してから今日に至るまでの長いよであっと いう間の月日を2人でお祝いしようと思っ たんだ理由があるならちゃんと言ってくれ よ俺もダメなところはちゃんと直すから さごめんなさい 俺が何度も理由を聞こうとするものの里は 頭を下げて謝るだけだった学生時代も 社会人になってからもたくさんの人に囲ま れて輝いていた里憧れの存在でもあった こともありさとのそのような姿を見るのは 辛かった何かの間違いではないかもしかし たらドッキリなのではないかなどあらゆる 可能を頭に思い巡らせたが俺はすぐに現実 を突きつけられることになる里は自分の バッグを膝に置いてそこから1枚の紙を 取り出した返す言葉を完全に失っている俺 の方に薄っぺらい髪をすっと 差し出すポロポロと涙を泣かす里の顔を見 てこれはドッキリではないことを理解した 俺は恐るその髪を受け取ってゆっくりと その中身を見るああやっぱりそうか 予想通りだったすでにさとの分の署名を 終えた離婚届けだった俺はこの時全てを 悟った俺たちには子供はいないしかも俺は と言うと海外出張のため頻繁に家を開ける ためさとは1人ぼっちだ もちろんさには友達がたくさんいたし全て において俺よりも優秀であった新卒で入社 した会社は誰もが知る大手店長として推薦 されるほどの実績もあったそれなのに子供 が欲しいことを理由に退職して家で ゆっくりする毎日を送ったさは毎日の生活 がつまらなくなったのだろうきっと自由を 手にしたかったのだろう調子のいいこと1 つ言えない俺と一緒にいることにけが刺し たの だろうさとの思いはよく分かったよ色々 理解してあげられずごめんねでもこの15 年間は本当に幸せだったこれまで一緒にい てくれて ありがとううんそれは私も同じ気持ちよ 私たちて中学生の時からの付き合いでしょ 振り返ると本当に長いこと一緒にいたわね しかも私たち40代の半ばになっちゃっ た俺は妻への最後のプレゼントとして結婚 記念日のためのネックレスを送ったさとは その場でネックレスをつけてくれた俺の 予想通り里にぴったりだった次次の日に俺 は区役所に出向いて自分の名前も署名した 離婚届けを提出した里は俺が離婚すること に同意したらすぐに家を出るつもりだった のだろうあっという間に荷物を片付けて家

を出ていった行き先は年置いた両親が住む 実家ではないという俺が言うのもなんだが 里は持てるもしかしたらに好きな人ができ たのかもしれないしかし里を問いただす ことはできなかったこうして俺たちの15 年の結婚生活はあけなく終わったそれから 俺は1人になった寂しさを紛らわすため 仕事に打ち込んだ当時俺が勤めていた会社 は東南アジアで大型のビル建設を受注した ばかり現地をマネジメントする社員の募集 があったため俺は真っ先に手をあげた突然 40代になって独身となった俺にお見合い の話を持ってくる友人もいたが俺は里以外 の女性と一緒に暮らす自分の姿がどうして も想像することができなかったそのため 周囲に気を使わせるくらいなら一層海外に 行ってしまった方が楽だそのようなことも 俺は海外不妊の公募に名乗りをあげたのだ 数人の立補者を人事関係者が吟味する中 独身の俺は適任であると思ったのだろう 40代という年齢もこうそうしたようだ 体力がそこそこあり経験もそれなりにある 現地の若い社員を束ねるマネジメントも 多少であれば力仕事もやることができる第 1弾として俺はインドネシアに駐在し ショッピングセンターの建設に携わった その時の仕事が社内で評価され次は ベトナムの公共事業に携わった会議やビザ の更新などで一時帰国する以外数年にわっ て海外に滞在することになった全て 忘れようと仕事に打ち込んだ俺は社長から も高い評価を得るに至るその結果子会社の 社長になることを脱進されるまでになった のだ普通だったら喜んで社長就任を受ける だろうしかし俺はそのような気持ちには なれなかったせっかくのありがたいお話 ですが申し訳ありませんがお引き受けでき ません実は誰にも話していないのですが 今月一杯で会社をやめるつもりでして今後 のことを相談している時俺は社長に自分の 考えを伝え たやめるなんてどういうことだ君にとって はこの上ないチャンスだろう子会社である とはいえ社長になれば収入だって一気に 高くなるんだぞやりがいもあるポストだ それは社長である私が保証 するそように言って社長は俺を引き止めた それはある意味当然のことであった俺が打 されている子会社の社長のポストは将来 本社の社長になる可能性があるものが経営 者としての経験を積むためにつくいわば 出世ルートの一部だったからだもちろん そのポストについたら必ず無条件で本社の 社長になれるわけではないしかしながら そこで結果をしっかり出せばある程度の

確率で社長就任の道が開かれるの だ物価の安い国で勤務していてしかも ほとんどお金を使わなかったのでしばらく の間は働かなくても失そな生活ならなんと かなりそうなんです退職する意思が固まっ たこともあり俺は社長に自分の思いを正直 に打ち明けた 大学を卒業してから今までずっとこの会社 でお世話になっていますしかし妻から突然 離婚を切り出され全てを忘れるために海外 で生活する中で日本では全く考えてい なかったいろんな思いを抱くようになった んです社長もご存知でしょうが インドネシアやベトナムの人は先のことを それほど考えず今を楽しもうとするタイプ の人が多くて驚きながらも素敵だなって 思ったんですそんな前向きに今を エンジョイする彼らと一緒に仕事をして いるうちに自分は本当に自分の人生を歩め ているのか考えてしまったんですそれで 田舎で小さな部屋を借りてしばらくは のんびり釣りでもしよう かって俺がそう言うと社長は思いがけず 共感してくれ たその気持ちよくわかるよ仕事に追われる ような毎日を送っていると本当に大切な ものが見えなくなることがある会社を 辞めることは勇気がいることそれを決断し た君はやっぱり見込み通りだ君の第2の 人生を私は応援する よ社長の言葉が後押しになって俺は前向き な気持ちで代謝を決断できた俺は信頼 できる部に引き継ぎをした後清々しい 気持ちで会社を後にしたそれから俺は ネットの画像を見ながらどこで生活しよう か試案する毎日を送るその時ありきたりな 雰囲気であるが住み心地の良さそうな田舎 の風景が目に止まった それはイベントが開催されたことを報告 する自治体のサイトに掲載された写真だっ たが参加者の中になんとなく見覚えのある 顔が写っていることに気がついたその写真 は個人情報を保護するという観点から ぼかしが入っていたが俺には分かったここ にいる女性は絶対にさとださとはこの村に 住んでいるのだ 俺はそう確信したが腑に落ちないことも あった写真の女性は10歳ほどの子供を 連れていた俺とさとが別れてから7年が 経過している2人の間に子供はいないもし かしたら似ているだけで別人なのかまさか どこかに隠し子がいたのかお腹が大きく なった里を見たことはないが長期間家を 開けたこともない俺は謎が謎を呼び1日中 そのことで頭がいっぱいになったそして俺

は別れた妻に無償に会いたくなった もちろんその女性が里かどうかは不明だ しかしひとまずこの村に行きたいと思った 俺は気がついたら煮を終えていたこの時の 俺はもう歳年齢を重ねれば重ねるほど行動 力や決断力はなくなると言われるがこの時 の俺にはこれまでの人生で1番の行動力が 備わっていたと言っていいなんと1日後に はその村にやってきていたその村は ひとまずS村としておこうS村は田んぼが 広がるのどかなところだったとはいえとと いうほどではないため車や電車を使えば スーパーも病院も割と近いしかも田舎への 移住ブームが後押しして若い夫婦も まあまあいるなど適度に賑やかだとはいえ これまで住んでいた都市と比べると決して 便利とは言えないような地域だった俺は 小さな民宿に1週間止まることにしたその うち里に会えるかもないそのような期待を 何の根拠もなく抱き田舎道をのんびり散歩 して数日を過ごした里に会いたいという 思いがきっかけだが久しぶりの自由な毎日 は俺にとって新鮮だった田舎のなんてこと ない風景を楽しみながら小鳥のさえずりや 木々のざわめきに耳を済ませる俺の心のみ は少しずつほぐれていった時折りする深 呼吸が心地よかったところがエ村に来て数 日後春なのに突然夜中に冷え込む日があっ た油断して薄着で寝ていたこともあり俺は 朝起きたらなんとなく体が重かった徐々に 鼻が詰まり喉が痛くなってきて俺は風を 引いてしまったようだった俺は民宿の将 さんに相談して数駅先にある病院で見て もらうことにした女将さんに教えられた 小さな駅の前はこの辺りの中では栄えて いるのか小さな商店や喫茶店が並んでいた その間にある道路をまっすぐ行くと病院だ 俺はその道路をゆっくり歩いていくと足元 に桜の花びらがあることに気が つくを見ると道路の両側は桜なきで彩られ 風が吹く度に桜の花びらが舞い上がってい たうわあすごい桜だ なひんやりとした空気青い空そして控えめ で柔らかな色合いの桜俺は感動のあり通行 人がいるのについ独り言をつぶやいて しまうビルが立ち並ぶ無な空間でこれまで 仕事に邁進してきた俺はあちらこちらで命 があるかのように自由に舞い上がる桜の 花びらを見て自分でもびっくりするくらい に感情が揺さぶられそして心が踊った俺が 診察を受けるのは複数の診療家がある中 規模な病院だ初めての利用ということも あり病院で受付を済ませた後に問診表を 記入する周囲を見渡すと8割型お年寄りと いうところ俺は自分が一気に若返った気分

になったその時10歳ほどの年齢の女の子 が俺の方に向かって走ってきたその子は 何かに気を取られていたのだろうか途中で ソファーにぶつかって転んでしまった俺は 慌てて床に座り込んだその子にに手を貸し たその子の手は小さくとても柔らかかった 俺は自分の中にある何かが熱くなるのを 感じたこれがいわゆる不正というものなの だろうか子供を命に変えても守りたいと 思う言葉には言い表せない本能のような ものだったその子の手を握ってどうしよう かと思っていると遠くから1人の女性のの 声がし たゆき大丈夫 お母さんこっち こっち俺と同い年だろうか1人の女性が こちらへ駆け寄ってくる俺は女性の シルエットを見るやいや確認したあの写真 に写っていた女性さと だ さと俺は大きな声でさとの名前を呼ん 静かな病院の待ち合い室が一瞬ざわつい たえマなのどうしてここ にさとはアパレル系の仕事を辞めた後 華やかな雰囲気はすっかりなくなり心なし かふけんでしまっていたしかし今の里は そうではなかったシャツにジーンズという カジュアルな服装でお化粧は全くしていた が中学生の頃を彷彿とさせるような 若々しく活発な雰囲気に変わっていたさと の本来の美しさを再認識したのか俺は年も なくドキっと するどうしたのお母さんこのおじちゃんは 誰な の女の子が不思議そうに里を見上げて 尋ねる里はその子を愛しそうに見つめて 答え お母さんの知り合いなのよずっとずっと昔 の ねずっと昔という表現に俺は少し動揺する とはいえそれは当然のことだろうもう俺 たちは離婚届けを提出している子供もい ないため赤の他人に等しい俺はその子は誰 なのかさとに聞こうとした瞬間別の人が 彼女の隣にいることに気がつい たささんどうしたんです かその男は外見的には40代くらいに 見えるさとよりも少し年下というところ だろう かうんうんちょっとねさとは俺のことを 元夫であるとその男には言わなかった俺が 女の子の手を握っているのを見てその男は 不審感を持ったの だろうあのここは病院ですよいい加減に手 を離して

ください大きな声で俺に言い放って 詰め寄り出した悪さをしようとしていたと 勘違いされたようだ俺は慌てて握っていた その子の手を離すトラブルが起こったと 思った受付スタッフが慌てて走り寄って間 に入ってきたすると女の子とさとの手を 引いてその男は俺から足早に離れていった 俺は3人の背中を見つめながらさとはあの 男と結婚したのだと思ったきっとあの男に は離婚歴があり前菜との間に子供がいたの だろう俺と別れた後あの男と再婚したさと がママ母としてあの子を育てているの だろうと自分の中で勝手にストーリーを 組み立てそういうわけで里は幸せなのだと 結論付けた俺は診察を受けたところただの 風だった鼻水と喉の痛みを止める薬を処方 してもらい俺は病院を出て外にあるベンチ に座りペットボトルに入った放茶を飲んで いた状況を整理してで心を落ち着かせて からのんびりと民宿に戻ろうと思ったのだ その時病院からさとが1人で出てきた そして辺りをキョロキョロと見回している ベンチに座っている俺に気がつくと気まず そうな顔をしながら走ってき たあのさっきはごめんなさいあの人あなた のこと勘違いしたみたいで里見は息を 切らしながら先ほどの騒ぎのことを謝って きたいや気にしないでいいんだよ知らない 中年が子供に声をかけているんだどんな親 だってあの状況は焦ると思う俺こそ余計な ことをして悪かったな里見は何かを言いた そうな顔をして黙ったままベンチの脇に 立っているそれから5分ほど俺たちは言葉 をかわすことなく時間を過ごしたそこで俺 は思い切って気になっていたことをさとに 尋ねることにし たあの若い男 さうん 何さとの さ尋ねようと決めたもののいざ口にしよう とすると言葉が 詰まるだから 何あの男さとの旦那さんなんだろう えさとは驚いた表情をするが俺はお構い なしに自分の思いを伝えたあの子は旦那 さんの連れ子なんだよな良かったじゃない か素直そうな女の子だねさとは絶対にいい お母さんになるよあの人もあんなに心配し て優しい人だね あの そのさとは困ったような表情をしている そしてしばらく考え込んだ後口を開い た何か勘違いしていないかしらさっきの人 室田君は私の夫じゃないわよいいんだって 気を使わないでいい

よだからちょっと聞いて本当に違うの 彼は私の今の仕事を手伝ってくれている人 なのそもそも室田君は何歳だと思っている のまだ30歳になったばかりの若者なの よ里の説明によるとその男性は室田裕介 近所で奥さんと一緒に喫茶店を営んでいる 田舎の喫茶店ということでそれほど忙しく なく秋時間にさとの仕事を手伝っている そうださとは俺の誤解を解くためにこ 細かく自分の今の状況について話し始め た私離婚することを決めた後どこに行こう かなって画像検索していたのそしたらどこ にでもありそうだけど居心地の良さそうな 景色が目に止まってよし離婚が成立したら ここにもおってなんとなくの勢いでここに 来ちゃったの よさとがここに来た理由は大まかには俺と 同じようなことだったさとは現在の仕事に ついても色々教えてくれた今ね ハンドメイドのバッグをネットで売って 整形を立てているの最初はフリマアプリで 趣味程度で出品したらいつの間にか安定し て売れるようになって 室田君は今は喫茶店をやっているけど元々 はシステムエンジニアでネットに めちゃくちゃ詳しいのよそれでECサイト を立ち上げてもらったのそういうのを通じ て本格的に売り出したら海外からも注文が 入るようになった のでも事業ということはそれなりの規模で やっているんだよね俺が気になったことを 尋ねるとさとは目を輝かせて答えたこの 地域は田舎ということもあってお年寄りで 再訪が得意な人がたくさんいるのそういう 方に声をかけてバック作りを手伝って もらっているうち事業として成立するよう になっちゃって新たに出てきた問題は出荷 よ海外のお客さんに発送するのってこの 田舎だと結構大変なのよそそれでご近所 さんの田君と奥さんに手伝ってもらうよう になったって わけじゃあ今日はどうして病院 に今日はあの子の健康診断なの冷え込んだ から車を出してもらっただけ よちなみにその子は誰なのかと言うと子供 が欲しいという思いが消えなかった里は俺 と別れた後この地に移住して支援組の希望 を出したそうだ最初は生活基盤がなく独身 ということがありなかなか許可が降り なかったのだがバック作りの事業が起動に 乗ったことで子供の養育能力があると判断 されたようだ里親や普通陽子園組は独身者 でも可能もちろん審査は厳しいし申請を 出したり講習を受けたりする必要がある さとはそうまでしてでも子供を育てたかっ

たそう だそれで陽子園組みをしたのが勇気なの 本当に最近の話でまだ2ヶ月程度 かしら両親は若くして勇気を産んだため 責任を持って育てることができなかった 自動養護施設で保護されていた勇気を里は しばらく里親として預かっていたがうやっ ていけると判断されて容姿として 迎え入れるに至ったそうだその時勇の手を 引いて病院の玄関口からこちらへ向かって くる室田の姿が見えた室田の顔を改めて みると確かに若々しい顔つきだった里の見 た目が若ていたこともあり俺は完全に 勘違いしてしまってい たあなたがなんですねさっきはすみません でした日頃からあなたのことを聞いてい ますよさとさんは よくちょっとやめてって恥ずかしがるさと に構わず室田は自分が知っている俺のこと を話しだし た俺が言うのもなんですがもっと本音を はっきり言った方がいいですよまあそれは さとさんも同じですけど 本当2人とも遠慮しすぎなんです よ俺はさととやり直したい気持ちがあった それはさとも同じ気持ちのようだったそれ を察した室田は俺とさとに連絡先を交換 するように促し たいつでも連絡してねああ必ず する俺は1週間の滞在だったためさとと 長く一緒にいることはできなかった3人に 見送られて田舎の小さな電車に乗り自分の 家に戻って行ったそれから俺たちは再び 連絡を取り合うようになった電話越しで あるが俺が気づいていないさとの色々な 悩みに気づいた子供が授からないことに人 知れず責任を感じていたこと仕事を辞めて 自分が何なのか分からなくなっていたこと 海外出張に向かう俺が輝いて見えたこと 自分だけ取り残されている気がしていた ことそして子供の成長を見守りたいという 思いを捨てられなかったこと俺は勝手に 現状に満足していたがさとにとってはその 現状が苦しかったのだそれから何度か里が 暮らすへ出き勇気も交えて食事などを 楽しんだ俺はいつの間にか実の子ではない 勇気を守りたいと思うようになった俺に とって勇気はさとの子供に他ならなかった それゆえ大切な存在と思えるようになった のだ1年後俺は再び里にプロポーズをした その場所は室田夫婦が経営する喫茶店だっ た俺今度はちゃんとさとと向き合うしさと の人生を尊重していきたいと思っている さとが俺と一緒になって良かったと思える 人生を歩めるように全力でサポートするよ

だから俺と結婚してくれないかいやよりを 戻してくれと言った方がいい か里の目から大粒の涙が溢れてきた小さな 肩はわずかに震えて いるでも私はここで生活したいしあなたの 能力を生かせる仕事はない わいいんだよ貯金もそこそこあるし近所の おばちゃんやおじちゃんの農作業や君の 仕事の手伝いをしながら家事をやる建築系 だったら日雇いの仕事もある だろう俺はは50歳を超えて専業主婦と なった家事の合間にアルバイトをしたり里 の手伝いをするなどしているので意外と 忙しい毎日を送っている俺はそこまで勉強 は得意ではないが幸い数学はそれなりに 得意だったので勇気に算数を教えることも 俺の役割だ里見はと言うとハンドメイドの バッグが海外で飛ぶように売れていること もありテレビの取材が入ることもあるさと には多くのことを我慢させてしまっただ から今度は彼女が誰よりも輝く番だ俺は朝 1番早く起きて朝食を作り小学校へ向かう 勇気を見送る3人分の洗濯をした後は昼食 の準備さが近所の本の達人たちと作っ ハンドメイドのバッグの発想を手伝い部屋 の掃除をしてから夕食の準備をする夜は3 人で団欒の時を過ごす里とは喧嘩をする こともあるがお互いが本音を言い合えて いることの証だ今俺は本当の心の安らぎと 生きがいを見つけたそんな気が [音楽] する俺の名前は亀岡け今年で37歳に なる現在は海外の楽気を輸入して販売する 会社に務めている今でこそ仕事はうまく いっているがここまで来るのにそれなりの 苦労はした俺は幼い頃に両親を仕事で なくしずっと祖父母に育ててもらってい たどうして自分にはお父さんとお母さんが いないのと祖父母を困らせることもあった が祖父母は俺に何も隠すことはなく まっすぐに向き合ってくれたので俺もそれ を素直に受け取った結果祖父母を困らせ たくないという思いが強くなり勉強も運動 も一生懸命に取り組ん だそこまで裕福な家庭ではなかったのも あるが小学校中学校は立に通った俺がただ の勤な子供であれば孤立をしていた可能性 もあるだがこか不か俺はお調子者だっ たおい度胸試ししようぜ先生の背中に シールくっつけてバレなかったやつが勝ち なお調子もというかいたずら好きというか 友達とつるんでは色々と楽しく過ごしてい た記憶がある女子にちょっと男子なんて 言われることもしちだったそんなわけで 友達は多くいたそれに俺は祖父母に心配を

かけたくないと強く思っていたため猛勉強 をし成績は常に学年トップだっ た部活動は金がかかるから入らないそう 決めていたため代わりに学級委員を進んで やった周りから出しゃばりだのなんだのと 言われることもあったがその度に俺は じゃあ本当に真面目なやが学級員やって 堅苦しいクラスになってもいいんですかと 冗談めかして痛めるのだっ た高校へは推薦で入ったもちろん効率の 進学校だここで何か功績を残せれば大学に だって行けるはず俺はそう思い息よよと 進学をした高校でも部活動はやらない そう決めていたはずだったのだが同じ クラスの奴が1人で見学に行くのは緊張 すると言い出したので1度だけついていく ことにしたそれが俺の人生を少しだけ 変える俺が連れて行かれたのは還元学部 だったバイオリンやビオラなど見たことの ある楽器からよくわからない楽器まで ある俺は付き添いであることも忘れ興味の ままにバイオリンを持たせてもらった部 格好ながらも構えて弓を引くすると存外 綺麗な音が出 た君初めてなのだとしたらかなりいい センスしてる よ面倒を見てくれていた先輩がそういう その言葉が嬉しくて俺はついつい調子に 乗って色々と先輩に教わっ たもちろん綺麗な音ばかりが出るわけでは なかったし姿勢だってめちゃくちゃだった がそれでもシャンと立ってバイオリンで音 を奏でることはしに合っていたよう だ君ならいつでも歓迎するよありがとう ございます少し考えてみ ます部活の終わりに先輩にそう言われ俺は そう返すしかなかった部活はお金がかかる からという理由で入るつもりはなかった 高校でもそのつもりだったがこんなにも 興味を惹かれるものに出会うとは思ってい なかったの だ俺はよく考えた結果ファストフード店で バイトをして部費を稼ぐことで部活をやる ことに決めた祖父母にそれを話すと もちろんお金は出すと言ってくれたがそれ は俺の望まないところだその代わり部活に 参加するにあたって早起きをしたり色々と 迷惑をかけるかもししれないと言うと喜ん で協力すると言ってくれ た祖父母も俺が新しく興味を持ったことが 嬉しかったらしい本当に俺は温かく育てて もらえたのだと実感し たこうして俺は還元学部に入部し見事に バイオリンを担当することになった他にも 新入部員は何人かいたが一際目を引いたの

は鶴崎という同じクラスの女子生徒だ幼い 頃からバイオリンをしていたらしく新入生 の中でも格段に上手だっ た最初のうちは新入生は同じ練習内容だっ たのでお互いに教え合ったりするその時 上達したかった俺は鶴崎に何度も アドバイスをもらいに行っ た鶴崎この辺りなんだけどどうやってやっ たら いいまた聞きに来たのここ はつるさは絵に描いたような優等生だった 真面目で少しだけ気が強いようなきっちり とした優等生女子の学級委員も務めている ちなみに男子の学級委員は例に漏れず俺だ だから必然的に交流は多くなるせいか調子 のいい俺に対して呆れ顔を見せることも 多かったそれでもなんだかんだ色々と面倒 を見てくれるあり彼女は真面目なんだと 思うそのおかげか俺は見る見るうちに バイオリンの腕をあげていっ たただ学生の本文は勉強である俺は大学 推薦を勝ち取るべく勉強には相変わらず 励んでいた絶対に誰にもその姿は見せ なかった がその結果1番最初の定期試験は年トップ の成績を納めたひとまず祖父母を安心さ せることはできそうだと俺はほっと胸を 撫で下ろすそれにこの成績なら部活動を 続けても問題はない だろう俺は安心して部活動にも打ち込む ことができ たそれから俺は熱中して練習した結果1年 の最後の1年生だけの演奏でソロパートを 任されることになった嬉しくて思わず喜ぶ のも忘れ呆然としてしまったがじんわりと 喜びが込み上げてきて思わず拳を掲げた 早速その日から練習をしなければそう思い 俺が1番最初に頼ったのはつるさだっ たつるさソロパートなんだけど一緒に練習 してくれない か今思うととても傷つけることをしたの だろうと 思うは目を丸み開いて数秒俺を見た後鋭く 目を細めて睨みつけてき たどうして私のところに来るのえだって つるさはバイオリンがうまいからソロ パートに選ばれておいてよく言えるわね それはたまたまだっって曲との相性もある だろうしとにかく俺はつるさと一緒に練習 したいんだ頼むよ 今まで俺の音を一番聞いてきたのはつるさ なんだ よそう言うと余計に苦しい顔したつるさ だったが観念したのか大きくため息をつい て練習に付き合ってくれ

たそれから俺は毎日剣先と居残って練習を するようになっていったおかげで演奏は大 成功思わず俺たちは固く握手をして 喜び合った季節はもう春時に進級して俺 たちは2年生になる後輩もできるし勉強 だって難しくなる中バイオリンは続けたい と改めて思った瞬間だっ たその日の帰り道別れ際に鶴崎が少しだけ 何か言いたげに俺を 呼び止める亀岡君あなたに挑戦上を 叩きつけますえ つるさの顔はなぜか真っ赤だが相変わらず 真剣なまなざしをこちらに向けて くる2年の最初の定期試験で私が勝ったら 私と付き合い なさい はあ予想できなかった言葉に俺はすっとき な声を出してしまったがその意味を理解 すると一気に顔が熱くなってしまっ たつるさの顔が赤い理由も分かっただが 当時の俺も素直じゃ ないお前勝つ自信あるのかよあるわよ今 から本気で勉強して やる俺だって手なんて抜かないからな当然 よ本気のあなたに勝ってこそ意味があるん だから分かっただったらせせん勝負だお 互い顔を真っ赤にして単価を切り合い普段 通りの会話のはずなのにとてもこばゆい こうして俺たちの本気の勝負は始まった2 年生になり勉強のレベルも上がったが俺は 変わらずバイトに部活にと忙しかっただが つるさに単価を切ってしまった手前勉強に 手を抜く気は一切ないつるさと付き合い たくないというわけではないがここで手を 抜くのは絶対に違うと思うだから一生懸命 勉強を続けたそしてとうとうテスト結果が 返さ れる今回の学年1位はなんとつるさだよく 頑張ったなあ [音楽] え俺は思わず声を出してしまい周りに笑わ れた今までずっと学年1位だったのは俺 だっただがつるさは今回そんな俺を抜いて 学年1位になったの だ周りは今まで1位だった俺の画像が崩さ れたのを見て大盛り上がりだ珍しくやった ねつるさちゃんなんて声をかける女子もい たが塔のつるさは普段通り涼しい顔で ペコっと軽く頭を下げただけだったそんな だから友達ができないんだよそう思いつつ 俺は数ヶ月前の約束を 思い出すつるさが勝ったってことはつまり 俺がつるさをじっと見ているとつるさは 涼しい目でこちらを見てき たちょっとだけ悔しかっ

たその日部活も終わってつるさと一緒に 帰る途中あいつから声がかけ られるねえ約束覚えてるわよねああ もちろん じゃあその付き合ってもらう からうん何よその返事約束を保護にする つもりいやそんなつもりはないけどそう ならいい わ正直これまで1番つるさと過ごした時間 が長いのは俺だろうだからというわけでは ないが俺も大人しく彼女の言葉に従った 多分俺もなんだかんだ付き合ってくれる 彼女のことが好きだったんだと 思うこうして俺たちは付き合うことになっ たしかし付き合い始めたからといって特別 に何かが変わるわけではなかっ たただ部活でのソロパートの奪い合いや 定期テストでの競い合いは熱くなっ た3年を迎える頃にはソロパートを任され た数も定期テストでトップを取った数も 同じくらいになったと 思うそれくらい俺たちは無意識のうちにお 互いに負けたくないという思いで高め合う 関係になっていた今思うとこれは恋人関係 なのだろうかと思うが高校生の恋愛なんて こんなもの だろうそんな充実した日々を過ごしている とふと担任に呼び出された3年の夏休みの ことだっ た亀岡お前大学どうするんだお前の成績 ならどこでも行けるぞ希望はないのか 俺はそう言われて少し悩んだ担任の手元に は俺が就職希望と書いた進路希望調査の紙 があるできることなら大学に進学はしてみ たい勉強は好きだったし大学に行った方が 就職先も広がるので祖父母のためにもなる だろうそれにバイオリンだって続けたいだ が最近祖父の体の調子がな定期的に通する 必要が出てきたその費用が必要であること もあり俺は就職を考えて いる正直なところまだ迷いはあったがここ まで好きなことをさせてくれた祖父母には 感謝をしているし決断するにはいい時期 だろうそう思って担任にも就職する胸を 伝え た担任は目玉が飛び出るほど驚いてが家の 事情を知っているため少し悩んでから小学 金などを進めてくれ たしかし学費の問題ではないことが分かる と悲しそうな顔して俺の進路希望調査を しまったどうやら納得してくれた らしい気が変わったらいつでも言うんだ ぞ俺は素直に頷いて教室を出ていくすると のく足音が 聞こえるそこにあったのはつるさの後ろ姿

だったおそらく立ち聞きをしていたの だろうそう思ったが特に急ぐわけでもなく 彼女と待ち合わせをしていた商工口へと 向かう遅かったじゃ ない少しだけ2つに結んだ髪が乱れて息が 上がっていた何も知らないふりをしている ようなのでそれに俺も 合わせるお待たせいや先生に呼び止められ ちゃって さまた何かいたずらしたのテスト用紙に 落書きするなって怒られたそれは 当たり前とってつけたような嘘にも真面目 に返す つるさそれからしばらく2人して無言で 歩いてい た亀岡くする の沈黙を破ったのはつるさからだった 立ち聞きしていた罪悪感もあるのだろう いかせ真面目なやつだ からうん就職 する俺がそう言うと足を止め普段通りの 真面目な顔で俺の方を見据えて くるなんで受験が怖いの違う早く社会に出 て稼ぎたいんだ だ大学に行きながらでも働くことはできる じゃないバイトとかそれじゃあ足りないん だだから就職するんだよ学費が足りないの だったら小学金とかだからそういうのじゃ ないっていい加減にしろよ俺のことなんだ から俺が決め るってめったに人前で怒鳴らない俺が 怒鳴るつるさは真底驚いたように目をまる ていたがすぐに真剣な表情に 戻りごめん なさいそうだけ言って先に駆け出していっ た俺はその背中を見送る真面目にまっすぐ 生きている彼女には俺の葛藤が分かるわけ ない俺はそう思いながらゆっくりと1人で 歩き出したそこから自然とつるさとは疎遠 になっていき気がつけば卒業を迎える 予定通り俺は就職し鶴崎は国立の大学に 進学したこれで良かったん だその後も鶴崎とは連絡をかわすことすら なく自然 消滅何事もなかったかのように月日が過ぎ ていっ た俺が就職したのは海外性の楽器を輸入し て販売する会社だったどうしても バイオリンのそばにいたくて楽器関係の 仕事を片っ端から探したのだその中で一社 高卒でも受け入れてくれたところがあった 実際にバイオリンが引けるということと その知識を買われたの だろう最初は営業部の方に回されたが俺は 営業以外の知識を身につければもっと成績

が伸びるだろうと思い外国語をいくつか 学ぶことにし た就職して数年も経てば独学でもなんとか 会話ができるくらいにはなっ たそんなある日俺は電話口で困っている 後輩を見かけたどうやらドイツ語で電話が かかってきた らしいうちはバイオリン以外も取り扱って いたが俺が大好きなバイオリンは主に ヨーロッパから輸入しているため俺が集中 して学んだのは英語以外にイタリア語や ドイツ語だったのでとっさに電話を変わる 先方が何を言っているか100%理解でき たわけではなかったが大の内容を把握でき たためしるべき部署へと つなぐ後輩は泣きそうな顔で俺に感謝を 述べていたが全く気にすることはないと 背中をポンポンと叩いてやるだがこの時俺 はほんの少しだけ自信がついたの だこのまま営業にいてもいいがもっと勉強 すれば別の部署に行き自分を磨くことが できるのではないかと思っ た語学の次は何を学ぼうそう考えた俺は 新たな目標を1つ 定める気がつけばこんなに勉強に必死に なったのはいつ以来だろうそんな干渉に 浸ることもあっ たそれから数年後新年度を迎えた日俺も 気づけば相当の古株になって 高校卒業したばかりの自分を雇ってくれた 社長にはやはり頭が上がらない電車を降り て間もなくオフィスのあるビルへと たどり着きエントランスへやって くるスーツに切られた新入社員の姿も ちらほらと見られ思わず表情を和ま せるあおはようございますおはよう今日 からまたよろしくなはいもちろん たまたまでくわした後輩がやかに声をかけ てくれ た幸いなことに後輩にも恵まれ本当にこの 会社に就職できてよかったと強く思っ たそういえば今日から新しい課長が来るん ですよねああそうだよ仲良くやるんだ ぞその人って女性なんですよねさっき渡辺 から連絡があったですよめちゃくちゃ美人 ってこらそれ失礼になるから本人の目の前 で言うんじゃない ぞそんな風に話をしながらエレベーターに 乗り込んで会話をする俺たち俺たちの部署 のあるフロアにたどり着きエレベーターの 扉が開くとコツコツとヒールを鳴らす影が 横切ったそれを見て後輩が声をあげるあ きっとあの人ですよ新しい課長 ってひそひそと声を潜めてはいたがその声 はしっかり彼女に届いていたようで

エレベーターから少し離れたところで ぴたりと足を止めて振り返っ た声を潜めて他人の噂をしないでください 不愉快 ですきっちりと髪をあげメイクにも乱れが ないいかにも真面目そうな 女性振り返った彼女はこをきっと睨みつけ ていたが次に俺を見て驚きの表情を浮かべ た亀岡君 つるさ正直一瞬判断が遅れた俺の記憶は 高校生で止まっておりその時の彼女は2つ 結びに眼鏡で絵に描いたような優等生の姿 だったからだ確かによく見ると綺麗な 顔立ちをしているとは思ったがすぐには 分からないほど美人になってい たもちろんメイクのせいでもあるだろうが それでも美人だと噂されるには十分だろう 俺はゆっくりと彼女に近づいて いく久しぶり元気だったかどの口が言うん だかまともに連絡もよさなかったくせ にその言葉には思わず苦笑いを浮かべる しかない俺そんな俺たちのやり取りを見て いた後輩は興味深そうに俺たちの顔を交互 に見て尋ねる ええお知り合いなんですかああ高校生の 同級生だよえそうなんですかすごいそんな ことってあるんだそう言うと後輩は目を 輝かせていたがそれもお構いなしにつは俺 の方を見ていっ た受験からげた卒が私の部下にいるなんて 心底驚きだわせいぜい足を引っ張らない ようにちゃんと指を出してあげるから感謝 し なさいそして鼻で 笑う上司の言うことは絶対よこき使って やる わその瞬間フロア充がちんと静まり帰って しまったさすがにこの空気はまずいと思っ た俺が静寂を 打ち破る えっと誰に言ってるか分かっ てるなるべく冗談に聞こえるように言った つもりが帰って彼女を刺激してしまった らしい眉間にしを寄せ苛立ちをあわにして 鼻で 笑うもちろんそこにいる臆病者の高卒君よ あもしかして高卒って言ってなかったの かしらばらしてしまってごめんなさい ねフロは静かというより明らかに冷やかだ すると今度は俺と一緒にいた後輩が口を 開いたこいつは声が大きいのが玉に傷 だ随分気の強い人ですねね 部長 部長どうやら静かなフロアではその声は つるさの耳にも簡単に届いたようだ

険しかったつるさの顔がゆっくりと青ざめ て いく俺がホーム部の部長亀岡です今日から よろしくお願いします鶴崎裕子 さん俺はまっすぐに彼女に手を差し出した その瞬間しまり帰っていたフロア中が ざわつき始める ああああの人すごいこと言っちゃったね あの人部長のこと高卒だからって見下し てるとか 最悪格 悪いそんな言葉が隠すことなく聞こえて くるすると今度は周知で顔を真っ赤にした つるさが奥歯をギリと噛みしめて俺の手を 握ってき たた大変失礼しましたよろしくお願いし ます亀岡 部長うん よろしくとりあえず荷物置いたら色々 教える からめにていないことを周囲に伝えようと したがこのざわつきは簡単に収まりそうも ない俺は手を思いきり叩いて自分に注意を 向ける後で改めて紹介するが新しく不妊し てきたつるさ課長だ真面目で真摯に仕事に は向き合ってくれる人だから仲良くして やって くれはい修行の準備準備そんな風に明るく 言ってその場を無理やり終わらせた 初日が初日だったために部下たちはつるさ にあまり近づこうとしなかっ た仕事で話しかけざるを得なくなったとし ても彼女の真面目な性格はどうやら変わっ ていなかったよう で鶴崎課長すみません例の書類1時間だけ 待ってもらえませんか分かりましたでも どうして遅れるのですかかなり猶予を持っ てお任せしていたはずです スケジュール管理がなっていないのでは ないです か今思えば彼女はずっとそうだった高校 時代も勉強を聞きに来た友達にさえ同じ ようなことを言ってい た今日提出だと分かっていたのにどうして 今プリントをやっているのですか計画を 立ててやるのが普通だと思うのです がだから高校時代も1人で本を読んでいる ことが多かったのかと俺は1人納得して しまう彼女は何でもできてしまうがゆえに できない人間の気持ちが分からないのだ そのため正論で相手を傷つけて しまうこのままではまた彼女が孤立して しまうと思った俺は渾身会を開くことにし た最初は渋っていた部下たちも俺のおりだ と聞くと頷いてくれた中にはつのを知ろう

としてくれるももいて飲み会の席でも1人 になりそうだったつるさの元へ行き声を かけてくれてい た多少酒が入れば人間らしいところも見 られるのではないかそう思った部下たちが つる先に尺を するしかしどれだけ酒を飲んでもつるさは 顔色1つ買えず淡々と受け答えを繰り返し ていたさすがに相手にしれないとたは離れ ていくそうしてなんとなく白けた雰囲気で 渾身会は終わってしまったその後部下たち にこっそり2次会に誘われたが俺は断った そして1人駅に向かって歩き出そうとする つるさを 呼び止めるつるさ久々なんだしもう ちょっとだけ付き合ってくれない か仕方ないわね上司の言葉には逆らえない もの 不機嫌そうな顔してはいるがどうやら 付き合ってくれるようなので適当な チェーン店の居酒屋に入った2次会でやっ てきた客も多いのだろうそれなりに 騒がしいもっと静かなところが良かった 悪いでもこっちの方が誰にも話聞かれない と思っ て俺たちは向い合って座り適当なつまみと 酒を頼んでグラスを ぶつけるお前本当に昔から孤立するよ な余計なお世話私は真面目に目の前の物事 に取り組んでいる だけそういうところがお堅いんだよそう いえばバイオリンはまだやってるの かあんまりやって ないたった1杯それも数口酒を飲んだだけ それなのにつはつの間にか涙声になってい たさすがに俺も驚いて言葉をなくして しまったが彼女の目からはポロポロと涙が こぼれ落ちて いくバイオリン楽しくなくなっちゃったの 競う相手もいなくなっちゃったし賞を取っ ても親はその上を求めてくる再現がないの 勉強も同じよお父さんもお母さんも弁護士 でお兄ちゃんもの道に進んだだから私も 大学で法律の勉強をしたんだけど司法試験 に全然受からなく て家で片身の狭い思いをしてそれで辛く なって弁護士になるの諦めちゃった逃げて きたのよここに就職に逃げたの私はそし たら亀岡君がいるんだもん驚い た完璧なメイクが崩れるのも気にせず鼻を すすりながら目をこする つるさ俺と別れてから本当に独りぼっち だったよう だ私他人の気持ちが分からないのだから 理論に基づいて正しいことだけを言うよう

にしていたのそうして気づいたら孤立し てるのよ昔から ね泣きながら言うつの言葉に俺は思わず目 を伏せる彼女はコミュニケーション嫌って いたわけではないコミュニケーションの 取り方を知らなかっただけなの だそれを教えてくれるはずの親からも 見放され1人で今まで戦ってきたのだ亀岡 君と付き合ってる時が1番楽しかった本音 でぶつかれた から高校の時俺と付き合っていた当時切磋 琢磨しながらお互いを高め合っていたあの 瞬間が彼女の最好調だというのだ だとしたらそれはとても悲しいことだそう 思った瞬間俺は迎いに座る剣先の目元に手 を伸ばし涙を拭ってやってい た話してくれてありがとう勇気がいること だったよな本当に ありがとう今までお前がやってきたことは 人を傷つけたかもしれない触れ合い方を 知らなかったっていうのは言い訳になら ないかもしれないでもこれからゆっくり 慣れて上手に触れ合えるようになればいい 大丈夫だ俺がいつでも守ってやる俺が支え てやるから安心 しろ俺は思わず彼女の手を包むように両手 で握りしめていたそれにはつるさも驚いた ようで泣いてぐしゃぐしゃになった顔で ポカンと俺を見つめてい た居酒屋のやかましい声だけを2人で聞い てどれくらいだろうかさが顔を赤くして 俯い たそれはなんか違うえ 違うそれじゃあなんかプププロポーズ みたいじゃないえ ああ俺は慌てて手を離しごまかすように 笑いながら頭を書いた相変わらずの俺の 様子に彼女も安心したのか指先で涙を拭い ながら小さく 笑う今まで彼女のことをただの真面目な 人間だと思っていたがその上に不器用が 重なったことで彼女を行きづらくして しまっていたのかと俺は1人で納得し た元々人と関わることが好きな俺がこれ からつるさに色々と教えてやればいい心 からそう思うそれにつるさには感謝をし なければならないことがある お前さ7年前の同窓会来なかっただろう その時にお前が法律事務所で働いてるって 聞いたから俺も法律の勉強を始めたんだよ だから今ホーム部で部長をやれてる ありがとう なまあ弁護士じゃなくてパラリーガルだ から事務作業しかしてなかったけどねそれ でもだ昔から俺はお前の頑張る姿を見て

頑張ってきたんだ 亀岡君も相当酔っ払ってるのねそうでも ないけど なつるさが呆れたようにため息をついて グラスを 傾ける俺は語学を勉強した後つるさが法律 関係の仕事をしていると聞いて自分も学び たいと思ったのだそして数年かけて勉強し 上司に自訴した結果俺の能力なら問題ない だろうと判断され部に配属されただから 部長になったのも去年のことだったのだ もう1年遅かったらきっと鶴崎は職場に 馴染めないまままた孤立してしまっていた だろうなんて考えは少し傲慢かもしれない が実際その可能性はあったそう考えると この巡り合わせは運命なんじゃないかと俺 は 思うともあれその日はつと思い出話に花を 咲かせタクシーに乗せて返し た翌日出社してきたつるさは今まで通り きっちりと髪をあげ乱れのないメイクをし ていた2日酔い気味の部下はつるさの顔を 見るなり何か小言を言われるのではないか と背筋を慌てて 伸ばすそれをつるさは見逃さなかったその 社員の方を見たかと思うと無言で手に持っ ていた服から栄養ドリンクを机に置くその 行動にはフロア全体がア然としたそして 彼女はそのまま俺の机の上にごとんと 重たい音をさせて袋から栄養ドリンクの箱 を 置くこの部署の人数分はUにあるだろう そして全員に向けて行ったの だ2日酔いで作業効率が落ちるのはよく ありませんこれを飲んで少しでもやる気を 出して くださいその言葉に俺が慌てて 突っ込むつるさ違うだろほら大丈夫だから ちゃんと素直に言えっ て俺の言葉に一瞬戸惑いを見せたつるさは 少しだけ顔をつかせたかと思うと意を消し たように顔あげ たき昨日は飲み会つまらなくしてごめん なさいこれ その私もみんなの話をちゃんと聞いて理解 できるように頑張るのでよろしくお願いし ますそれには全員が顎が外れそうなほど 驚いた顔していたひそひそとした声であの つるさ課長がという声さえ聞こえてくる まあ今はそれでいい だろうらしいぞというわけだから今日も1 日 頑張ろうそう言って俺は栄養ドリンクを1 本取っ たそこからは部下たちが次々と集まり

ありがとうございますとつるさに霊を言っ て栄養ドリンクを持っていくつるさは霊を 言われるたびに恥ずかしそうにペコっとお 辞儀をしていたがそんな様子が少し可愛く 思えてしまったとりあえずこれからは少し ずつ部下たちとつるさの間を俺が取り持っ ていけば そうやってみんなが働きやすいような環境 を作るのも部長である俺の務めだと思って いるここからがまた大変だと俺は改めて 思うのだっ たところで余談だが俺とつるさは再び 付き合うことになったそして彼女が面白く なくなったと言っていたバイオリンを今度 は2人で再び始めた時々防音の部屋を借り て2人で一緒に演奏すると昔を 思い出す2人で会っている時も一緒に楽譜 を読んだりととても 楽しいこの前は一緒にバイオリンの コンサートにも出かけたその時に撮った 写真を祖父母に見せると祖母が驚いた顔を していったの だこのお嬢さんこの前振り込め詐欺に会い そうになった時に後ろから止めてくれたの よマジでええ 電話をしながらATMを触っていたら止め てくれたのとてもリとしていて頼もしかっ たわそれにしてもケの同級生でお付き合い している人だったなんて ね祖父母は自分が詐欺に会いかけたという のにもかわらずのんびりと幸せそうに笑っ ているいやばあちゃんはもう少し危機感を 持っ てそんな子がのお嫁さんになってくれる なら安心だなじいちゃんも今そういう話は してない から俺は思わず顔を赤くして2人に叫んで しまったそれにしてもそんな偶然ある だろうかしかしつるさは本当に真面目に 生きてきたのだろういや何をしても親から 認められず真面目にやることしかでき なかったのかもしれないそれでも実際こう して彼女の真面目さに救われている人間が いるのだから彼女の個性は大切にしてあげ たいと 思うとはいえまず祖母が振り込め詐欺に 合っていたことすら知らなかった俺も仕事 に没頭しすぎていたことに反省 だこの話をつる先にすると大きくため息を 疲れ たたまには気を楽にしなさいあなたの行動 の根源は全ておじい様とおばあ様でしょ あなたを支えてくれる大事な人たちがいる んだからそれはちゃんと守ってあげ なさい相変わらず真面目すぎる正論だった

だが彼女の言う通りだ俺がここまで仕事で 頑張ったのも最初は祖父母のためその結果 俺はこうして仕事で成果を出しつるさと 再開することもできたこれからは祖父母に 校しながらもつや周りのみんとと良好な 関係を築き上げていきたいもちろんつるさ とはお互いに高め合うパートナーとし て部長今どこですか大丈夫です か俺は他の88名の社員と一緒だという 部長に電話する あなんだって周りが騒がしくて聞こえない なあ部長の後ろはまるで宴会でもやって いるような騒がしさだっ た19時から食事の予定なんですが部長 たちは今どこにいるんです か今ホテルそんなボロい旅館なんて止まら ねえよその旅館大打撃だ な部長の言葉を聞いて俺は呆然となり しばらく声が出なかっ たボロい旅館というのは俺が社員旅行の ために貸し切りで予約した旅館のこと だ意地悪な部長は俺を困らせるために他の 社員を勝手にホテルへと誘導したのであっ た俺の様子を心配した旅館のスタッフが俺 のスマホを取りスピーカーモードに する部長俺を騙したんです か俺は怒りと絶望で震えていたがスタッフ が横にいたためなんとか声を 絞り出す騙したも何もお前のセンスがどう かしているんだよやっぱり高卒はダメだ なキャンセル量はそんなのお前文字に 決まってる だろう言いたい放題の部長に俺はあること を教えて あげるあのこの旅館社長のですけどは何 言ってるんだそんなわけない だろう鼻で笑う 部長話は分かったわささの 部長振り返るとそこには柊社長が立ってい た俺の名前は南洋平29歳高校卒業後 建設会社に入社し今年で11年目だ俺は 小さい頃から建築士になるのが夢だっただ から大学に行って建築を学ぶため高校は 県内有数の新学校に進学したみんなと切磋 琢磨して勉強を頑張り降参の夏の模では 志望校A判定が出 たこの調子で行けば試験は問題ない わ担任に太鼓版をされ俺は人 安心さん勉強の息抜きで建築雑誌を読んで いると家の電話が鳴った母も妹2人も とっくに眠って いる もしもし俺は小声で電話に出た聞こえてき たのはこの辺りでは1番大きな病院の関係 者だと名乗る女性の声彼女は俺の父の名前

を口にし た父がどうかしたんですか事故に哀れて こちらに運ばれました今処置をしています が大変危険な状態ですすぐにこちらに来て ください女性の言葉を聞いて目の前が 真っ暗になる震える手を必死に抑え俺は母 を起こし たお母さん起きてお父さんが事故にあって 危険な状態だっ て俺の話を聞いた母は一瞬で目を見開き 飛び起きた隣には中学生と小学生の妹が すやすやと眠って いる母が病院に折り返し電話すると家族 みんなで急いで来てほしいとのこと俺は 寝ぼけ真子の妹2人をおって車に運び母の 運転する車で病院に向かっ た急いで案内された病室に向かったけれど 人足遅かっ た父はベッドに静かに横ってい たお父さん冗談でしょほらお家帰る よ母が震えながら父の体をゆするが父は目 を覚まさ ない今朝俺たちが学校に行く時気をつけろ よと言っていたのはお父さんじゃないか なぜお父さんが事故に会うんだ よ夢だと願いたかったが朝が来てみんなが 活動を始めたのに父は微動だにしない夢で ないことを認めざるを得なかっ たこの日を境いに俺たちの生活はいぺ母は これまでパートをしていたが母の収入だけ ではとてもじゃないが大学など行ける気が しなかっ たあんたたちをちゃんと育てあげなくちゃ お父さんに怒られる わそう言って母はパートを増やしたがそれ でも高が知れているそこで俺は1台決心を した俺高校卒業したら働く よ母は 絶句でも傭兵は建築士になりたくて今まで 頑張ってきたじゃない建築士は時間は かかるけど高卒でもなれるん だ俺は18歳の今まで何不自由なく暮らし てこられたそして少し遠回りすることに なるが夢を叶える道筋も見えているしかし このままだと妹2人はお金のために夢を 持つこと自体を諦めなければならないかも しれない彼女らにそんな思いをしてほしく ない担任の先生に相談したら知り合いに 当たってくれて建築会社を紹介してくれた んだ俺今度面接に行ってくる よよごめんね うんうんみんなで頑張って いこう父がいなくなった今家族を支えるの は長男の俺だ俺は自分を古いたたせ た紹介してもらった会社の面接には無事に

合格本来なら採用試験は過ぎていたが社長 が俺の事情を考慮し特別にその場で合格に してくれたの だ社長の名前は柊木みさ子さん年齢は母と 同じくらいだろうか柊木社長にも高校生の 子供がいるそうで俺に向ける差しはとても 柔らかかっ たありがとうございます俺来年から精一杯 働きますの で俺は何度も頭を下げ た困ったことがあったら何でも相談して それから残りの高校生活思いっきり楽しむ の よそう言うと社長はポンと俺の背中を押し て見送ってくれ た急に高卒で働くことになり実は不安で 押し潰されそうだった俺でも柊木社長に 出会って素敵な言葉をかけてもらって心が だいぶ軽くなった柊木社長の元でなら 頑張っていけると心から思うことができ たそれから放課後塾に行く同級生の背中を 見送り俺ははバイト先の飲食店に向かう 日々そんな自分の境遇を悲観せずに住んだ のは柊木社長のこの言葉のおかげだと 思う残りの高校生活思いっきり楽しむの よ受験はせずとも俺はみんなと一緒に しっかり勉強したみんなと一緒になって 物理の問題に頭をひねらせみんなと一緒に なってA単子の暗記に苦戦したみんなと 一緒に文化祭にに全力投球しみんなと一緒 に初詣にも行った友人らもそんな俺を静か に受け入れこれまでと変わらず接してくれ たおかげで俺は残りの高校生活を悔いを 残さず満喫することができ た俺は自分の人生を胸を張って生きていき ます卒業式みんなの前で堂々と高宣言した 俺に母は泣いて拍手を送ってくれた そして俺の社会人生活が始まったの だ社会人として働き始めた俺は駆け抜ける ように忙しい日々を送っ た挨拶電話対応パソコン 操作まず建築云々よりも社会人としての 常識を叩き込まれた幸運にも同僚がみんな 親切だったため大変なことも乗り越える ことができた周りはほとんどが大卒だった がは考察だからとひになる必要はなかっ た柊木社長があんなに素敵な方だからか 従業員もみんないい人だった周りの人に 支えられながら俺は順風満々な社会人生活 を送っていたノだ が29歳になった今俺は毎朝会社に行くの を空に感じているこんな気持ちになったの は初めてだ 理由は俺が高卒であることをののしる人物 に出会ってしまったから

だその人物とは笹野浩二40歳今年度から うちの部署の部長として外部からやってき た何でも彼は東大卒でアメリカと ヨーロッパに留学経験ありさらに一級建築 しの資格を持っているうちの会社は ありがたいことにここ数年で業績を伸ばし 優秀な人材を求めていたそこへ現れた彼の 実力を社長が買ったようだ笹の部長は確か にすごい人だった彼が来てからはみんなの 残業時間がうんと減った部下の仕事内容を きちんと把握し指示や仕事の割り振りが 的確なのだそれは俺も認めようしかし俺は 笹の部長が苦手だったなぜなら彼は俺が 高卒であることをけなすからだ俺高卒の人 と働いたことないからわかんないんだけど パソコン使える なニヤニヤして尋ねてくる 部長もちろんですもう11年もここで働い ていますので一通りのことはできます俺は 答えたじゃあこの資料をまとめといて俺 なら2時間でできるけど明日中でいいから あはいできるだけ早く仕上げ ます馬鹿にされてイラっとしたが俺も立派 な社会人だ高卒を馬鹿にさせることなど 想定ない実力を見せつけるばきっと認めて くれるだろうそう思って俺は丁寧に資料を 作った部長昨日頼まれた資料です翌日俺は 部長に頼まれていた資料を提出するそれは 10枚にも及ぶものだった部長に認めて もらおうと意気込み睡眠時間を削って作っ た対策だしかし部長は初めの3ページ くらいをパラパラめくると資料をそのまま 横のゴミ箱にポイっと捨てたえ ちょっと呆然と立ちつくす俺を見て部長が 似つく全部見なくてもお前の実力は分かっ たよ大丈夫さちゃんと俺がお前に ふさわしい仕事を与えてやる から部長はそう言って俺にメモを渡してき たまずはこれを買ってきてくれ買い物は できるか なメモにはコーヒーと卵サンドと書かれて いたレシートをちゃんともらってくるんだ よ高察に奢られることほど不明誉なことは ないから ね部長はそう言うと手でしっしっとして俺 を事務所から追い出した同僚はみんな俯い て俺と目を合わせないようにしてい たこれまであんなに仲良くしてくれていた のに俺は少し悲しくなっ たもちろん全面的に部長が悪いのは分かっ ているみんなが優秀な部長にはえないのも わかる下手にはえば自分がどうなるか わからない からそれでも誰か一瞬でも俺のことを見て 欲しかっ

た笹の部長が俺の上司である限り俺はこれ から先ずっとこんな集中を受け続けるの だろう か社会人になって初めて会社に行くのが嫌 になっ たしかし1番下の妹はまだ大学生学費屋 参考初代大学生は何かとお金がかかる 妹の夢は助産師で大学を卒業し看護師と 助産師両方の国家試験に通らないと助産師 にはなれないだから妹が夢を叶えられる よう仕事して稼がなくちゃ部長なんかに 負けない ぞ俺は毎朝鏡の前で気合いを入れてから 会社に向かっ たしかし会社で俺に与えられる仕事は窓際 の鼻の水やり 資料印刷急糖室の掃除に部長のお使い いわゆる雑用ばかりもっと建築会社らしい 仕事をやらせてほしい何度も心の中で願っ たが実際に部長に意見する勇気はなかった もし意見して会社を首にでもされたら考察 の俺を社員として雇ってくれる会社はない かもしれないそれは俺にとって最も怖い だったたまにトイレや部長のいないところ で何もできなくてごめん負けるなと言って くれる同僚のおかげで俺はなんとか メンタルを保ってい たしかしこのまま雑用だけをしていては俺 は絶対に建築士という夢を叶えることは できない焦りを感じながら生きていたある 日朝礼で部長が言った再来月に社員旅行が あるんだがが今年はうちの部署がカジ らしい誰か漢字やりたい人はいないか部下 を見渡す部長と目があっ た南お前しかいないよ え僕ですかプランを考えて手配を頼むこれ までで一番難しい仕事だが期待している よ部長がにやっと笑っ た建築とは全く関係ない仕事なんだけどな そう思ったが俺は黙って 頷くそういうわけで俺は1泊2日の社員 旅行のプランを立てることになったのだっ た毎年高齢の社員旅行実は幹事しかプラン を知らないというお楽しみ旅行なのだ どうせやるならみんなを楽しませなくちゃ そして俺自身も以前のようにみんなと心 から笑いたい俺はみんなの笑顔を 思い浮かべながら一生懸命プランを練っ た1週間後俺の渾身の一作となったプラン を部長に見てもらっ た宿泊は旅館かはいここはホームページも ない死に旅館なのですが温泉も料理も とても評判がいいんですよそれにまだ伝え たいことがあったが部長が俺を遮る分かっ た分かった

いいんじゃないかバスと旅館予約しといて くれ よそう言うと部長はさっさとどこかへ行っ てしまっ た建築とはまるで関係ないが俺は初めて 仕事で部長に褒められたこうやって少し ずつ認めてもらおうちょっとだけ心が軽く なっ た社員旅行を成功させようと俺は抜かり なく準備をしたそしてついに社員旅行のが やってき た南君幹事ありがとうどこに行くのか 楽しみにしてきた よバスの中で田所の人たちが嬉しそうに 話しかけてくれた2日間楽しんでください ねみんなの笑顔に俺も久しぶりに紅葉感を 感じた簡単に皇帝を説明するとバスで1 時間移動して海が見えるレストランで ランチさらにバスで1時間移動後17時 まで自由行動17時に公園に集合しみんな で旅館へ移動旅館ではカラオケ大会を開き みんなでレクリエーションをして 盛り上がる翌日はバスで観光名所を回り ながらキロに着くという流れ だ1日目海の見えるレストランは大好評 再びバスに乗って移動し目的地に着いた バスを降りる前俺は合時間と場所を 伝えようと 立ち上がる集合時間と場所はバスが出発 する前お前がトイレに行っている間に みんなに伝えておいたから大丈夫だぞそう なんですねありがとうござい ます珍しく俺に協力してくれる部長驚いた が素直に嬉しかっ たさあ皆さん各々楽しんでくださいそれで は一時解散 みんな笑笑とバスを降りていった俺も みんなに続きバスを降りようとすると部長 に止められたみなやればできるじゃないか あありがとうございますレクリエーション の景品はもう買っているのかはい楽しみに していてくださいみんな喜ぶだろう なそう言うと部長はまた後でと言ってバス を降りていった部長が普通に話してくれて 俺は嬉しさが込み上げてきたこれからは 仕事でも部長とうまくやっていけるかも そんなことを思いながら俺は家族へのお 土産を買ったりして集合時間まで1人で 過ごしたさて17時前になり俺は集合場所 の公園に 向かうまだ誰も来ていないなきっとみんな 各々の時間を楽しんでいるんだろうな みんなを思い俺は心が 温まるしかし117時になってもそれから 20分経っても誰1人として公園にやって

こなかった部長さえもだ部長集合時間と 場所を勘違いしていないかそして間違った ものをみんなに教えたんじゃないかな俺は 急いで部長に連絡した部長今どこですか 公園に誰も来ないですがああ悪い悪い ちょっと遅れるから先に旅館に行ってくれ ないか大丈夫みんなここにいる からみんなここにいる部長の言葉を聞いて 俺は不安になるえ皆さんそこにいるんです かどういうことですかあ実は部長が声に なるみんなで幹事をやってくれたお前に サプライズしたいってになってなちょっと 話し合いに時間がかかってしまっているん だ よ部長の言葉を聞いて俺は換気余るもう 少ししたら旅館に向かうから先に旅館に 行ってくれないかはいありがとうござい ますきっと驚くと思うよ楽しみにしといて くれそう言って部長は電話を切ったこれ までの社員旅行で事にズなんて1度も なかったもしかして部長がみんなに サプライズしようって提案してくれたのか な1人で歩いているのに自然と笑がこぼれ た部長に言われた通り俺は一足先に旅館に 向かったすみません90名貸し切りで予約 していた南です他のものはもう少ししたら 来ますのでお待ちしておりましたお食事は 予定通り19時からでよろしかった でしょうか さすがに19時にはみんな揃うだろうそう 思い頷い たしばらくまとうと俺はロビーのソファー に座る昨日緊張してなかなか眠れなかった からか俺は一瞬で眠ってしまっ た南様南様あすみませんみんな着きました かそれがまだでしって う時計を見ると18時 外はもう真っ暗だ部長たち道に迷ったのか なさすがに心配になり俺は再び部長に電話 した部長今どこですか大丈夫ですかうなん だって周りが騒がしくて聞こえない な部長の後ろはまるで宴会でもやっている ような騒がしさだったしかもなんかこの人 酔ってないか いつもより彼の受け答えはヘラヘラして いる俺は訳が分からなくなっ た19時から食事の予定なんですが部長 たちは今どこにいるんですか今 ホテルそんなボロい旅館なんて止まらねえ よその旅館大打撃だな部長の言葉を聞いて 俺は呆然となりしばらく声が出なかった 俺の様子を心配した旅館のスタッフが俺の スマホを取りスピーカーモードに する部長俺を騙したんです か俺は怒りと絶望で震えていたがスタッフ

が横にいたためなんとか声を 絞り出す騙したも何もお前のセンスがどう かしているんだよ今だけホームページも ないなんて怪しいに決まってるだろう やっぱり高卒はダメだ な90名分の料理 が俺は大広間に並べられた料理の数々に目 をやるどうせ大したもの出ないだろう こっちはローストビーフにカにみんな とても喜んでいる ぞスタッフも顔が 曇るキャンセル量はそんなのお前持ちに 決まってるだろ無理なら社長にミスりまし たってきつけばいいさ考察のお前を拾って やったのは柊木社長なんだってなお前の 仕事のできなさはしっかり見せてやらない と な言いたい放題の部長に俺はあることを 教えて あげるあのこの旅館社長のご実家ですけど はあ何言ってるんだそんなわけない だろ鼻で笑う 部長話は分かったわさの 部長振り返るとそこには柊社長が立ってい た社長は急な出張が入り社員旅行は欠席の 予定だった社長がいないことを言いことに 部長は好き勝ってしたようだが社長の声を 聞いた部長は電話の向こうで明らかに焦っ ている様子だった部長だけでなく社長の 登場に俺も 驚く社長出張だったのでは本当は明日まで だったけどさっさと終わらせてきたのよ年 に1度の社員旅行よせっかく社員全員と 飲める機会を流したくなくて ね社長はそう言うとペロっと下を出し たあんたお酒飲むために帰ってきたんかい 全く誰にいたの か後ろから将さんがやってきて呆れ顔で 社長を 見るのべなのは100%お母さんによだっ てお父さんはお酒飲めないじゃないあら 社長のご両親もそちらにお見えなのです か部長はなんとか話題を変えようと必死だ 初めまして娘が大変お世話になっています 私この旅館の女をしております今日はは 我が旅館にお泊まりいただけるということ でみんな一層気合いを入れております ところでいつおいでなんです かこれまでの会話を聞いていた女将が わざと部長に尋ねる ああ女将さんえ社長のお母さんがえ冗談 じゃなく て部長は理解できず電話の向こうで ごにょごにょ言っているいや東大卒の人が 理解できないわけがない彼は自分が若にし

てドタキャンしようとしたこの旅館が社長 の実家だったという現実を受け入れられ ないだけ だようやく部長が謝ってくれると思いきや 彼はまだ悪あがきを続けた私は南に騙され ただけですホームページもないボロ旅館 って俺に吹き込んだのは南なん ですを呼んでもなお俺をはめようとする 部長社長を見ると社長は大きなため息を つい た笹野部長の言う通りうちは創業103年 のボロ旅館よでもありがたいことにホーム ページがなくても連日満室なの今日は娘の ためにって両親が貸し切りにしてくれたん だけどこんなサプライズが待っていた なんてねち違うんです私の部下の祖は上司 の私が責任を取りますキャンセル量は きちんとお支払いしますので女将さんこの 度は申し訳ありませんでし た部長は相変わらず自分の日を認めず しかし謝ってなんとかこの場を丸子を収め て電話を切ろうと必死だここは普通に 止まったら1人1泊3万円なのでも娘価格 で1人1万円に負けてもらったのよよだ から90万円ね今月の給料と来月支払わ れるボーナスから天引きしとくわじゃあ 今月末で退職ということで退職届けの提出 をお願いねそう そんな部長の言葉をまたずして社長は俺の 電話を切った社長将さんやスタッフの皆 さん本当に申し訳ありませ ん俺たちののために準備を頑張ってくれて いた方々に俺はひたすら頭を 下げるすると社長は俺に顔をあげさせ たあなたが謝る必要はない でしょ確かにそうだが旅館の方に迷惑を かけてしまったのには変わりない俺が下を 向いてもごもご言っていると社長が俺の顔 を覗き込ん だ自分が悪い時は潔よ頭を下げなさい でも自分が悪くないんだったら謝る必要は ないすぐに謝ることで自分の価値を下げ ない で社長の言葉が胸に刺さり自然と涙が出て き たでも1つあなたに説教することがある わ社長が俺の顔をじっと 見る私面接の時に言ったわよね困ったこと があったら何でも言ってっ てささの部長から嫌がらせされていたこと なんで相談しなかったの覚えてなかったお 覚えてましたでもでもその言葉を言って もらったのははるか11年も前のこと しかも当時父をなくしたばかりの俺を勇気 づけるために行った言葉だと思ってい

た社交事例じゃないわよあれすみません でしたそうね今は謝るべき時 ね社長はそう言ってにっこり笑った来週 から佐の部長は来ないから安心してだから 引き続きうちで頑張ってもらえる かしら柊木社長が11年前と変わらず俺の 居場所を作ってくれたこと感謝してもし きれない精一杯働かせていただきます 社長は俺を見てにっこり笑い頷いてくれた とその時入り口からぞろぞろと集団が入っ てき たみんな部屋着で手ぶらおそらく地元の人 たちだと思われる社長の顔がパッと明るく なった皆さん集まってくれてありがとう さあ座ってうちの旅館は料理もお酒も絶品 よ今日は楽しみましょう 実はこの人たちは社長のSNSのつぶやき によって集まった人たちだっ た約90名分の料理が余っています もちろん無料食べてくださる方はここに 集合旅館の住所と共にこの記事がアップさ れてまだ1時間も経っていないが次々と 旅館に人がやってき たさすが社長ただののべじゃないね 女将さんが社長の背中を 落ち着く当たり前じゃんお母さんの子供な んだ からドヤ顔がそっくりな女将と社長素敵な 親子だな2人のやり取りに俺は心が温かく なっ たそれから次々と集まる初めましての人 たちと俺は楽しい時間を過ごした同僚でも 友達でもない人との初めての宴会俺のこと を何も知らない人たちだけど目の前の俺を まっすぐに見て受け入れてくれたとても 温かな人たちだったおかげでここ数ヶ月 悩んでいた高卒というコンプレックスが 自然と消えていった途中から社長が横に 座ってき た南君の夢は 何俺はしばらく考えた後こう答えた建築士 になることです 建築士になってそれぞれの家族に会った家 を作ってあげたいです成長した ね社長はいきなり俺の頭をくしゃくしゃと 撫でてきた俺がびっくりしていると社長が 笑う鳩が豆鉄砲を食らったような顔してる よ大丈夫私酔ってない からそう言ってビールを流し込む社長 こりゃ完全に酔っているな 俺が苦笑いしていると社長が言っ た降参で面接に来た時同じ質問をしたの 覚え てる俺は当時を思い出すあの時俺は 確かうちは団地暮らしだから家族に自分の

設計した家をプレゼントしたいって言って いたわよ ねそうですその通りなんですが俺は社長の 力に底を驚い た社長社員全員の死亡同機覚えているん ですかんなわけあるか俺は頭をはかれたで も南君のは覚えてた本当に建築士になりた いって気持ちが伝わってきたからねだから 私は君を採用したの よそうだったのかてっきり父をなくしたと いう俺の将を悲観して採用してくれたもの とばかり思っていたから社長の言葉はこの 上なく嬉しかっ たあれから11年自分の家を作ることから お客さんの家を作ることに夢が変わった ことにあなた自身は気づいていた かしら社長に言われて俺ははっとした社長 の言う通りだいつの間にか俺が夢見る光景 は自分の家族の幸せからお客さんの幸せへ とシフトしていっ た他人の幸せを考えられるようになるのは 簡単なことではないのよどんなにいい大学 を出ても自分のことしか考えられない人も いるもはや高卒とか大卒とか関係ないのよ ね社長の言葉が人員と胸に響いた社長俺 絶対に建築士になり ます俺の強い決意表明に 社長が目を 細める困ったことがあったら必ず相談する こと2度目は許さないから ね はい社長の念押しの言葉は強くそして優し さに溢れてい たその後も宴会は続きお開きになったのは 日付が変わるギリギリの頃社長はすっかり 出来上がり女将とカラオケを熱し 初めましての人たちもすっかり打ち解け 合い俺を含めみんな楽しい時間を過ごせた ようだジェットコースターのような1日 だったがとても心に残る1日となっ た翌日他の社員と合流したがそこに部長の 姿はなかっ た洋平ごめんな事情を知った同僚らが俺に 対して次々と謝ってきた 来週からまた図面の書き方を教えて くださいもちろん野球建築士絶対なろう な同僚らも俺が建築士になることを応援し てくれている夢を夢で終わらせないぞ俺は そう強く決意し たそれから1年が経過した俺の右手には2 級建築士の合格証明書がしっかりと握られ ている ただいまお帰りよみんな待ってるよ家に 入ると妹2人がもう父の仏壇の前に スタンバイしていたお父さん俺2級建築士

の試験合格した よ俺は父の家に向かって 話しかける私も看護した助産師の国家試験 合格した よ助産師を目指して大学にっていた妹も 無事に国家試験に合格来月からは助産師と して働き 始めるお母さんお兄ちゃん大学に行かせて くれてありがとうこれからも精一杯頑張る ね妹の言葉に俺も母も累 崩壊これからも前を向いて頑張って生きて いこう な4人とも強く頷いたそんな俺たちを父が 優しい差しで見つめてい た一緒にご飯食べる人がいて楽しかった からお金はいらないの よ妻がそう言って子供のポケットに50円 玉を入れ た明日もちゃんとご飯食べて学校行くんだ ぞ幼稚園ですそうかじゃあ な俺たちはやりきれない思いで夜を過ごし た町はクリスマスの飾りで賑わっているが 外は5時にはもう真っ暗になりなんとなく 気が合せる早く家に帰らなければそんな気 にさ せる俺は武田翔吾37歳駅とりの商店街で 精肉店を営んでいる祖父の頃からだから 歴史は古いだからと言ってそれを誇るよう な店構ではなく地元の馴染み客相手だ暗く なっても仕事を終えた主婦たちがこの町に 到着するのにはまだ時間がかかる親父の台 は専業主婦が多かったから4時5時が 買い物のピークだったが今はその時間帯は 老人が中心で働く主婦はもっと遅いその 時間を見計らってもう一度勝やコロッケを あげ焼き豚を並べるサラダや牛筋煮込み ハンバーグなどの惣菜は妻のあみが担当だ その主婦たちの足取りも7時頃にはとえ 店じまいをして俺たちの夕食となる店の奥 に台所と部屋があり夕食はここで済ませて 帰っている俺が子供の頃はここが茶の間 だったが今は店の裏に自宅があるクレを前 に少しスタミナでもつけようと今日は すき焼きを食べることになっていた 夜に降ると言っていた雪が夕方から ちらつきだんだんと本格的になってき たシャッターを下ろすため自動ドアの スイッチを切ろうとして店先に出た時だ手 をついだ子供が俺の前で立ち止まった スウェットに薄のジャンパー手袋もしてい ないおどうし た兄弟は上が小学校1年くらいだろうか 男の子らしいしっかりとした顔付きで下の 子は珍しそうに店先の釣りを見て いるあのん迷子

か上の子は首を振って一呼吸を置くと 大きな声ではっきりとこう言っ たご円しかないんですがコロッケ変えます か握りしめた手を広げると50円玉が出て きたうちで1番安いコロッケでも70円は するそんなことよりこの天気の中この服装 で子供2人そっちの方が気になっ たとにかく寒いから入り なそう言って2人を中に入れる店の中から 様子を見ていたあみがおいでおいでと言っ て手招きしてしゃがみ込んだ 寒いねどっから来たの団地のそばああ あそこか寒いのによく来たねコロッケが 欲しい の今度は言葉もなく頷い たお家には誰か いる首を振るお母さんいない のこれにも無言で 運お父さんは 仕事いつ帰ってくるのかな明日じゃあ夜 2人だけお家には今誰もいない の子供の頷き方がどんどん大きくなって いくあみが俺を見上げ俺も無言で頷い たじゃあさあおばちゃんたちと一緒にここ でご飯食べないごめんねコロッケ全部売れ ちゃった今日ねすき焼きするの一緒に食べ ていか ない子供は無言であみを見ている嫌いか な子供は俺とあみを交互に見た後すき焼 きって何ですかと聞いてきたあごめん ごめんじゃあさお肉は 好き 大好き元気よくそう答えた弟を嗜めるよう に兄がついでいた手を引っ張っ た じゃあねすぐ準備するから待っててここ 上がってこたつ 入ろう俺は自動ドアを停止させ看板と店内 の電気を落として部屋に入った妻はすてに 俺たちの食を移動させ兄弟が並んで座れる ようにした子供たちはすき焼きが初めて だったようだあが卵を解き肉を小さく切っ て食べさせる子供たの顔がみるみる上気し て俺たちにも満足感が満ちていっ た子供の名前は西野タ弟は誠と言った5歳 と3歳の兄弟だ母はなぜいないのかを聞い ていいものなのか迷ったからじてあみが お母さんはいつもいないのと聞くと うんお父さんもいつも夜いないのと聞いた 時も運だった 冬休みにおばあちゃん家とかどこかに遊び に行ったりしない夏にどこか行かなかった 行かなかっ たお父さんが忙しいのねお父さん田舎は 嫌いだってそっ

かタはまっすぐに人の目を見る子供だった もし俺たちの方にこの子を拒否する気配が 見えたらうを言わさず立ち上がって帰って しまうんじゃじゃないかとさえ思っ た俺たちには子供がいない俺たあは高校の 同級生どしたが当時は付き合いがなかった 卒業して俺は都会に出たが彼女は田舎に 残り銀行委になった俺は田舎を出たくて出 たくて仕方なかった肉屋をつきもなかっ ただが俺は1人っこだ厳密に言うと姉が いるだが親は姉に店をつかせる気はなかっ たし姉にももちろんそんな気持ちはない俺 より4年早く高校を卒業し専門学校を出て トリマーになり都会で数年働いた後地方に 嫁に行った誰もが娘はそんなもんだと思っ ていたでも俺は姉が羨ましかった自分が やりたい職を選んで進路を決め学校でも 勤め先でも自由に選べる 俺は肉屋を告げと言われ嫌だと断った都会 に出て働きたいと言ったこんな地元の商店 街に埋もれたくない都会は田舎の高卒者が 簡単に就職できる場ではなかった専門学校 に行きたいと言ったら調理師の学校なら 行かせてやると言われた肉屋を継ぐなら 調理ができた方が有利だから苦肉の柵で親 が提案してきたの だ俺はもう進路なんかどうでもよかった こんな田舎に住みたくないそれだけだっ た俺は上京し学校に通った専門学校は バイトをするような時間の余裕がない親の 仕送りで暮らし就職後は仕送りが打ち切ら れた親も後月は無理だと思ったのかもしれ ないだが俺も思ったほど都会に住む喜びを 見出せていなかった 稼ぎにあった家賃で暮らそうと思ったら 都心から離れるしかないからどこに行くに も地下鉄に乗らねばならない田舎は コンパクトに何でも1か所に集まっている が都会は交通が発達している分分散して いる俺は学生時代の長すぎる地下鉄通学が 嫌で安くても便利さを取ろうと都心の古い アパートを借りただが想像以上に環境が悪 すぎた 火は当たらないし隙間かも騒音もひどい 備え付けのシンクも狭くて古臭く街中も出 た朝から1日働いて月給をもらっても 部屋代と食費で大半は取られる俺は都会に 出たら野球でもコンサートでも行きたい ものに行き買いたいものを手に入れるんだ と思っていた田舎ぐらしが不自由だった分 都会を王化しようと思っていたのに俺自身 が現実に厳密していた仕事帰りにコンビニ で買った弁当をアパートで食べながら こんなんだったら昔の店の奥の茶の間 ぐらしの方がよっぽど増したと思ったの

だ1人2人とゆターンで田舎に帰る仲間も 出てきて俺も観念して23歳で戻ってき た対象的にあみが都会に出なかったのは下 に兄弟が2人たからだ考察で働くという 選択肢以外を考えたことがなかったと言っ てい た母親が祖父の介護に追われ高校の頃から 家事を手伝っていたという田舎に戻り地元 の仲間と会う機会が増えその仲間たち同士 での結婚も増えていくそこから大して口を 聞いたこともない別のクラスの女子たちと も繋がりができあみと付き合うようになっ たのだった 雪がひどくなる前に帰らないとね待って てあみは立ち上がり鳥の唐揚げやポテト サラダなどを詰め始め た明日の朝ご飯はあるのパンお家に電子 レンジあるはいじゃあお肉はあっためてね サラダは冷蔵庫に入れるんだ よみかんもあげるこれも落とさないように 持って帰ってねおばちゃんたちね一緒に ご飯食べる人がいて楽しかったから今日は おばちゃんたちが招待したんだからお金は いらないの よそう言ってジャンパーのポケットに 50円玉を入れ たあみはテキパキと容量が良く気前もいい ので見ていて気持ちがいい母親になったら 子供の悩みでも不安でも大きく包み込ん でき飛ばすきもったま母さんになった だろうといつも思う末っ子の俺より しっかりして いる団地は商店街を抜けてすぐだだが雪も 降っているし後片付けをあみに任せ俺が 送ることにした両手に子供の手を握って 歩くなんてなんだか照れ くい3階建てが6とを並ぶアパートのそば にこの子たちが住む老朽化したアパートが た俺が物心ついた時にはあった建物だから 地区40年以上経つのではないか団地で すら建替えの話が出ているからこの アパートだって取り壊されるかもしれない 階段裏の1階のドアを開けると中は真っ暗 で火の気も ない寒くないか電気マットありますそうか じゃその上で温かくして寝てなカーテンも 閉めないとだめだぞあの うんタの目が一瞬泳いだ後まっすぐに俺を 見てこう言っ たここに来たこと誰にも言わないで くださいお父さんがダメだってうん分かっ た誰にも言わない安心していいよじゃあ おじちゃん行くわ明日もちゃんとご飯食べ て学校行くんだぞ幼稚園です そうかじゃあ

なタははいと言って頭を下げた後ろでマが 手を振っていたドアを閉め俺は重い気持ち で店に帰ったアパートの玄関先にスーパー の袋いっぱいに缶ビールやチハの空き缶が 入っていた部屋の中も荒れているのが一目 でわかったとても幼い子供が暮らすような 環境ではない あんな幼い子供をほったらかしにする父親 は何をしているのかそもそも子供たちを 残していける母親の神経が分からないどの ような事情があるのか定かではないのに俺 はやりきれなさから腹が立ってい た西野健二だって父親の名前家に送り ながら聞いてきた26歳だってさお母さん はって聞いたら2つ違いって言ってたから 多分24か なたく君が5歳ってことは18で妊娠して 19で産んだってこと ね俺はため息をつい た俺たちが不妊治療を始めたのは30歳の 時だった20代の半ばで結婚したのに待っ ても待っても気配がない俺がまだ親父と 一緒に店をやっていた頃だ 親父は何としてでも息子をと願っていたが 俺は俺のようにあすという重荷を背負わ せるのが嫌で女の子がいいと思っていた 子供はいらないと思ったことはないそれは あみも同じだっ た後から結婚したあみの弟たちはすでに 2人も子供がいるのに俺たちは一向に 授からない2人で検査を受けたがどこにも 異常はなかった その結果を持って俺は親にこれ以上俺たち の前で孫の話はするなと言った誰のせいで もないしどちらかに原因があったとしても せめていい理由にはならないそれ以来両家 の両親は大人しくなっただからと言って 解決したわけではない俺たちは仕事の合間 を縫って病院に通い妊娠の知らせを待った だがだんだんと俺はどこかでやめ時を決定 しなければと思ってい た生理が来たと言ってその度に涙を流す あみを見るのが辛くなったのだあみは もっと辛かった だろう不妊治療が楽ではないことくらい俺 だって知っているそれに絶え待ち続けた末 に楽単し気を取り直して次に 望む仲間と会う時も幼子供を連れてくる 友人が 羨ましく子供が熱を出したと言って飲み会 を欠席するのさえ妬ましいと言った同級生 だが誕生日はあみの方が早い俺は車で海辺 に連れ出しそこで不妊治療の終わりを提案 した結婚する時に幸せな暮らしを目指した のに子供ができない不幸な俺たちという枠

にとらわれてしまいたくないこれ以上治療 で苦労する姿も毎月落ち込む姿も見てい られないと正直に話したあみも聞きながら 泣いていた誰のせいでもないのにごめんね と言ったお互いもうこのことで罪悪感を 持つのはやめよう自ら産まない選択をする 夫婦も多いのにそこに囚われすぎて他の ことが見えなくなってしまうのはあまりに も人生が惜しいではない か家族も自分たちも健康で商売も順調これ だけでもありがたいことなのにそれが 分からなくなるような暮らしはもう やめようそう決めたのが俺たちが35歳に なった時の年だもう2年が過ぎ た俺たちに子供がいたら贅沢はさせられ なくても毎日うまいものを食べさせこんな 季節は温かい服と温かい部屋で何の心配も なく暮らさせやるのに言葉にはしなかった がきっとあみも同じ思いだったと思う カーテンの隙間のガラスが雪で薄明るい俺 たちはやりきれない思いで夜を過ごし たそれから2日後だっただろうか今度はタ が1人で来た思い詰めたような顔で 握りしめた手を 差し出すあの日の50円が握られていた 待ってある よ同じ言葉を2度と言わせたくないん だろうタが何かを言う前にあみがトグを 持って動き始めたこの間コロッケ食べられ なかったもんね待っててね揚げたてだから おいしい よあみはいくつかのコロッケを3つずつ髪 の袋に詰めビニールを渡し たこんなに買えませんいいのこれはね クリスマスのプレゼントだからねまこ君と お父さんみんなで食べていっぱい食べて 大きく なろうタはさすがにためらったようだが あみが手を取って袋のとっ手を握ら せるすみませんこういう時はねありがと うって言えばいいのよどうもありがとう ござい ますふぶかと頭を下げる姿が 滑らないように気をつけて帰りなねまた 来い よ俺もとっさにそんな言葉が出たくるりと こちらを向いたあみの目からポロリと涙が こぼれ たなんでこんな小さな子 がその日俺たちは市役所の児童福祉の人に 相談してみようかという話をしたが俺たち の通報で誰かが家を訪れたとなればタは親 に何をされるかもわからないそれが一番 心配だったタが俺が家に来たことを言わ ないでくれと言ったのは見れを恐れての

ことなん だろうとにかく少し様子を見ようそのうち 親が来るかもしれないし さ金のない子供が食べ物を持ち帰ったと なれば誰かがくれたか買ってやったかしか ないコロッケを入れる紙袋には小さく武田 という店名が入っているからそのうち父親 の方から訪ねてくるかもしれないそう結論 付けて少し待つことにしたのだだがその 期待はあっさりと裏切られ た前の晩忘年会で飲みすぎた俺はその日1 日体調が最悪だった仕事が終わった後あと スーパーに行ったがトイレに駆け込み 割り込んでいたしばらくしてドアの外で声 がし たお父さん寒いよ帰りたいもうやりたく ない よタがやらなかったら誠のご飯もないぞで もどう聞いてもタの声だ相手は父親だろう か俺は気配を感じさせないよう息を殺して 話を聞いていた この50円持って迎いのパン屋に行って こい僕コロッケ食べたい何度も同じ店に 行ったらまずいだろ今日はパンで我慢しろ うまくいったら冬のジャンパー着せてやる からほら行って こい人が出ていく気配に俺も注意深くドア を開けたスーパーの出入り口に行ってみる とガラス越しに外を見ている男がいる 痩せた若い男だったパン屋は通りを渡った 斜め向いだ俺は外に出て人を待つふりをし て携帯をいじりながらチラチラと通りの 向こうに目を向け たパン屋の前で一瞬こちらを振り向いたタ が諦めたように中に入っていくのが見え たしばらくして袋を抱えたタが出てきたと 思ったら見ていた男がしに歩き 出すしばらく並行して通りを歩いた後タが 消えた路地に向かって走っていっ たあいつは絶対西の健二だ俺は怒りでどう にかなりそうだった何をどうすべきか わからないが気持ちが収まらないもし今 ここで奴に何かを言ったとしても俺が加害 者になるだけだったろうだがタを止める こともせず交感者になってしまった自分に 悔しい思い出いっぱいだっ たね父親の 指俺の話を聞いてあみもびっくりしていた 子供にそんなことさせるなんてよく我慢し たね頭に来たでしょ目の前でそんなセリフ 聞かされて何やらせてんだって言いたかっ たけどなそれで怒りの目先がタに向いたら と思うと なんか何もできなかったんだよなでもその 場で止めた方が良かったのかななんか自分

でもよくわかんなくて さこのままじゃたくちゃんたちこの街の 悪道になっちゃうよねなんとかしないと な次の日俺たちは胃を消してタなアパート に向かった誰もいなかったらいや子供た ごといたらどっちでも困るがこの時間なら 2人は幼稚園だろうと踏んでお昼前に結婚 し た部屋のドアを叩く最初はノックだったが 音沙汰がないので拳で叩い た玄関前の空缶は袋が増えていたくれに 掃除もしなかったのか隣の部屋は玄関脇の ガラスがバレたままになっていた空室だろ 新しいダチアも建設中だ今時古いアパート には越してくるものもいないん だろうたたちはこの家に住んで父親の食分 を稼いでいるの か俺はドアを叩く手に力が入っ た誰です か中からいらついた声がした声を出そうと する前にあみに押しやられるあすみません 西野さんののおタですよねお届け物に あがりまし た頑張って若い娘の怖を演じるあドアを 開けさせるためには狼になってはならない 羊に化けるのだ 届け物はい出来たてなので今召し上がって いただきたいんです何それ 開いた俺はドアを掴んで思いっきり全開に し たこんにちは竹田屋から来ました揚げたて のコロッケと温かいお惣菜あとすき焼き用 のお肉 ですおばあ ちゃんまずい子供たちが冬の下着姿で 飛び出してきたいたのかあああうまいもん 持ってきた ぞとりあえずそう言うと子供たちの完成が 上がった父親の方はういている今立て込ん でるんで なんなら私が片付けましょうかただで サービスしますよそれ も羊だったあけみはいつものあみに戻って いた私この子たちに食事させる わ俺にそう言うとさっさと靴を脱いで 上がり込みコロッケ食べようと言って子供 たちに服を着させ父親の見事には夫と話し てください子供たちと車に言いますと言っ て2人を連れ出したうを言わせない気前と した目だった俺は台所の床に座り込ん だなんなんだよいきなり来 て子供が出ていったのを見てケンジが すごん だ昨日スーパーにいただろ西通りのトイレ にいてね聞こえちゃったんだよ2人の

会話わざと薄着させて小銭に握らせてでタ が嫌がったらまも飯抜きだって言って 送り出しただろう俺たちはコロッケ屋の 主人 だ別に盗んだりしたわけじゃないあんた たちが勝手に子供たちがいない時間に 来ようと思ったんだが俺たちには子供がい ないもんで幼稚園がいつまで休みなのか 分からなくてねそれは済まなかったと思う それよりいつまであんなことさせるつもり でいるんだ子供はだけで感情がないわけ じゃない物乞いで物が食えばそれで喜ん でるとでも思ってるのか父親なん だろうあんたに何がわかるって言うんだよ 子供もいないくせに子育てしたこともない 奴にグダグダ説教なんてされたくないね 余計なお切開はやめて くれ覚悟はしていたが痛いところを疲れ俺 は静かにため息をついて気持ちを整え た福祉のプロに任せるかとも思ったが親 から引き離されて保護されたとしても親が 変わらなかったらまた同じことになるし 父親がどんな人なのかを知りたくてねその 権利があるだろう俺たちに は俺は靴を脱いで奥の部屋に入った 押し入れがある六畳一間 マットの上に敷かれた布団以外毒にもは ないがゴミは散乱していた 幼稚園の制服が開けっぱなしの押し入れの 中に押し込まれている健二は無善とした顔 で座り込ん だ床中に散らばったゴミの中に武田屋の油 が染み込んだ紙袋もあっ た竹田屋は俺のひーじいちゃんが始めた店 なんだ戦後の何もない時に庶民が食べ られるものを売ってこれからを生きて もらおうってねそうだろう 死ぬ恐怖はもうないんだ食べだれさえすれ ば生きていけるんだ から俺は成行きで後を継いただけだけど人 がうまいと言ってうちの商品を食べて くれる姿を見るのが一番気持ちいいんだよ 本当に暮らしが苦しくてあの子たちが 苦しんでるんだとしたらこの先も手助け しようと思ってたよでも腹さえ満たせば 解決する問題でもないからね手助けするに しても 事情が知りたいん だノックと共にドアが開きあみが包みを 差し出したこれお父さんの朝ご飯しっかり 食べてもらっ ていつの間に準備したのか惣菜の他に おにぎりとお茶が入ったポットがある子供 たち喜んで食べてるから心配しない でそう言ってまた消え

たまあとにかく食べて揚げ物は温かいうち がうまいんだ別に俺たちは何か害を 加えようと思ってきたわけじゃ ない弁当を前に賢二は俯いているこれ以上 すごんでこないところを見るとそう悪人で もないのかもしれ ない人は腹が減ると気力も体力も落ちる そうなると恨み言が募るんだ よ俺はそう言ってすみは開けてあり割り箸 を割って手渡したケンジはすみませんと声 にならない声でいい食べ始め た20代じゃまだまだ食べ盛りだろう一心 に食べる姿を見ていると怒りよりも切なく なるあまり急いで食べると消化不良を 起こすよゆっっくり食べ な俺はポットのお茶を紙コップに入れて あり俺も一緒に飲んだ報じ茶の香ばしい 香りが 満ちるうちの奥さん料りうまいんだよ調理 師の俺より全然プロはい美味しいです子供 たちも喜んでました すき焼き肉持ってきたから今度は一緒に 食べ なお茶をすって咳き込む姿は込み上げる 感情をごまかすようにも見え 都会の古いアパートで1人コンビニ弁当を 食べる自分の姿が重なって見えるようだっ た1人でも行き詰まっていたのにそこに 子供が2人もいたら俺だって途方にくれた だろうケンジに食事をさせるため俺は1人 でそんな話をしてい た健二ははで父親になった相手は高校時代 の後輩 両方の親に反対され家を出てここに住んだ と片で稼ぎ借金をして店を出したのみや だったこれからという時にコロナで思う ように営業ができなく なるそれもなんとか落ち着いてやっと通常 通りに店を開けられるようになり体調が 悪い日も休まなかった結局自分が原因で客 に食中毒を蔓延させてしま ノロウイルスだった当時は子供たちの母親 もいて一家で苦しんだ休業中に家の前に 誹謗中傷の張り紙を貼られSNSで拡散も されて店は閉店に追い込まれた借金を返し 生活を維持するためまた土方に戻るしか ないと思っていたが子供たちが回復するの を待つように妻がいなくなった素人が店 なんか出しても妻は最初から反対だったが 経営者になりたい欲で開業にこぎつけた挙 の失業だ酒が見えない暮らしにイけが刺し たのだろう自暴時期になり酒を飲んで 過ごしているとタが近所の店から賞味期限 が迫った菓パンをおまけにもらってき た子供への道場心を利用することを

思いつき強制的にやらせてしまっ た健二は俯いたまま淡々と話し たこんなことはダメだってことぐらい俺 だって分かってるのにすみませ ん俺たちの被害なんて大したことじゃない さ店をもう1度やりたい気はあるの いえもう挫折感しかない です借金までして開業したんだからそりゃ 心は折れる だろうでも1度はは夢を叶えたんだその ことは自分を褒めてやってもいいと思う けどね頑張ってやったことに変わりはない コロナの打撃は誰も予想できなかったんだ しでも別の道を選ぶってことは結局失敗し たってことですよ ね俺だってやりたいことをやれたわけじゃ ないさ何も成し遂げないまま東京を 引き払ったんだでも今の暮らしが逃げや 負けだとも思わない 結局親の後を継いで当時は諦めみたいな 気持ちもあったけどそういう中で知ら なかった喜びを見つけることもある逃げる んじゃなくて方向を変えるだけだ目的は 同じだろ子供が誇らしいと思う父親になり たくないの か健二はお茶の入った紙コップを手にうい ていたこれ以上他人の説教なんか聞きたく ないだろう帰るかと思ったらあみから LINEが来 たうちの奥さん子供連れて銭湯行ってこ いって言うんだけどどうその間に部屋掃除 するって いやまあいいじゃないか寒いしあったまっ て こよ仲間強引に男4人裸の付き合いをして 子供たちは大はしゃぎだっったそんな姿に 剣の表情もほぐれていくとにさっぱりした と 思うアパートの方も一掃されていた元々物 がないからゴミさえ捨てればかなり すっきりするあみはシンクや冷蔵庫を 磨き上げ近所のスーパーで牛乳やチーズ などを買い込み詰めてきた らしい何かあったら力になるから何でも 言ってくれそう言って別れた子供たちの 笑顔が明るいほどに胸が痛んだあみの奮闘 とは裏腹に俺はあまり役に立たなかった気 がする気を紛らわせることはできたろうが 確かに健二の言う通りだ子育て経験もない 他人に家庭の相談などする気にもならない だろうでもこれが生活改善のきっかけに なればいいじゃない私たちができることは やったんだからそれでもあの子たちが来る ようならどうするどうすればいいんだろう あんなこと続けてたら私たちは許しても

そのうち誰かに通報されない下手したら 街中の噂になってあのアパートすら住め なくなり そう俺たちは心のどこかでいつもあの家族 を思いながら静かな毎日を過ごしてい た何度かアパートのドアに惣菜の袋を ぶら下げてきたが音沙汰はなかったあまり 必要に手を出すのも帰って父親の感情を魚 でするようでどうすることが正しいのか 分からなかっ た2週間ほどが経った頃だ突然昼過ぎに 賢二が店に来たおどうした子供たちは子供 は保育園に行ってます前は母親が家にいた んで幼稚園に入れたんですが保育園でも 預かってもらえることが分かってああ じゃあまだ時間はあるなちょっと上がっ てかないかまだ忙しくなるには時間がある し部屋に通すと奥の大所にいたあみが コーヒーを入れてき たケチは2人が揃ったところを見計らって 突然土座したすみません俺ブレーな態度を 取ってしまって俺たちのことを本当に 気遣ってくれたのにおいおいそんなのは いいから話が合ってきたんだろうそうよお 茶なんで落ち着い て健二は頭をあげるとゆっくり話し始め た健二も子供の母親のさえも複雑な家庭 環境で育ち6人親の愛情を受けずに家を出 たタヤ誠が生まれても預けるどころかろに 喜んでもくれない親子供が子供を産んで どう育てるのかやれるものならやってみろ と突き放された 自分たちが愛を受けて育たなかったから 子供への接し方もよくわからない店で頭が いっぱいで子育ては母親 任せろに夫婦の会話がなくなってい たさえが実家に行くはずはないし行き先に 心当たりもないこの先も俺1人で子供を 育てていく覚悟はできてますと言った後で また健二が頭を下げたお願いします 子供たちを預かってください俺長距離 トラックの運転手をやろうと思ってるん ですとにかく稼いでまず借金を生産し ようってそれで夜子供だけで家に置くの は俺とあみは目を合わせ た俺たちに大事な子供を任せようとして くれるのかそれほど緊迫した状況でもある し逆に他人以外頼るものがいない環境でも あっただが俺たちは断るごとにこの家庭の ことを語り合っていたもし頼ってくれる ことがあるならこうしてあげたいとそれが 叶うことになり俺たちの方がありがたかっ たの だそういうことなら俺たちも是非協力させ てもらう

よ源二は何度も俺たちに感謝を述べていた 使っていなかった2階を急いで整理し アパートを出払ってここへ越してきて もらった2階には台所はないが部屋は2つ トイレも風呂場もある日当たりもいいし 料理をしないのならあまり不自由はしない と思う外階段から自由に出入りができる からプライベートも守れるあのアパート よりは数段いいだろうと話していたの だ現時が仕事で夜いない日は我が家で 寝かせ休みの日は親子3人2階で休む親子 が揃う時は我が家と同じ食事を差し入れた 健二の職はあみの父が紹介してくれた今は 若手のドライバーがいないから重宝された という子供たちは俺たちに任せ今は仕事に 集中するようにと背中を押したタも誠も すぐ保育園に馴染み工作や絵を自慢気に 持ち帰ってきた部屋にってやり父親の帰り を待つ環境が改善されたせいか2人とも 表情が明るくなった現時も父親としてそれ を感じるようで地方のパーキングエリアで 土産を買ってきては俺たちにも届けてくれ たタの卒園式はよく晴れた温かい日だった 是非2と声をかけられ俺たちも出席する ことになった保育園の行動には幼い子供 たちと清掃した親たちその中には健二と共 に幸恵さんもい た半年前健二の大型トラックに乗せられて 地方から帰ってきたのだ頼りにならない夫 とは住めないと子育てと経済の困窮に疲れ 果てて飛び出したものの社会で働いたこと のない彼女は相当苦労したようだ住み込み でできる仕事を探しスキー場がある町の 旅館に飛び込ん だ慣れない仕事と人間関係さらには厄介な 客に揉まれ金を稼ぐのはこんなにも大変な のかと初めて夫の苦労とありがたさが身 しみたという別れた幼い子供への罪悪感と すでに自分の帰る場所はないのではないか という恐怖で連絡をするのもためらい彼女 は彼女で多くの苦悩を経験したようだ戻っ てきた時は家族4人ばかりか俺たちも涙を 流し た今はさえさんもパーツで働いている 新しい団地に入居も決まりこの春は一家で 最出発となった卒園式に出席するにあたり 俺はあみに新しい服を買った春服の マタニティだ安定期に入ってだいぶお腹が 目立ってきたあれだ手を尽くしてもダメ だったのにすっかり諦めた時に突然妊娠が 分かり俺たちはしばし然となっただがあみ は2人の子供の気運を受けたおかげだろう と言っていた子供はいなくてもこうやって 人助けして暮らすのもいいねと話していた 矢先のき尾だった俺たちの両親も大喜びで

俺の親父は息子でなくてもいいから健康な 孫が生まれるようにと毎日神社に行って手 を合わせている母もあみに無理をさせたく ないとまた店を手伝い始め義母も毎日の ように顔を出しては果物だの惣菜だの 差し入れるあまりにも周りに大事にされる のでまるでお姫様になったようだと言って あみが笑って いる俺たちも子育てをするようになったら 今まで知らなかった試練や葛藤が生まれる のかもしれない だがお互いへの感謝を忘れず家族を愛し客 を愛して幸せを売る店の天使でありたいと 思って [音楽] いる OG

【感動☆厳選5本総集編】一族全員が医師の彼女の実家に結婚挨拶に行くと、義父「両親がいない?てことは低学歴か!大学も出てないような底辺がよくうちに来れたなw」彼女「お父さん、彼ハーバード大学卒よ」朗読

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