【朗読】【大岡越前 池田大助捕物帳】三人娘／野村胡堂作 読み手七味春五郎／発行元丸竹書房 オーディオブック
野村古道 作池田大輔鳥 町3人 娘育の 避難 1 ほ誰か来てくれ大変だ小僧の熊吉は日本橋 中に響き渡るほど大声を張り上げました なんだなんだ何を味わったんだ想像し通り 3丁目伊豆や三兵の裏に店中のものは文句 を言いながらも打ち寄せる波のように発砲 からどっと集まりまし た今方11年10月18日美しい秋の朝の 出来事からこの怪奇な事件が始まります この中で人間の鳴き声がするんだ駒吉は 厳重に締め切った物置きの戸をさしながら 変な腰つきになって震えております物置き の中に人間がいるものか上かなんか だろう手代の1人は少しからからですほん の鳴き声だぜふみが女の怖色を使うもんか こきもなかなか負けではいませんうわばみ だって男も女もあるよ手代は応じました そのうちに物置きの前に集まったのは男女 を取り混ぜてざと123人 何をそう何をバカバカしい早くあげてみ ないか支配人の矢頃はこの騒ぎを苦しいと 見て筆を耳に挟んだまま飛んできましたが 誰も進んで物置きの戸を開けようとする もののないのを見ると大したうちを1つ手 を立て付けの悪い戸にかけましたガラクタ を放り込んでおくので鍵はかかっており ませんがそれでも外から何の間ないとも なく若木だけはかけてありますパドさん むやみに引っ張ってもきやきやしません 若木がかかっていますよ小僧の1人は注意 しましたちしよのない奴らだ人の揚げ足を 取る隙に若木を外してくれたらどんなもの だ番頭のやろは口コを言いながらぐらりと 板戸を開けましたさっと爽やかな朝日の 流れ込む物置きの中にいたのは荒縄で キリキリと縛り上げられた上地を網目に かぶった若い娘の姿ではありませんかお 保育さんだ20いくつの後期と敏ITUと 死GODと恐怖とこまた視線は嫌も王も なくその凄まじい有様を見てとってしまい ましたおはその時18位主人三兵の名でど の社会に育ち一度は偽物小屋にも売られた を持っておりますが血統の良さはさすがに 争いがく気象が優れているばかりでなく 肉体的には遠と言っても良いほどの美しさ の持ち主でし たその美しい育少し大敗的な感じさえ持っ た育が切られ縛られ涙と血に彩られて秋の 明るい火の中にまつ毛の1本1本もやめ そうにさらされているのです小勢の目は
思わずその凄まじい姿に釘付けになりまし た意識するのもしないのもあったにしても 遠慮は嗜みの介在を許さぬほどそれは 素晴らしい刺激だったのですえ何を見るん だどいったどいった番頭の矢はようやく気 を取り直して立ち合いの州を追い出し ながら主人のおい小は郎の手を借りて追の 縄を解き始めましたはつ悲鳴をげるとかむ ばかりのガビが潜んで痛々しくも 可愛らしい唇が歪みますなんてやけの娘 だろハミか包丁を持ってきなやろは うろうろしている小僧をとりましたおを しった縄はそれほど硬かったのですがその うちにも小は郎は追の肌に唇を触れるよう に爪と鳩で縄をほいてどうやらこうやら娘 の体を自由にします 2縄は解きましたが適と心の同様のために 育はしばらく動けそうもありません傷は肩 から胸にかけて56か所薄葉の刃物で切っ たらしく様で深くはありませんが出血が 凄まじくいかにも痛々しいものですその上 着物の上半身はめちゃめちゃに切られて色 の肌が所々に空いて見えそれが網の目に 流れた乳に彩られて生産を極めますがおは 思いの他気場で体が自由になるともう フラフラと立ち上がろうとするのでし た動いちゃいけない何より手当てだこきち 大急ぎで長内の外科へ行くんだすぐ来て もらいたいってばサグじゃないよ人様に 知られていいことじゃないやは恐ろしく着 が回り ますバドさんこうしておいちゃ波勝風に なりますお急ぎで傷を洗って手当てをし なきゃ小郎は気がきでない様子少し涙軍で さえいるのでした手を貸してくれ家の中へ 運び入れよう34人は大急ぎで飛びつき ましたばか上げにするんじゃない2人で たくさんだ騒ぎのうちには自分の部屋へ 運び込まれとにもかにも一応の手当ては 進みました彼がこんなことをしたんだこの 間から変なことばかり続くが5秒中の旦那 のお耳に入れるわけにもいかずのれに 関わるからおかっぴきにも聞かせたくない と思ってないないにしておくととうと人の 命まで狙いやがってこれじゃ放っておく わけにはいかないがやは外科の手当てを 受けるを力づけながらつい愚痴になり ますパトさん私は 怖い追は辛くもそれに応じましたそう だろうともこれで平気でいられるわけは ないよ誰が 一体それを申し上げても構いませんがそれ よりこの上相手が悪いことをしないように お店の皆さんが反身なさるように聞かせる 人に聞かせするだけのことはしていた方が
良いと思います土地の御用聞きにでもいえ それより橋の南町武行所のお長屋へ使いを やって池田大輔様のとろにいる小野さんと いう人を呼んでくださいみのさんは私の昔 の知り合いですから私からよくお願いし たら池田大輔様に乗り出していただけるか もしれませ ん外科の手当てを受けて終わったおは精 一杯の努力でそれだけのことを言うと がっくりと枕にその青白い頬を落としまし たそれはいいことに気がついた近頃江戸中 で評判の池田大輔様に来ていただいたら いつを悩ましているこの頃の災難の元も 分かるだろうすぐ人をやってみるから心 丈夫に待って余情するがいいところで先生 はいはい手を洗っていた外界は頭を 振り上げましたおさんの傷はどんなもの でしょう血が出た割に大したことはあり ませんよくもは最初から殺す気はなく なんか苦しめるか責める気でちょいちょい 切ったのでしょう波風さえ起こさなければ 一回りも手当てをすると治りましょう 何しろ若くて元気だから医者はそう言い すてセカセカと帰って行きましたおいさん 誰がこんなひどいことをしたんだ俺にだけ でも話してくれない か外科を送って出た番頭の後ろ姿を見送り ながら小は郎はさくように言うのです真珠 色の小さな可愛い耳へ唇を寄せるよう に 3嬉しい郎さんお前さんがそんなにじて くれるのは嬉しいけ 私は何にも言えないおはわずかに顔をあげ ました血の汚れを吹いて白いさし面に半身 を包むと何とも言えない不思議な美しさが 蘇りますそれはまたどういうわけだえ保育 さん小郎はそっと娘の手を取りました言っ ても本当にはしてくれないだろうしそれに 何が何やら私にもわからない池田大輔様に でも申し上げたらまたなんとかお考えが あるかもしれないけれどおはこの男を満足 させるような答えがどう工夫しても出そう もないのが悲しそうでした2人は従同士で 23年前から叔父伊豆三兵の家に養われ 互いに片の狭いかりうどの生活をしている うちいつの間やら接近して妙に人目を忍ぶ 中になっていたたのでしたほいにま悪かっ たわねからが開くのとこんな意の悪い声の するのと一緒でした小郎とは絡み合った手 をほぐしてはっ振り返ると式際に立って いるのは追にらぬ抜群の美しさそれは主人 三兵の配偶で千年亡くなった大きの名 おわんと言って深川育ちの少してかな娘 でした 年は浮くより1つ上の中空太地で愛嬌もで
明るくて気象がまさって滅多に男にも引け を取らない肌合いですがお育の持って回っ た園なのに比べて開けっぱなしな調子の 面白さとその笑顔の明るさが素晴らしい 魅力で近頃は小は郎さえもグイグイとこの 娘の作品力に引き回されてともすれば育の 存在を忘れがちになっている有様でした その袖の下から怯えたような顔を覗かせて いるのはおぎと言って17の同園の娘みも 態度もいくらか2人よりは控えめで方向人 に近い物越も哀れですがその代わり影に 咲いた花のような寂しい美しさは誰にでも 深い印象を与えずには起きません人によっ ては3人娘のうちでこれが一番美しいと 言うかもしれないのですおいさんどう びっくりしたでしょう少しうるんだ声に 細かい道場が行き渡ってちゃかし気味のお 飯の挨拶とは大変な違いですありがとう傷 は大したこともないんですってでも私殺さ れるかと思ったわおの目は白いさらしもめ の中で痛々しく怯えるのですおさんは あまり綺麗だからつい人に恨まれるのさ私 なんかお飯は少し面白そうでし たそんな呑気なことを言わずに用人して くださいよおじさんはあの年でさえすんで のことに殺されかけたじゃありませんか そうねぎは頷きました2月ほど前伊豆の 主人三兵は夜ふけて3階の帰りお茶の水の 崖下に突き落とされ命は助かりましたが その時頭を打ったのが元でずっと床へつい たっきり廃人同様の生活をしているのでし た大の男のサブロベをお茶の水の崖から 突き落とすにはかなりの力を要するわけで シレが冗談でないことは明らかですが日頃 全国を積むことばかり考えているサブロベ が人に恨みを受けることなど思いもよらず この悪者の目的ばかりはまるっきり おつきませんお互いに気をつけるんだね まとも私なんか切られたって赤1も出そう はないけれどお飯は場所柄も構わず面白 そうな含み笑いをするのでし た大輔 出馬 1旦那様お茶が入りましたがありがとう ところで体操良い天気だな池田大輔は 読み下しの本を閉じておみが持ってきて くれた茶碗を受け取ると改めて庭一面の秋 のたまいに目をやりました最も庭といった ところで南町武行省長屋の猫子の額ほどの 空き地で少しばかりの楓のもみの下に南東 と支援と覇が咲いていると言ったさやかな 眺めに過ぎませ んいつもならお茶を持ってくるとさっさと って引き分けるみのが縁側の生子の影に 半身を隠すようにもじもじしているのは
どうしたことでしょう3年前両国の軽業 小屋から救い出されて池田大輔のとろに やわれているおのはこの時もう18の盛り 同たく美しく支援の花のようにこがな娘に なっておりましたがいずれは池田大輔と言 するだろうと 世間の噂を裏切るようにいつまでも方向人 にあんじて大輔の身の回りの世話にぼ 仕切っているいじらしい姿だったのです なぞ用事があったのか大輔は茶碗を置いて 改めて振り返りましたりってお願いが ございますがりっての願いおのきにある 熱心さに引き入れられるように大輔もつい 形を改めます私両国におりました頃隣の 小屋で足芸や手品をしておりましたおい さんと申すのがそうそうお前から聞いた ことがあったな通り3丁目のなんとえら いう武元者の名とがって引き取られて幸せ に暮らしているとが言ったそのおさんは あまり幸せではなかったのでございます ほうおじ様がやかましい上親類演者の係ど も多く方向人たちへの付き合いも難しい そうで私に会うといつでもこぼしており ましたがそれがどうしたというのか悪者の ために縛られて切りさいなまれひどい怪我 をしたそうでございます幸い命は助かった がおじ様も悪者に襲われてお茶のみの崖下 に突き落とされそれからどこについたっ きりまだ口もきにならないでございます うんこれには深い彩があって悪者がいつの ものをやしにする気かもしれない土地の御 用きに行ったところで拉が飽きそうもなく 帰って恥や騒ぎを大きくするばかりだから と一家の支配をしている番頭が聞いてくれ ず視野に余って私に頼んでまりました随分 無理な頼みだけれど昔のでてはくれまか 池田様の旦那様にお願いして一度こちらへ おいでくださるようにとおみの言葉は苦し そうですついこんなことを大輔に頼んだ ことのないおみにしては無理もないこと でしょう板敷きの火の中に両方の膝を揃え て慎ましく重ねた手には美しく青春の血が 空いて見えますいいとも私で役に立つこと ならすぐでも言ってやろうことによれば とんだ大きい事件かもしれない今のうちに 手をつけて悪者の手を封じるのは大切な ことだ大輔はそう言ってもう立ち上がり そうにするのでしたまた様ありがとう ございますこの気な主人の態度がどんなに みの感激だったのでしょうつい見上げた 単勝の瞳には涙さえ湧いてくるのです 2池田大輔この名は読者諸君もよくご存知 のはずですこの物語のあった時から数えて ざ123年前江戸時代の名半官後には大名 にまで取り立てられた大岡一然の神タが
江戸の町を忍び姿で観察して歩いた時浦谷 の子供たちが空地に集まって大岡さきごし ているのを見つけその団の見事さに下を 巻いたという話はあまりにも有名な逸です その時1番知恵の優れた子供を大岡一然の 神は自分の手元に引き取って育てました 桶屋の子供の大輔後に越前の神の用人で 越前の神の片腕となり南北町より46期 同心160人の知恵でも持て余した事件を 引受け片っ端から怪盗乱馬の解決を与えた 本編の主人公がこの桶屋の子大輔の成人し た24歳の青年池田大輔その人だったの ですどこへ行くんだ親ぼ後ろから犬っころ のように追いすがったのは池田大輔の唯一 の古文桶屋の少年千太郎でした千太郎は この時15小柄で継承ででたらめで無遠慮 で橋にも棒にもかからぬ人間ですが放浪省 と一緒に正義感が強く雨を売りながら1人 の母親を養って一方では池田大輔の仕事を 手伝い朝から晩まで江戸中を飛び回って いる風変わりな少年です千太郎には帯び たらしい仲間と友達がありました何か一種 不思議な方法で号令をかけると江戸中の雨 は言うまでもなく売り納豆売りたい辻浦 売りに至るまで少年少女の自由職業者たち は立ちまち5人でも10人でもいやどうか すると50人でも100人でも集まって くるのですこの組織はよりでも同心でも ないただの要人に過ぎない池田大輔にとっ ては驚くべき役目をしてくれました太郎に 目くばせ1つすればに張り巡らしたこの 不思議な犯罪捜査網に伝わって御聞きなど がり争いをしているうちに必要な長方は ことごとく池田大輔のところに集まるの でし た何はともあれ一光3人池田大輔とみそれ から雨をらしてついてくる千太郎と通り3 丁目の伊豆についたのはもう昼近い黒に なっておりまし た大輔と申し入れるとこれはこれは池田様 でとんだごそをお願いいたしました怪我人 がたってと申しますのでへへ番頭の野郎は 額でドマを吐くように迎えてくれます伊豆 三兵というのは初代名出入りの御用たしで 江戸長者番付の前頭筆頭に掲げられ幾十 満了とも知れぬ大部原者ですが分けても伊 無神様のお気に入りで苗字対等を許され念 に行く度かは島口3丁目の女将屋敷に 呼び出され中将吉村じじのお言葉があると いう家柄でした1つはサブロベは相当に 文字がある上ジジ遊芸の嗜みも深かったの で殿様のご相手をせつけられたということ です一通りの挨拶が住むと歌詞も断って 池田大輔はすぐ事件に突入しまし たそのいとやらに会いたいがもう元気に
なったのかなへえいじはびっくりしました が傷が軽いと外科に言われますと本人も とんだ元気が出て今もお連れの方とお話中 でございますお美野はもう人足先に育の 病間を見舞っているのでしょう大輔は番頭 に案内されておに近いおの部屋の外に立ち ました池田様だよお嬢さんおさん番頭が 所持を開けると まあと中ながらおはエリやら神やらを直し ており ます3今までおと話していたみは大輔の姿 を見るとそっと席を滑って入れ替わるよう に廊下に出ました 白い包帯に包まれた陽feelな育と地味 な目線を着た色の浅黒い律的なみのの対象 は誰の目にも面白く映るはずですが池田 大輔はそんなことに大した関心を払う様子 もありませんどんな災難だったな大輔の 言葉は若い男らしい遠慮がちなものでした が十分事務的で冷たくさえありました ありがとうございます みさんにどんな無理をお願いして後で私は どんなに後悔したことでしょうそうそう 言って眉を垂れるようにおの顔は限りまし たところでどんなことがあったのか知っ てるだけのことみんな話してくれはい人に 言たくない様子だったと使いのものは言っ たそうだがみんな申し上げますこんなこと を打ち上げたら私は殺されるかも分かり ませんがでも同じ殺されるなら池田様の ようなお方に申し上げて悪者を捕まえて いただきたいと思いまし た最初から申し上げ ましょう昨日私は変な手紙をもらいました 今夜牛の黒自分に裏の物置きの前へ出ろ もし出なければ伊豆の血筋のものを1人 残らず殺す嘘だと思うならこの手紙を誰か に見せるが良い世の開ける前にお前は死ぬ だろうと書いてありましたその手がみを どうしたすぐ焼いてしまえとありましたの でお勝手の七輪の中に入れてしまいました なんということをするのだ女の臆病さの ためにこの大切な手がかりを失ったことは 大輔には忌ましかったのでしょうお許し くださいましでも私は怖かったのですもの 文字の見覚えはなかったのか男の筆跡か女 の筆石か一向見覚えのない筆跡でござい ました随分下手な金文字でそれから自分 1人怖い思いをすれば済むことと思いまし たので差しずの通り牛の国少し前にそっと 手口を抜け出して物置きの前へ参りました ご存知の通り良い月でその辺にはひこ1人 いません しばらく待っても誰も参りませんので ほっと安心した心持ちになって誰かに
からかわれたに違いないと思ったので ございますお急ぎで家の中へ入ろうとし ますといきなり物影から人間が飛び出して あっという間もなく私の頭へ風呂敷のよう なものをかせ大地に押し倒してあで 縛り上げられてしまいましたどうして声を 立てなかったのだ大輔は静かに間を挟み ました風呂敷が口へ入って息が詰まりそう だったのですそして風呂敷を取られた時は 両腕はしれるほど縛り上げられ私の方は 刃物の冷たい相場でピタピタと叩かれて おりましたそして物を言うな俺の聞くこと にだけ返事をしろうっかり音をあげると お前の方をザのように咲くぞとその男が 申しました男間違いないね小柄で女のよう でしたでも太い声でございましたおの話は 次第に筋が通っていき ます 4それから大輔はその次を促しますおの顔 は少しのぼせて今までの貧血した蒼白さと はまた別のでした相手は黒束に身を包んだ 上覆面ですっかり顔を隠しておりましたの で誰とも検討はつきませんでした が図太い声で私を脅かしましたその声に 聞き覚えば聞いたような声ですがどうして も思い出せませんそれからその顔を隠した 男は申しました死あって俺は伊を恨むもだ 伊豆の血筋のものを独り残らず絶やして この家の屋根にぺんぺん草を生やしてやる つもりだがその手始めにこんばんは伊豆の あとの新太郎がいるようだ新太郎はうち中 で一番よくお前になついている縛られた ままそっと連れていくからお前の声でし 太郎を呼び出してこいとこう難題を 持ちかけましたおの声は その時の恐ろしさを思い出したものか さすがに震えておりますで池田大輔は相 変わらず冷静な調子で後を促しました坊っ ちゃんはまだ7つでバーヤさんの大地さん と一緒に私の部屋の隣に休んでいますが いくら私が脅されてもそれを誘い出してき て悪者の手へ渡すなんてそんな非道なこと ができるものでしょうか 私は黙ってしまいましたうっかりものを 言えば私の方を叩いている刃物が目来るか 鼻へ来るか分からなかったの ですすると悪者はおくは咲の恐ろしさに 怯えながらも思い切った調子で語り続け ますよしよしその気なら思い知らせて やろう俺は脅かしやしれにこんなことをし ているんじゃないということが分かったら 首を1つしゃくるが良いやぼなサグは かませないがその代わり少しでも音をあげ たらこの刃物が物を言うから少しくらいは 痛くとも進歩しろと言いながら前の体を
切ったというのか えおいはごくりと片を飲みましたそれは どこでやった話だ物置きの前でした切られ たのえいえ切られたのは物置きの中でした そして懐から描いたものを出してこれを 見ろこれは俺の仕方書だ俺はこの通りの 順序で伊豆一家のものに恨みを返すつもり だそいって小さい紙切れを私の花の先に 突きつけましたどんなことが書いてあった のだ池田大輔も話の重大さに釣られて すっかり緊張させられてしまいます 字が細かくてよくは読めませんでしたが月 はえ月の光に照らされてこれだけは読め ました10月新太郎お11月範小郎12月 おぎ 三兵この表現年内には大詰と愛なるべく そろとり と池田大輔も黙って腕をんでししまいまし たその書類の現物のないのは残念ですが育 の控えめな言葉の中からでも死刑宣告書の 恐ろしさが何かしら背に迫るものがあった のですそれからどうしたあとは気を失って しまいましたいくか所切られたかも分かり ませんが気がついた時はとの隙間から朝日 が刺して外でこき丼が大きい声でとなって おりました語り終わっておははほっとと息 をついたの です疑問の 数々 1おは思ったより元気でこれだけのことを 説明してくれましたがその後はさすがに 疲れが出たものらしく大輔に目礼して枕の 上にその青白い顔を伏せました池田大輔の 方にはまだまだ聞きたいことがたくさん あったのですが疲れきったおの様子を見る ととさすがにこれ以上は粘ってもいられ ませんミを残して部屋を出ると廊下で 立ち聞きしていたらしい女が23人無遠慮 な足音を立ててバタバタとどこかへ逃げる のが妙に大輔を浅ましい心持ちにさせます 一通り内中のものに会いたいが元の席に 帰って大輔は言うとへ誰を先にいし ましょうか頭の五郎は恐ろしく安受け合い に引き受けて両手を揉み合ったりします まず第1番に万とさんお前だううご冗談で 番頭のやはド肝も抜かれた様子です年の頃 は四78小瓶の下もさきの光沢も十分バズ のらしい親さですが調子が柔らかで腰が 低くて人に警戒させるようなりはもあり ません番頭さんから始めなければ棚のもの が不だろう第1番にお前はこの店にいく年 になせるへえ今年でちょうど10年になり ます体操辛抱したものだなところでこれは 大切なことだがこの家の主人がばあは 誰が新相を通うことになるだろう池田大輔
はそれが聞きたかったのでしょう調子は 至って平坦ですがには一の緊迫したものが あり ますもうすまでもなく坊っちゃん新太郎 さんが後を取ることになりますがいくつだ まだ7つで貢献は後の小八郎さんでござい ましょうか毎日毎日だよその新太郎に 間違いがあればあとりはどうなる郎さんと いうことになりましょうかやはそっと片 飲んだようでしたその小波郎の円THは まだ決まらないのか年頃の娘が3人もいる ようだがまだしかとした話はございません いずれ3人の若い娘さんのうちの1人が小 郎さんと忠言することになりましょう主人 の腹はどうだ私不全に主人の腹までは ばかりかねますがが年上というとおハさで あれはジクでございます 1番若いのはげさんの17おさんはその中 で18年のことを聞いているのではない 大輔は少しじれこみました晩の勇者の 駆け引きと気の長さにはちょっと立ちでき ないところがありますと申しますと主人が 一番可愛がっているのは誰だやっぱりご 自分の名のおさんでございましょうか小郎 と仲のいいのはへえその辺りのことは私は よく分かりませんがやはりおさんらしいと 棚中のものの評判でへえやろはそうい切っ て襟元の汗などを吹いておりますお飯と いうのはあの通りの元気者で近頃すっかり 小は郎さんに食い下がっているなどとこれ も店の若いものの噂でございますええやろ はまた汗を吹きましたこの中年物の番頭は 天場物のお範に少しわかり反感を持って いるよう です2大輔はやに案内させておが放り込ま れていたという裏の物置へ行ってみること にしました雨の千太郎はもうその変じを 駆け回って家の内外のものからあらゆる噂 を書きあめているようですお なんだセンタままのことだがその親分と いうのだけはよせへ気取ってるぜ親分で気 にいらなきゃ大将先生はいからずお前は手 に負えないなんだ幼児というのは池田大輔 は少し遅れたやを待つともなく足を淀ませ ました変な家だぜこの家は内中のものは 天然バラバラでいい敵同士の寄り合い状態 のようなものだうん 3人の娘と来たら綺麗な顔をしているくせ にどれもこれも手に負えない番頭とおいの 小蜂郎は睨み合いらし小は郎と手代の千松 は口も効かないそれから3人の娘はまるで 虫だおいは執念深いから蛇でおはは ガーガーうるさいから帰るおぎはダにこっ て不気味だからなめくじさ100年一緒に 済ませたってあの3人は仲が良くなりは
ない変な人間ドムが揃ったんだね全くもう よい人が来るへバトのハゲ頭があいつは欲 が深いからどれだけ取り込んでいるか 分からないって言うぜお茶の水の書から 主人を突き落としたのだって誰の仕業か 分かったものじゃないもうよろしいセンタ ち大下内を1つ残して千太郎はどことも なく飛んで行きました遅くなりました池田 様店のものに捕まりましてこの時ようやく 追いついた番頭の野郎は小をかめながら先 に立って庭伝いに裏口に案内します庭起動 をして外に出るとしばらくは家の外側に 沿った狭い庭で手口に近づくとそれが広い 空き地になり2つの土蔵と大きな物置きと 車井戸とがあって手口の先に少し離れて追 が放り込まれたというの小さい物置きが ありますそこはも薪や炭でも入れていたの でしょうがおか手口から遠いのでいつの間 やら使わなくなり手近なものは何もかも 大きな物置きの方に入れている様子です この物置きは主屋の裏に張り出した格好で 差し掛け屋根のたった1つですが東向きで 昼前はいっぱいに火が入ります使わぬまま にあるので屋根も少しはらしくとも ひびわれて大きな隙間から中が空いて見え そう ですおさんが縛られていたのはこの中で ございましたやろが説明しながら遠 開けようとするのちょっと待て大輔はその 手を止めて自分で若木を外しまし た形ばかりのもので至って短い若ですがは なくて若木の端に56寸の古い紐が1本 ついておりますこの紐は何のためだええ嵐 の時風で煽られてバタバタしますので女の 代わりに若木の受け金具に縛っておきます 小さい棒でも済むことだが紐出ないとすぐ なくしてしまいますのでその言葉を聞き ながら大輔は物置きの戸を開けまし た 3物置の中は薪がごっぱ住原や古いむが 少しあるだけでほとんど空っぽと言っても よく中にはあらえたようなむが1枚敷いて ありその上に半端と血がこぼれております 大輔は物置きの中へ入ると自分で内からと を閉めました少しガタピシしますが 立て付けは案外良く容易にに外れそうも ありませんその代わり板のひび割れは外 から見たよりはもっと広く昼近い日は さすがに入りませんが間接光線が島になっ て育児も入るので大抵のものは見られます 千太郎千太郎大輔は遠明けて千太郎を呼び ましたおい雨の千太郎はどこからか飛んで きましたいつまで立ってもこの少年女子は ハとも兵ともません中のものを出すんだ 手伝ってくれよし来た暖房に放り出しては
いけないさしもがあるんだから何を探すん だえ親本刃物だ薄場で小さいもの相口か かそかそれともなき包丁か池田大輔が そんなことを言っているうちに千太郎は 少しばかりの巻とむしろせと物の前へ 運び出しますもう何もないぜのは見事に 空っぽ大輔はそれを覗いて小尾をひねって おりましたがそうかあんまり手すぎて気が つかなかったのだここだよセンター ちょうどおが転がされていたあたりのばせ は手の届く土台下の柔らかい土にうめられ て富士を巻いた使の方が2寸ほどここだ ここだと言わぬばかりに出ているのは使い ふしの一丁の上そだったのです 土を払って火の当たるところへ持ち出して みると紫色に血の跡が光って小さいながら 妙に不気味なところがありますあれは誰の ものだええよくわかりませんがやは行った ものか黙っていたものか決しかねている 様子でしたがいずれ分かることだ心当たり があるなら言っても差しあるま大輔は追求 しましたおさんがていた品のよでござい ますよく切れるそうでみんなに借りられて おりましたからやの言葉には弁解らしい おぼつかなさがありましたがかそがお飯の 持ち物にそういないことは疑うべくもあり ません大輔はそれを紙に包んで懐に入れ ながら続けましたそれからおを縛ってあっ たという縄は汚れておりましたので 取り捨てさせましたがどこへ裏のゴたで ございましょう生の娘は残っているだろう か刃物が間に合いませんでしたのでたて ほいてしまいましたが結びではあるまいな 女結びと申しますかただの紐結びだった ようで後ろ手にしってあったのだな池田 大輔の問は次第に細かく鋭くなっていき ます目は存在でしたが後手に縛ってあり ました後手に大輔は考え込みました色々の 不可能と可能がこの若い天才的な頭脳の中 で組み立てられ突きれているの でしょう4池田大輔はもう一度家の中に 引き返して今度は2人の娘に会うことにし ましたやが特に用意してくれた奥の人手 ありと派手な座布団庭を見晴らす位置には 座って他のものを一切近づけないように 厳重に注意しました意も慎ましく黙って敷 際におじしたおはは明るくて訪問で健康 そうで育に劣らず美しい娘でし た中へ入るがいい色々尋ねたいことがある 大輔は静かに言いました職業柄らしい冷静 は保っておりますが24歳の池田大輔に とっては19歳の滅法美しい相手ははは 迷惑な調べ物でもありますはいお飯は わずかに握り込みましたこの品に覚えが あるか紙に包んだまま渡したカソお飯は
何気ない様子で受け取って髪を開いてひめ さっと顔色を変えました ま覚えがあるだろう私の髪でございますよ 一体どこからどうしてお飯はごくりと片を 飲みました子が縛られていた物置きの中に あったのだまあ心当たりはないのかまさか 私がでも誰が持ち出したのでしょう兄弟の 引き出しに入れておくのに随分人に貸して はあげますが断りなしに持ち出すなんて人 を切るのに持ちににこってかそを持ち出す ものはある まいそうおしゃればその通りねお飯は緊張 が解けると場所柄もわきまえず面白そうに 笑うのです笑うとこの女はめっぽを 可愛らしくなりますがあんまり唐突なので それが照れ隠しなのか感情をごまかすため なのかそれとも池田大輔の若さを見くびっ て慣れきった態度に出たのか大輔にも検討 はつきませんそれはおいわかるだろう ところでお前は育との中の良い方かなひえ おファはとんでもないと言ったように頭を 振りました派手な目線の合わせ赤い帯長い 袖を持ちあってくねくねと体いっぱいに 表情をしながら続けるのですあの人は木の 知れないところがあるんですもの仲良しに なんかなこありません少し調子が存在に なってまくし立て気味にこういうのです 千太郎が虫けのカエルに見立てたのは まんざらのでたらめでもなかったと思うと 大輔は苦笑いのこみ上げてくるのどうする こともできませ ん大輔の唇に浮かぶかかな笑いはお飯を すっかり大胆にし馴れ馴れしくしました 若い男は誰でもそれは役人でも男でもデリ の度でも自分の前ではいつまでも堅苦しく なってはいられないと言ったおは一流の自 不信がムカムカと湧いてきたのですお前は 小郎どう思うまそんなことまで申し上げ なきゃならないのでしょうかお飯はさすが に赤くなりましたが大輔が重ねて聞くと小 郎とんだっておさんのしつこいのには嫌に もなりましょうよでもあんな怪我をして みるとまたかわいそうになるんでしょうね こんなことまでつけつけ言うの です5おぎは18柄が小さくてキシで少し 陰気でさえありましたがよくよくその様子 を見ているとなんとなく品の良いところが あり美しさも抜群でお育の園なのやお飯の 容器なのと比べて身としを持った娘でした おは主人の名おはは死んだないの名という のに対しておぎは主人の弟の女房の連れ子 で両親の死だ後伊豆に引き取られかうとも 女中ともつかず1年あまりも遠慮がちに 暮らしていると言った気な娘でしたあの こよは敷の外に手をついた鏡の良さ物を着
ておりますが襟も首筋も清々しく俯いた方 から花のありは玉を刻んだように出ろとし ております色々聞きたいことがある中へ 入るが良いはいおぎは辞退する筋合いで ないと悟ったか静かに中へ入って部屋の隅 に手をつきました育の災難のことで尋ね たいがお前には心当たりがないか例えば育 を恨むものがあるとか新太郎の身に心配な ことがあるとかどんなことでもいい 思い当たることがあるなら話してくれこの 娘に対しては大輔もついこう丁寧な調子に なるのでした一向心当たりはございません がでもでも近頃は不気味なことばかりで私 は怖くてなりませんと 申し上げられるようなことならこう心配は せずに住むと思いますが一向を取り止めも ない恐ろしさがこの家の隅々まで行き渡っ ているようでございます うん捕まえどのない恐怖が乙女心を脅かし 続けているのでしょう現に今自分のいる 部屋の隅にもその恐ろしい魔手が潜んで いるような気がしてぎはをふわせながら 少しばかり部屋の真ん中の明るいところへ 膝を進めるのでし たどなたにそのことを申し上げようと思い ましたがその日その日の仕事に忙しいとや 容気に笑っている人のお顔を見るとそんな 取り止めもないことは申し上げられません 長い長い間自分の胸1つに秘めてきた らしい取り止めのない恐怖の恐ろしさをは 言外に半分以上の意義を持たせて若い娘 らしくつつましく話すのでし たもし事情が許すならこの人の膝に 取りあってありたけの恐怖を打ち明け明り の届かぬ部屋の隅々に太陽の光を導き 入れるように大輔の優れた英知を取り入れ てこの家に救う暗さと印刷さを一掃したい 心持ちでいっぱいだったでしょう 大輔はさらに突き進んで追おぎ小郎などの 関係を聞きましたが遠慮しているのか無 関心なのかそんなことに対しておぎの言葉 は知りません存じませんというに尽きて おり ます池田大輔はおぎを済ませて今度は井野 小郎に会いましたこの男はただもう無事に 23°の角松を食ったと言った平凡な人間 でそれは美男というにしてはあまりにも色 が白すぎ顎の方が伸びすぎ人間の出来も甘 すぎました大輔はすっかり期待が外れて 若くて世間を知らない娘たちはこんな他の 緩んだ男が好きなのかもしれないと言った 妙に軽蔑しきった心持ちになるのをどう することもできなかったの です 6以上身内のものを覗くと伊豆の屋根の下
に住んでいるのは手代の千松と下女のおき と下男の虎松だけへえ私は千松でござい ますが色の黒い小池な男256にもなる でしょうか千松は小八郎などよりよっぽど 良い男ですお前はここへ方向して何年に なる12年にになりますそれでは1番の子 さんだなええ育児がございません白雲頭 から方向した子の方向人が後から入ってき て大きな顔をする支配人のややその新相を ぬくぬくと継ぐかもしれないおいの小八郎 に対してどんな観察をするか池田大輔も すっかり掘り出しもをしたような気になり ました遠慮のないところを話してくれお前 も知っての通りこの家には今用意ならぬ ことが起こっているのだ ええよく存じております中松の方にもなん か言いたいことを持っている様子です主人 はどうだ誠に良い方で13年の間に私は ついと1度も叱られた覚えはございません 番頭はえまああの通りのおい方で桑はご体 の多いですから女どもはやいやい申します 小郎の調子には覆うことのできない軽蔑 しきったところがあります3人の娘たちと 小は郎とはどうなるんだおさんが付けの ように思われておりますがまだかとしたお 話はなかったようでおはさんが入ってくる と小郎さんの心持ちもぐらつき始めたよう でございました何しろあの通り遠慮釈も なく絡みつきます から大輔もつい苦にしましたところがよく したものでおさんが怪我をしたとなると 小次郎さんは寄りを戻してすっかり夢中で 咲夜からつきっきりでございますよ男と いうものは妙なものでございますねこう なると収まらないのはおハさんでござい ましょうあの希少ですから黙って引っ込む はずもございませんぎはあれは出来が違い ます申しちゃなんですが次郎さんなんかは 振り向いても見ませんそこでお前の考えで はおをあんな目に合わせるのは誰だと思う それは分かりませんくもについては千松も 心当たりがないらしくこれ以上は何を聞い ても容量を得ません池田大輔は念のために 2階に休んでいる主人三兵の病床を見舞い ましたがこれはお茶の水の災難以来まだ 身動きもできない様でおの襲われたことも 耳に入れていない様子ですお茶の水の晩の ことを聞くと途切れ途切れながらおげん て一向検討もつきませんあの聖堂裏の闇に かかるといきなり物影から飛び出して私の 体へ頭突きをくれたものがあります私は 少し酔っておりましたので人玉にもあり ませんでした物は小柄の男でしたあ弾みを 食らってよけもかわしもできなかったの ですサベの話はこれが精一杯だったの
です悪魔の 潮量1それからいつ日経ちましたその間に 野は一度伊豆においを見舞いましたがまだ 起き上がるほどには元気継がず主人の容も 代わりが とにもかにも穏やかな日が続きました6日 目伊豆の使いのもの下男のトキは飛んでき ましたたの様大変なことになりましたどう したのだ大輔と美野が一緒に顔を出しまし た遅かれ早かれなんか不吉な通知が来そう な気がしてこの23日は安き心もなかった のです坊っちゃんが見えなくなりましたし 太郎がそれはいつのことだ咲夜でござい ますおさんがお怪我をしてからはお吉が 寝かしつけておりますがあの女は大食いの 大望で坊っちゃんが見えなくなったの同じ 部屋に寝ていながら今朝まで知らずにいた そうでへえはれた女でございますトキの話 は無駄が多くて聞いている方でもどかしく なりますとかく行ってみようみも来るか はいみのは手早く支度をして大輔に続き ました2人が通り3丁目に行ったのはまだ 5つ半9時そこそこ なんか大変なことがあったらしいな大輔は 遠く伊豆の角口を眺めておみを帰りみまし た医者が出てきたようだ子供が帰ったのか それとも追が大輔は不吉な予想に首を振り ます坊主頭に木城を着て黒チリメンを 羽織ったのが妙に力の抜けた足取りで伊豆 の人口を出てきたのでです大輔は少し 急ぎ足になりまし た旦那様医者を送って出たらしい番頭の 野郎は戸口に大輔を迎えて酔いには続く 言葉もありません何か変わったことがあっ たのか主人が何主人がやられました坊っ ちゃんのことで夢中になってうち中大騒ぎ をしている隙にくせ者は2階の主人をさし て逃げたのです番頭の矢はワクワクする 興奮を抑えながらからくもそれだけのこと を説明してくれたのです主人の部屋という のは小屋の1番奥の2階でちょうど大育の 平馬の真上になっておりますが新太郎と 大吉の休んでいた部屋とは小屋の右と左で あまりにも離れております新太郎の寝てい たという部屋の前からはしご団を登って2 階廊下の突き当たりそこが主人の部屋です ご覧の通りでやが開けてさした部屋の中を ひめ大輔もしばらく入り口に立ち見ました まだ身動きも不優で床の中に横とっていた サブロベは何者とも知れぬ狂人に虫のよう に首筋を刺されて死んでいるのですハムは 床の間に置いてあった脇差しでございまし たくもはさしたまま逃げましたがやろは 主人の死体をさして震えながら話しており ます大輔が深深と腕を組みました7つに
なる新太郎をさらったのとその騒ぎの中で 主人を指したのがもしたった1人の仕業 ならこれは実に用意ならぬ相手 です2この苦にははご団が1か所しかない のかけ大輔は廊下からはしごの登り口の方 を見ておりますえ今登ったのだけでくもが あのはご団を登ったとすればみんなの目に つくはずだがさ様でございますちょうど はご団の下でおきと坊っちゃんが休んでい た部屋で朝早くからうち中のものがあの辺 に集まってさばいでおりました人月使いで もなければ人目につかずに通れませんいや 夜のうちから2階に隠れているという術も あるが大輔は自分に言い聞かせるように こう言いましたがはは自信のない調子だっ たのは是非もないことですところで池田 大輔はしばらく立ってこう続けました主人 は今朝で確かに無事だったのかへえそれは もう間違いもございません下男のトラが雨 を開けた時体操開花が騒がしいがなんか 変わったことでもあったのかと聞いたそう でそれはいつのことださよでございます まだ6つ前だったと思います主人はまだ 身動きもできませんでしたが近頃はだいぶ 元気になっておりましたそれからときを 呼んですぐ屋橋に走らせましたそれから ちょっとの間に主人が刺されたのでござい ます半頃私が2階へ参った時はもうこの 有様で矢はその時のことを思い出した らしくそっと両肩をすませますその時お前 1人で来たのだねへえこのわ様に驚いて 思わず大きな声を出すと大勢のものが いっぺんにドカドカと登ってきましたその 中にはまだ体中にさらしめを巻いてこの 絵花に休んでいるおおさんまで飛び起きて きたあり様でこう言われると下主人はこの 番頭のやろでないことだけはは確かです トキの後で2階へ登ったものはないのか なかったと思いますでもトキは誤解の中も で部類の主人思いでございます働きのある 人間ではございませんが30年の間人様に なんとか言われるようなことをしたことの ない人間でやはやきとなって面会しており ます粉質物は何にもなくなってはおりませ ん手文庫も鍵の束も紙入れも無事でござい ますそんな問答をしながら池田大輔は窓 から手すり屋根などを見回りましたが建物 がいいのと掃除が行き届いているので窓や 屋根からくもが忍び込んだ形跡はありませ ん育に会ってみたいが主人の返事で 飛び起きたので気分が悪くなったと言って 寝ております治りきらない傷から動いたの でまた血が出たそうで町内の外科を呼んで おりますがやはそんなことを言いながら 絵花のおの部屋に案内しましたおは
ちょうど今呼んできたばかりの医者に見て もらっている時で池田大輔の顔を見るとお 話くらいはできますどうぞとこに寝たまま 青白い顔を起こしましたが医者は坊主頭を 振りながら嬢さん少し乱暴だよあれほど 止めておいたのに勝手に動き出すからまた が開いたじゃないか大ごとで包帯を変えて おります白い肌が少し古に汚れてこんもり した乳は痛ましくさらしもめで締めつけ られますがおはそれを隠す気力もない様子 です大輔ははっして顔を背けまし た 3どんな遅くなりましたはいすいません御 聞きのがこの空に汗をふきふきやってき ました我慢強い四十男でちりは力に委ね すぎますが近頃では池田大輔の英知に神福 してよや同心よりも大輔の指しで動くのを 喜ぶといった風がありますげたお前が来て くれると助かる池田大輔もさすがに続け様 に起った2つの重大事件新太郎の誘拐と 主人三兵の殺しを千太郎1人の女子では さきかねていたのですおみのは昔友達の育 につきっきりでこれは包帯を変える世話を したり薬を飲ませたりそんな仕事で手 一ぱいの様子何をやりましょう玄太は縁側 に片膝をついてスタートに並んだ選手の ような姿勢になりました新太郎がいなく なって大騒動をしている隙に2階の主人が やられたのだ今朝はご団の下の辺りに誰と 誰が駆けつけて誰の顔が見えなかったか 念入りに調べてくれあの部屋の前に最初 から顔を出さないものか顔の出し用のひく 遅かったものか途中でいなくなったものが 怪しいわけだいいか大好の第一司令はちび ですよくわかりましたでは飛んで行った 玄太は市販時も多のうちに戻ってきまし た分かったか玄太よく分かったつもりです 坊っちゃんが見えなくなって下女のお基地 が騒ぎ出した時怪我で寝ているおを覗いて 家中のものはみんな集まったそうですそれ から下男のトキが2階の天戸を開けに行っ て内中のものが手分けをして便所の中から 何度まで見て回ったがどこにも子供の姿が 見えないのでもう一度絵花の部屋坊っ ちゃんのいなくなった部屋の前に顔が 集まったということ でつ少し過ぎには虎吉を大屋橋まで使いに 出したのですがその時いなかったのは怪我 をして寝ているおを覗けば小郎たった1人 だったと言いますその小郎呼んでくるが いいへ元太はもう一度飛んでいくと首 ねっこを掴むようにしておいの小郎を連れ てきました臨時の知らすはおいが寝込んで いる隣の部屋あまり好ましい場所ではあり ませんが店に近い場所はなお困るという
支配人の言葉でとにもかくにもここで調べ が始まったのですころ少し聞きたいことが ある ええお前は今朝うこ少し過ぎトキが使いに 行った後でしばらく顔が見えなかったそう だがどこへ行ってい たちょうどその自分に主人が2階で刺され たのだぞえ正直に申さなければお前にとっ て恐ろしいふめになるが分かるであろうな 池田大輔はいつにない人前たる調子です私 はその自分裏庭にいたように思いますが何 をしていたのだ庭などへ出る時刻ではない 何をしていたと申すのだ大輔は追求しまし たへあの頭痛がしましたので風に吹かれて バカなことを申すなその時ちょうど主人が 殺されたのだぞ一歩一歩追求は急になり ます 4池田大輔に問い詰められて小郎は しどろもどろになりました青いのっぺりし た顔はすっかり血の気を失って薄い唇は髪 のように震えております大事な場合だ後先 をよく考えて物を言うののだ後で違ってい たではすまぬ ぞお前は時々頭痛を起こすのか時々でも ございません頭痛を起こすと外の風にふれ に出るの か裏庭へ1人で出ていたでは証拠にならん ぞ誰かそれを見ていたものでもあるのか 大輔のリメの問に対して小郎はすっかり セクしてしまいましたがその上小は郎の 荷物を調べに行った玄太は勝ちどきをあげ て飛び込んできたのですたなおりましたよ この野郎の部屋の入れの中に血のついた 合わせがさあグートでも行ってみろ玄太の 手の中に風を起こして昼合わせそのその 辺りには血のお天がべっとりついているで はありません かそれは宣告お嬢さんを解放した時ついた ものですよ小郎は追い詰められた動物の ように必死の反撃をしました誰のだって ちわちだこいつが主人の血でないと口でも 聞いてくれると思うのが おふそいつは無理だ何が無理だ主人が目を つれば伊豆の大新相はいでも王でもお前へ 転げこむというじゃないかそうやろうこの 辺で器用に白しておじ悲を願え立ちたの手 には白磨きのじと不気味な鳥が蛇のように 動くのですやぶそれを見上げた小は郎の顔 は恐怖に引きつりながらも言おうかそれと も言わずにいようかと迷い抜いている様子 でした待ってくださいほやぶそこへ 飛び込んだのはお飯の少し取り乱した姿 です何を待つんだ玄太はもっての不の機嫌 でこの生めかしいを女を見据えました八郎 さんが冷えないわけですよあの時裏庭で私
と相聞していたんですもの 引き決まりが悪いけれど言わなきゃ親分は この人を縛るんでしょう悔しいけれど私は みんな行ってしまいますよどかうな嘘を つくとひどいことになるぞ玄太の目は うくく光ります誰が嘘や冗談に色事をする ものですか初心正明あの時は私と小は郎 さんが裏庭の物置きの中で泣いたり笑っ たりしていたんじゃありませんか悔しいよ ちかな御用聞きの正面からこのちくしを 浴びせながらおはは唇を噛みしめほろほろ と涙をこぼすのですたったそれだけのこと をこの男はどうして言えなかったんだ太に はまだ腑に落ちません私たちはまだ若いも 親分型のような恥知らずじゃないよそれに それにそれにどうしたこの隣の部屋でお さんが体中を耳にして聞いているじゃない か若い者のそれは不思議な心理という他は ありませんおそらくこの不思議な問答も 身動きもならぬおは隣の部屋で体中を耳に して聞いていること でしょう それに小郎さんが化主人でおじさんを殺し たとしてもはしご団の下には長屋の糸ほど 人が集まっているんだよどんな人日を使っ て2階から降りられると思うえ親分さんお 飯は傘にかかってこの老な御用機器に つっかかってくるのでしたよいどって聞い ていろなんて言い草だじって鳥名を預かる こたに抜かりがってたるものか人を殺す ほどの野郎なら2階から飛び降りるくらい はお茶の子じゃないか現ともこの娘の 過ぎる口に少なからずむかっぱを打たれた 様子ですもうさすがは親分さんね2階から 飛び降りるとは考えたわねでもそんな器用 なことはカバの女大風や足芸の娘なら知ら ず素人にはちょっとできないこと よこの肩をゆすって笑う調子が色ぽくあれ ばあるほど相手には憎らしく見えるのでし たもう1つ合わせの血だ怪我人を解放した のなら腰とか腕へつくだろう裾へつくのは 変じゃないかええおい玄太はやきとなり ますせの通りねでも古傷から出た地下 新しい地下は素人が見たって一目で分かる じゃないのねぶさんそんなものじゃあり ませんそれは全くお飯の言うとでした小郎 の裾についた血は色も凝固の具合もそれは 古傷から出た薄い暴食の血に間違いも なかったのですそれくらいのことは分かっ ているよだがなお嬢さん新しい血のついた のをごまかすためにその上寝入りに古い血 を塗る手もあるぜまあ まだまだ色々の術があるよ裏庭の引だって 知っているのは2人だけなんだ2人で口を 合せさえすればどんなサクもできるじゃ
ないか下で1人は待ち受けて屋根から そっと降りることだって楽なものだ まあんまり口が過ぎない方がおためだろう よ道楽に石でも抱く気なら別だが下手に 人殺しの下種人をかいたてするとろなこと はないぜお飯はとうとう泣き出してしまい ましたカぽんやりで老な御用きに盾はつき ましたが言いまくられてみると口惜しされ いっぱいだったの ですもうよいお飯の口がすぎるぞ元太も 少しげない池田大輔はようやく口を入れ ました面目次第もございません玄太は素直 にお辞儀をして笑ってしまいましたがお飯 はさすがにむしゃくしゃが解けないらしく 晴れたままに部屋を出ていってしまいまし た笑っていると可愛らしいよ怒るととんだ くそうだねその後姿を見送って顎を しゃくっているのは雨屋の千太郎です大輔 と玄太はそれからまた人当たり内中を調べ ましたが何の得るところもありません 新太郎を誘拐したのは新太郎のよく馴染ん でいるものに違いあるまい主人を殺したの は間違いもなくうちのものだろう明るく なってからの仕事だからだ池田大輔の発見 した鍵は今のところたったそれ だけあの私は23日ここへ泊まっておさん を解放していきたいと思いますがそういう おみに後のことを頼んでとにもかくにも その日は日まし た長盤の謎 1おみが すきや橋次郎さんはまだ動けませんが旦那 様が富なさるだろうと立って申しますので 帰ってまりました静かに挨拶するおのは かつて娘カ技で鳴らした太陽とは想像も つかぬ地味なうちきな品の良い娘でした なんか代わりはないのか何もございません がおといは済ませましたが坊っちゃんの 行方はまだ分からずおはさんが処方へ 当たり散らして 家の中は妙な具合でございますおもその 当たり散らされた1人でしょう小次郎は まだ保育さんのところへつきっきりで千と いう手代があったな楽不機嫌でございまし た うんこれだけの情報からは池田大輔の知恵 でも新しい事実の発見は1つもありません でも太ブは毎日参りましたそしての口と婚 になってあの思い口を開けさせようとして いる様子でございました玄太はときが 怪しいと思ってんのかもしれないそれとも トキがなんか知っていいのかなあの日の朝 トキが窓を開けてやろが見に行くまで ずっと市販時の間に主人のサブロベがやら れているがトキではあるまよあの男は正直
もらしいあの日通り3丁目に駆けつけて 伊豆から者の出てくるのを見た時の驚きよ は子事ではなかった大輔の観察はこんな 微妙なところまで及んでいたの ですしかし事件はその明日は急展開して 池田大輔はもう一度この家中に飛び込む ことになりまし たどの様すぐおいでを願います大変なこと になりました使いに来たのはやはり下男の トキでしたどうしたのだお半さんがやられ ました えあの達しで勝ちで御の玄太にまで食って かかったお飯が玄太は池田様にすぐおいで を願いたいと申しますので口の重いトキが こんなことを言っている間に池田大介は 手早く支度をしてみのお前は後から来る ようにそう言いながら飛び出しました滅多 にこんなことはありませんがこの事件に だけはなんとなくの手が必要になり気がし て大輔は必ずこの美しい女女子を誘ったの ですトえお前はなんか知っているようだな 大輔はみみこう話しかけました玄太がこの 男に食い下がっているのは老な御聞きの感 でなんか一種の匂いをかしにそういないと 思ったのです何にも存じませんが吉は相手 の身分を警戒して表情になりました相手は お前の主人を殺した極悪人だなんか知っ てることがあるなら言ってしまった方が いいよ ええどうだ トキなんでもないかもしれませんが私は 旦那様が殺された朝久しの釘に引っかかっ ているかの子のキれを見つけました誰のだ それはお前は知っているだろう私が旦那様 の追いつけで買った物のキれですからよく 知っておりますトキの答えにはもう何の 躊躇もありませ ん2誰のだそれは池田大輔は少し咳き込み ました久しの釘に引っかかっていたヒのこ のキれその主要と主が分かれば伊豆や三兵 を殺したものがすぐにも分かりそうです今 までは玄太親分にも申しかねておりました が こう悪いやがのさばってはほっちゃ置かれ ませんその通りだ2人殺したやつは3人目 を殺すかもしれないそのかの子のキれは誰 のだ店舗の遅い言葉にじれて大輔はつい足 をよめます3人のでございますよ3人 の旦那様が今年の正月3人のお嬢様にのに 裏のついた綺麗な長を1枚ずつってやり ましたその時供をして小屋から持ってきた のはこの私でございます3人に3人みんな 柄が違っていんのか裏びっこなしに柄も 寸法も同じで若い娘たちは無法じゃござい ませんかその目の覚めるような長板を近頃
では普段切りしているようで少しでも自分 を綺麗に見せるためにはどんなものだって 惜しいとは思わないのでございましょう とも3人のお嬢様のうちでもお銀さんは体 が小さくて少しダブダブだし普段着にして はもったいないからと滅多に着ないようで ございますここでもぎが1人評判が良い ようですそれにしてもせっかくの証拠も3 人が3人とも持っている長盤では大した役 に立つかどうか疑わしくなりますそれから いみお飯がどんな具合にやられたか虎吉の 説明を聞きながら大輔は通り3丁目急ぎ まし たおあンさんの用が遅いので宇国反過ぎに 下女のお吉が正子の外から声をかけたそう でございますええ正油は閉まっていたと 申しますいつまで経っても返事がないので 商事を開けるとトラ吉はごくりと片を飲み ましたお飯が殺されていたというのか大輔 はつい先をくぐりました旦那様の時と そっくりそのまま首筋を刺されて脇たは バトさんやさのでございました23年前 道中差しの犬男かしにするつもりで 古道具屋でリブで買った大倉でございます そんな話をしながら3人はようやく通り3 丁目の伊豆に着きましたお井田様お待ちも しておりました入口へ飛んで出たのは太 でしたまたやられたそうだな憎いやじゃ ございませんか3日目に3人目を歩める なんて待ちかいとコケにしたやり口で玄太 は広く自尊心を傷つけられている様子です 体操腹を立てているようだが腹も立つたろ じゃありませんかお飯の市街のそばに こんなものが置いてありましたよ何玄太の 差し出したのを見るとシを伸ばした花神が 1枚 次は小次郎だいずれ追にとめをさす新太郎 も今頃仏だろう消すのひどい薬室でこんな 悪魔的なことを書いてやるではありません かうん池田大輔は唸りましたそして鈍い奴 だ今中にはきっとしってやろうと自信に 満ちた調子で言うの です3本当でしょうか池田様者の玄太も この池田大輔の独り言には驚いた様子です 掘ってはおけないそれに色々なことが 分かってきているもう網をしってもいい頃 だ若くて謙遜な池田大輔がこれほど強い ことを言うのはよくよく自信のあること でしょう2人はそんなことをさきながらも 奥の 人間の部屋からとおぎの部屋を立った6畳 のお飯の間に通りましたこの通りで少を 開けるとむっと生地の匂いがして殺された お飯が若くて美しいだけに一種の生産の気 が漂い
ます大輔は市街の枕元に膝をついて寝入り にその傷の具合から顔の表情ヤグの乱れ などを調べまし たつだし だ憲法の達人か外科の医者かいやそんな ものが下林であるはずはない大輔もさすが に鑑定が届きかねた様子です脇は番頭の やろの持ち物で犬の大倉です太は説明を 続けましたとまには少しの不審もござい ませんトが受け持って寝りに閉めるそう ですが今朝はどこにもがなかったと申し ますいや家のものと思わせたかったのだな 大輔は妙なことを言います外から入った 薬物でしょうか玄太は眉をひめましたいや そういう意味ではない家のものがやって家 のものと思わせたかったんだよ え言葉は謎のようで玄太には意味が 飲み込みかねた様子でし た大輔はもう一度ご飯の死顔に注意を向け ました血の気はなくなっておりますが 大した驚きも苦痛も感じた様子はなく飽満 で愛嬌のあったお飯の死顔はいそや玄太に 食ってかかった時と大した違いのない健康 さと美しさを保っておりますお飯の着物を 見たいがタスと押入れを開けてくれへえ 玄太はちょうどそこへやってきたやに 手伝わせてタンスから氷から1枚1枚お飯 の着物を出して見せましたが池田大輔は いや違うそれではないと頭を振るだけです やがて一通りの着物を見終わるとまだあり ましたよこんなところに突っ込んで玄太が 押入れの炭から出したのはひかの子の表に もみの裏をつけた長板が1枚それだ池田 大輔は忙しく受け取ると裏返しにしてパっ と裾の方を見ました燃え立つ炎のような 鮮やかな長板ちょうど上前のそのところに ひどい鍵ができて虫に取られたキれが幅に すん長さ5寸ほどトキを呼んでくれあの キれを持ってくるようにと言って大輔も 少し咳き込んでおりますまもなく庭から 入ってきたトキその懐中から出したひの 切れを長島の裾の破れに当てると一部一輪 の隙もなくぴたりとあったではありません かそれは何です池田様とげた主人の殺され た部屋の下ちょうど育が寝ている部屋の上 の久しの釘に引っかかっていたのだよする と主人を殺したのは玄太は愕然としてお飯 の死顔を振り返りまし た 4同じ長じ番が育のとろにも小銀のところ にもあるはずだ2枚とも借りてきてくれ 大輔の指しを半分聞いて玄太は立ち上がり ましたこれですよまもなく持ってきたヒ のこの長板が2枚お飯の仕入れから出たの を並べてみるとまらしいのと少し汚れたの
と折り目の正しいのとシだらけのとの違い はありますがなるほど主人のが3人の娘に 揃いで買ってやったことがよくわかります 俺のきちんとしたまたらしいのはウギさん ので少ししになったのはおさんの1番 ひどくなっているのがおはさんのでござい ますヤろの説明を待つまでもなく長板3枚 に現れた個性が3人の娘の性格を生き生き と語っているのは興味の深いことでした ところでお飯の長には膝の下に少し血が ついていますねちょうど鍵のところですが 玄太は妙なことを発見しました久しを渡る 時怪我をしたのだろうそんなことかもしれ ませんねお飯の左のスの辺りを見てくれ傷 があるだろうと思うへえ池田大輔は玄太に 言いつけました若くて独り者の大輔が死骸 になったと言っても同じく若くて美しい娘 のをのを広くぶつけなことと思ったの でしょうありませんね急の後もありません よ元太の声には妙に簡単の調子がありまし た異常に美しいものに見せられたの でしょう右にもか右も玉を伸べたようで うん池田大輔はすっかり考え込んでしまい ました旦那様遅くなりましたその時庭口 からつつましく入ってきたののは人足遅れ てやってきたおのでしたもめん物の さっぱりしたこへもおし気のないキリリと した顔もこの娘には妙に精錬された私的な 美しさが底光する玉のようにゆかしく匂い ます早速だが美の妙なことを頼みたいが はいそこからはごも踏み台もなしで久しへ 登る工夫はないかないこともございません がおみのは庭から2件くらいも高いひしを 見上げて一向驚く様子もなくこういうの ですそして主人の殺された部屋へ入って また元の庭へそっと降りるのだいしてみ ましょう途中に釘が出ているはずだあいの 受けかもしれない気をつつけるようにはい ではごめんください ましおみは一礼すると合わせのそ両膝の間 に挟んでしばらく足場を見ておりましたが やがて23軒先の藤棚の柱を見るとそれを 耐えるに大した骨もおらずにするすると 登っていきましたかつて両国の軽業小屋で 天女と呼ばれた娘だで江戸の人気を沸かし たおみですこれくらいのことはマゲのマゲ でしかなかったでしょう久しに手がかかる と後は何の苦労もありません至って簡単に 飛び移って2階へそろりと入ってしまい ました猫の子ほどの音も立てませんやがて 同じ道を通って大輔の前へ帰ったおは静か に裾を直してお天場をして叱られた小娘の ように少しはにかんでにっこりしますそれ だけのことが素人娘にもできるか身軽な方 ならできないことはございませんおみの
答えは至って無増さでした 銀の 素女1犯人はお犯あの愛嬌もで明けっ ぱなしで綺麗でさえあった娘が従のおを 切り新太郎を誘拐しさらに体温ある叔父の サブロを殺したのでしょう かやはりおはですね池田様御聞きの中でも 老と言われた太がこのぬ主人の体にを巻い ております池田大輔は黙って荒らぬ方を 見つめておりますが玄太は少し右頂点で 続けました主人と新太郎と育子を泣きもに すればこの新相で小郎が黙っていてもお飯 の手に転げこみますねそういうことになる だろうな最初おを切ったのは覆面をして 人数は分からなかったが女のように柄が 小さくて太いが聞き覚えのある声だたと おい子は言ったそうじゃありませんか飯が 顔を包んで作り声をしていたことになり ますねそれから主人が刺された時お飯は裏 の物置きで小は郎と歩引きしていたと言い ましたがそれも大嘘で小は郎を助けると 見せて実は自分の無実の証人に小は郎を 気合いに出したんですね現には思い当たる ことばかりですが池田大輔はそれくらいの ことでは容易に思そうもありませんだ飯を 殺したのは誰だそれは第1の疑問でした それはおよいわかります元太は平気で妥協 しており ますくもはウを縛って新太郎を呼び出して 来いと言ったそうだが新太郎を連れ出す くらいのことならお犯にだってできるじゃ ないか現にその後でくもは多分同じ人間 だろうと思うが新太郎をとの中から 連れ出しているではないかの第2の疑問は 玄太にもちょっと解けそうはありません そこまでは分かりませんがいずれわけの あることでしょうね例えば育を切ったのと 主人をさしたのはお飯で新太郎を連れ出し たのは他のものかもしれないじゃござい ませんか玄太は手から逃げる魚を追かける ようにシリムにお飯を下主人にしてしまい そうです新太郎は間の強い子で容易に知ら ない人間には馴染まなかったというぞでも もう1つお飯のすに傷のないのはどういう わけだ長島の裾にはあんなに血がついて いるが下林は久しを渡った時怪我をした ことは確かだが長島湾の血は主人を指した 時の開立かもしれませんよ大輔はまだ頭を 振っております大3の疑問もまだ完全には 解かれておりませんお飯を下種人にすると 一応簡単に拉が開きますがその後にはなん としても割り切れないものが残るのです そんな騒ぎをしているところへ内中に配置 した下ぴが1人バのさやを見つけましたよ ロルのさやを1本持ってきましたどこで
やったんだとげたての正月の部屋で押入れ の布団の中へ突っ込んでありましたよ そいつはいいものが見つかったお飯をさし た分出しと愛さすれば文句はないわけだ やってみましょう壁はさやを持って向こう へ行きました池田様いよいよお半殺しの 化主人が分かりそうですね玄太はすっかり のりき です2さはお飯をさした刀とぴたりと会い ましたいもう間違いはありませんね池田様 手代の千松がお飯に弾かれてカットして 刺したんですね玄太は相変わらず結論を 急ぎます 少し待ってくれ末が下主人だとするとさや だけ自分の部屋へ持って帰って布団の下へ 突っ込んでおくのはおかしいと思わないか 脇差しはどうせやろのものなら現場へ捨て ていくかやろの部屋へ放り込んでおくと いうなら打点が行くが大輔の調子は静か ですがその動かぬ通りはともかくもはやる 玄太を抑えて末に縄を打つのだけは思い 止まらせましたしかしそれも長いことでは なく下ぴが23人手伝って殺されたお飯の 荷物を調べていると大変なものが見つかっ てしまったのですこいつはなんだろう下種 人の下ぴきの人人は手箱の中から7発本の 手紙を探し出しましたおやおやおや小意識 お犯様へ参る千松よりと来たぜ誰だ俺も 見せろ1人で読んで笑ってんのはセシじゃ ないか たまらねえなちくしいやもう大変な騒ぎ ですこの手紙は玄太と池田大輔の前へ さらし者になったことは言でもありません 証拠に即はありませんね池田様千松をあげ てしまいますよ玄太はすっかり勝利官に 浸って大輔が何と言っても耳を傾けそうも ありませんその上悪いことにお飯の手箱の 中から千松の恋がたくさん出てきたという 噂が内に伝わると場にもじもじしていた 千松はいたまらなくなったものか片ちばの 下駄をつっかけて慌てて外へ飛び出そうと して入り口に見張っている下壁に捕まって しまったことです野郎どこへ逃げるきだ 襟髪を取って引き戻し上になり下になり 揉み合っているところへ飛び出してきたの は弾み切った太でしたごだぞしみにしろじ で肩を叩くと物はもろくも腰がくじてドマ の真ん中へへたへたと座り込んでしまい ましたお私は何にも知りませんお許しを 願いますそいつは知らの砂利を掴んでいえ おを殺した覚えがあるから逃げ出したろう そいつは違います親分サグ千松はキリキリ とカナを打たれて下匹に引立てられ ます様おかげ様で下種人が分かりました どうぞお1人くださいますように元の部屋
に帰ってきた玄太はすっかり自分の手柄に 水してこんなことを言うのでし た私は下主人は今中にあげると言っていた ななるほど下林側ではこちらに用事はない わけだでは帰るぞえ国労様でございました ごゆるりとおやみください ましみのはか大輔は奥へ声をかけました はい旦那様おみは静かに縁側から顔を出し ますお前は残って育の解放をしてやるが いいはいそれから池田大輔は辺りを見回し て聞いているものがないのを確かめて何 やらおみに囁くのです良い か3 それから3日4日と無事な日が経ちました 玄太があげていった千松は思いの他強情で お半殺しを白場せず事件は一応落着した ようでそこの底の方で何やらブスブス いぶり続けているものを感じさせていたの です旦那様ただいま戻って参りましたみが 橋役へ帰ってきたのは千松が縛られてから ちょうど5日目でしたご苦労ご苦労何も 変わったことはなかったか池田大輔はこの 忠実な娘の影日なたない努力を愛しいもの に打ちみやります18の娘盛りをベにも おいも知らぬ生活になれて荒い仕事まで 引き受けるおみのですがそれにしてはなん という品の良さでしょうたった1つござい ましたどんなことだ亡くなったご主人サベ 様の遺言場が見つかったそうでございます ほうそれは池田大輔にも予想外な真実です 番頭のやろさんがご主人から預かっていた 手文庫を開けてみるとその中にありました そうでどんなことが書いてあったご親類方 お立ち合いで聞きましたがご主人の筆跡に 総意はなく書いたのはお茶の水の崖から 突き落とされる少し前だったと申します 遊城のの文句はそれが変わっておりました あのご主人の弟嫁の連れ子という触れ込み で伊豆に養われているぎさんはその実ご 主人三兵様の真実の娘だったそうでござい ますうん大輔もりましたこれは実に予想外 な真実です若い時の過失でよそでできた娘 遺言上には書いてございます それを弟の嫁の連れ子ということにして 育て弟の死んだ時自分の家へ入れたと申し ます亡くなった両毛の手前名乗るわけにも いかず気のくながら方向人同様にして育っ たが女房が死んだ後でもおいやお範や小は 郎の手前もあり急に親子の名乗りをする わけにもいかずついそのままにして過ごし ていたところで私に満一のことがあって おぎを路頭に迷わせてはかわいそうだから 後日のために遺言上をしためておく私の 死後は伊豆の新相を3つに分けてその1つ をおぎに継がせるようにもしまた新太郎が
創生するようなことがあったらおおぎに 用しをして伊豆の跡取りにするようにと誠 に行き届いた遺言だったと申すことで ございます おは語り終わったのですそれは気がつか なかったなるほどそんなことであったのか ところでそのことをぎは知っていたのか 大輔の問は微妙でしたいえちっとも知ら なかったようで現に遺言上読み聞かせれた 時は驚いたり決まり悪がったり最初から 知っていたものではあんな様子はできませ んそれから他のものは例えばやとか郎とか おと か誰も知っていなかったようでございます 肝心のおぎさんなどはすっかり驚いて しまってただそわそわするだけでござい ました大育のスは確かに傷がございました あの物置きに入れられた晩くもにかりで 切られたのだと申しておりますそしてお さんはそんな傷のあることを隠しもどうも しません大輔が伊豆を引き上げる時みに 囁いたのはこのことだったの です 4それからおみは言いにくそうでしたまだ なんかあるのか小という人 はおぎが伊豆の跡取りと決まると急に今度 は小銀の機嫌を取り出したろう池田大輔は 先をくぐりました若い読のにはさすがに こんなことつけつけという勇気がなかった のですえみんな袖引き合っておりますこと におさんなどは腹を立てたり面白かったり 大輔もさすがにこの話には胸を悪くした 様子でした私の申し上げることはこれだけ でございますご苦労ご苦労おかげで色々の ことが分かったよ大輔の寝らは丁寧でした ではみが静かに一礼して立ち去ると 入れ替わって岩崎から入ってきたのは雨屋 の千太郎でしたおぼん今帰ったよおセタか わかったか大輔は生子を開けて秋日和の 縁側に顔を出します向こ両国の局外師の 一落さ楽助は56日前から江戸へ帰って いるぜそうかどこを待ってきたんだ近在の 秋祭りを56か所打って2つ目で江戸へ 帰ったそうだなんでも小田原あたりまで 伸ばしたがはおい寒くなるから見切りを つけて江戸へ引き上げたと言ってる ぜご苦労ごろ雨の千太郎おって追いやると 池田大輔は元の座に帰ってじっくり 考え込みましたよがってしばらく立つと みのみのはいもう一度おみのは呼び出され ましたいいと縁側を早足できてそっと生子 を開けるおみのは大輔の用事をするのが 本当に嬉しくてたまらない様子 です気の毒だがお前もう一度3頂目へ行っ てくれ1人で寂しかったら千太郎を連れて
行くがいいいえ寂しいことはございません では行ってまりますいやまだ早い暗くなっ てから出かけるのだどうも気になることが あるがではそういたしましょう待ってくれ おの傷はもういいのか体操よいよでござい ましたもう起きて歩かれると喜んでおり ましたでもすっかり呼び切っておりますの で今夜からは1人で寂しくなるから下女の お吉に自分の部屋へ泊まりに来てもらおう かしらと申しておりましたそれはいい 思いつきだあの家ではどんなものでも安心 ということはできない池田大輔は謎のよう なことを言うの ですおさんは本当にかわいそうでござい ます怪我をした上頼りにしていた郎さんが あの通りではところでこんばんは少し 危ないことをしてもらうかもしれないが 池田大輔は他のことを言っておりますそれ ばかり気になっていんのでしょうえどんな ことでもおみはしかし緩む色もありません 今までも幾度か姿勢の境をきってこの少女 の神経は見かけの者に 同のように狂人になっているのでし た殺人 鬼 1その晩9半頃1時通り3丁目の伊豆には 不思議なことが起こりましたどこからとも なく忍び込んだくもが1人おぎの部屋の外 にしばらく息を殺しておりましたが誰も気 のついたものがないと見定めたかそっと 生子を開けると物の影のようにするりと 部屋の中に滑り込みました有明のアドは 一本等身で恐ろしく薄暗い上枕病部の影を 落としておぎの寝顔はよく見えません しかし寝息を安らかにすやすやと眠って いることは部屋の空気が海の底のように 淀んで限りなく静寂なことでも分かります くもはやがて小銀の床に近づくともう一度 その寝息を確かめた上さっと飛びかかり ましたいつの間に抜いたか右手にきらりと 光ったのはモハ一丁の探検ですあや小銀の 喉笛へそのモハがつったったと思う一切な おぎはくるりと寝りを打ちました狙いの 狂ったモハはざぶりと枕につったったの です それを引き抜いて2度目の襲撃をする間も ありませんぱっととこから抜け出したおぎ いやそれはもうおぎではありません拙い ながらアドの明りに照らし出された顔は昼 の予想のままの継承模なおみの姿だったの ですおみのタはぱっとくもの目を払いまし た覆面の上からではあったにしても不の 襲撃にタ物に追っかぶせるように物くもお みの声は高々と夜の空気に響くのでした 待ち構えたようにド四法から集まる人の
足音くもは部屋から転がり出して縁側へ 開け放った天の隙から真っ暗な庭の闇へと 逃げ出すのが精一杯でし たまあ一番先に飛び込んできたのはこの 部屋の主のおぎでしたおみに変わって もらって隣の難度に休んでいたの ですどうしたの続いておの部屋に止まった 下女のおきそれからようやく歩けるように なった追までが縁側から青い顔を出します なんだなんだ番頭のやろも手代の小は郎も 飛んできまし たまあどうしたのみさん昼のうちに帰った とばかり思っていたのに番驚いているのは ですえ一度帰ったけれど今晩あたりおぎ さんが危ないと旦那様がおっしゃって遅く なってからぞっと戻ってきましたよそして おぎさんと入れ替わっていたんですま 危なかったわねそんな応酬をしている ところへ裏口から御ききの玄太が入ってき まし た池田様はまだかい今晩つ過ぎにここへ 来るようにとのお使いだったがそれにして も裏口は開けっぱなしだぜ用人の悪い家 じゃないか腑に落ちない様子でここに 集まる内中の者の顔を見回しております ちょうど牛の国2時表から今度は池田大輔 が雨屋の千太郎を連れてやってきました 玄太もう来ていたのがいやご苦労ご苦労お み無事だったか物はもうに言えたよしよし それはもう手配してある世の明けのうちに 捕まるだろところでげた へい玄太は何が何やらわかりません今晩 こそ約束通りおを切り新太郎を誘拐し主人 と犯を殺した下主人をお前に引き出そうと 思うが池田大輔は大変なことを言い出し まし た 2誰ですその下種人は手代の千松じゃあり ませんね千松は縛られているが現に今夜も ここへ来ておぎを殺そうとしたくもがあっ たのだおみが身代わりになって幸い何事も なかったらしいが危ない仕事だったよへえ 今晩ここい物が来たんですか太はまだゴリ 夢中の様子 ですを積ったり首をひねったりしますが謎 はまだ糸口も解けません枕につったって いる刃物それでついたのかミノえおミノは モハの探検を枕から抜いて大輔に渡しまし たこの刃物は何に使ったものだ ミノ大輔はその不思議な探検を打ち返し 打ち返し穂先にかざして眺めております 手ずれの下荒で急に磨いたら刃の先何とも 言いよもなく不気味なものですちょっと 拝見いたします極ゲでマリと一緒に使う品 のようですが最も極ゲで使うのははきをし
てあります がこれはよく磨いて刃をつけてあります 刃先の探検そんなものは極の舞台ででも なければまず見ることのないのは分かり きっており ます するとその極限の探検を持ち出した野郎が 主人やおはを殺したとおっしゃるんで玄太 は乗り出しまし た待ってくれ玄太そう先をくぐってはいけ ないこの羽先を持ってきた物はぎ1人を 狙ったので主人やおファを殺し新太郎を 誘拐した物は他にあるんだよ え谷はますますわからなくなるばかりです を巡ってぐるりとワを描いた男女67人も 大輔の言葉を測りかねて片を飲むばかり でしたげた手取り早く下種林を教えて やろうそれだよ池大輔の指が動くのと 指さされた人間が動き出すのと一緒でした 物はみの手からモハの探検を奪い取ると 恐ろしい素早さでその後ろに立っている おぎの胸毎文字についていったのですそれ は実に一瞬を争う危ないところでした幸い おみのと並んで座っていた大輔がとっさの 起点で小銀の体を突き飛ばし再び 突っかかるとするくもの手首を首頭ではし と打ちましたえ 悔しい力を及ばずと思ったくは出口を塞ぐ 23人を突き飛ばして縁側へ飛び出そうと する 今度は太が背後から楽器とはじめにして しまったのですこの女ですか旦那油断する なそれは鬼だぞなんの鬼だって蛇だって 玄太の膝の下に組みしいたのは病床から ようやく入らしてきたと思われているあの 優しく色っぽく要でなよなよとした追の ちば目を見張りキリキリと歯を食いしった よりも凄まじい顔ではありませんかあつ つつ組み敷かれれたおは急に悲鳴をあげ ました玄太騙されてはならんぞその女は遠 に傷が治っているのだ治らないはずはない と外科が不思議に思っていたぞ池田大輔は 注意しました玄太の手の緩むのを狙って ともすればおの体はうのように抜け出し そうになるのですなの太は早くも鳥を出し まし た 3下林はおだみんな不思議そうな顔をして いるから念のために最初から話してみよう おが打った1人芝居の筋はこうだお雪を 23人の下壁に任せて別室に連れ出させる と池田大輔は自分を取り巻く大勢の高喜に 答えるようにこう話し始めましたまだ 夜明けには早く すっかり目のさえ切った人たちはありを
重ねたり手ありを持ち込んだりお吉の入れ てくれた熱い番茶に喉を潤しながらおつの ような寂しい心持ちで池田大輔を取り囲ん だのです主人が死んで新太郎が行方不明に なればこの伊豆の新相はおくと八郎の自由 になるこれは誰にも分かることだところで おは伊豆に取られる前は両国の極ゲの小屋 にいて縄抜けとアゲを読み物にしていた これもみんな知っていることだおみのは 頷きましたこの昔の家業馴染みの法が欲に 目が暮れて大変な悪事に落ち込んだのは みのにとっては諦めきれない悲しみだった の でしょうおは最初の騒ぎの晩お飯の髪を 持ち出しての中に入りとの隙間から若木の 糸を引っ張って内から器用に通しめ た若木に干物ついているのととにひどい 隙間のあるのを見た時これはうちからでも 閉められるなと思ったがまさかこれほどの たみがあろうとは思わなかった池田大輔で も相手の柄やさしく弱々しい様子に騙され たのでしょうそれから髪で自分の体を切っ た これは容易にできることではないがおくは それのできる女だ傷は血のでた割にみんな 浅く外科に言わせると引っかきくらいの ものだったそうだそれから自分を荒縄で 縛った縄抜けと足芸の名人だ口と足を使っ て前で縛った結び目を両足をくぐらせて 後ろへやるくらいの統はんでもない野は また頷きました同じや技で苦労したことの あるおにはそのやり方がよく分かるのです 池田大輔はさ構わず続けました血が縄の上 から流れていたか縄の下についていたか それを見るとすぐ分かったがほく人たちに その心がなかったしかし娘は男結びでは なくて女結びだったというのも1つの証拠 だ池田大輔の説明は命極めますがさらに 言葉をついでおくはくもに突きつけられて 物置きの中でいやのものを皆殺しにすると いう使用書を読んだと言ったみんなを 脅かすつもりでいや丸物の悪だくみを物々 しく思わせるためにこんなことを言ったの だろうがあの晩は重屋で月出はそんなに 遅いはずはなく8つ頃には月はもう真上へ 登っているはずだ東向きの物置きの中で 書いたものが読める通りはないのにおくは くもは明りを持っていなかったと言った 聞く者の間にざめが起こりました池田大輔 の驚くべき記憶力とその明地とに見せられ たのですだがそれだけではまだおを疑う わけにはいかない池田大輔は静かに言葉を 続けますその次に下女のお吉と同じ部屋に 寝ている新太郎誘拐したのはやはりおだ 新太郎は滅多な人に馴染まないからお吉に
知らさずにそっと新太郎を連れ出せるのは おの他にはない最もおは遠くへし太郎を 連れていく隙はなかったが幸いに2つき ばかり近在を回っていた一際楽助はこの頃 江戸へ帰ってに手を貸してくれた多分裏の 辺りで待っていてそっと太郎を連れ出した のだろうもう1つ忘れてはならぬことは2 つき前にお茶の水の書から主人を 突き落としたのもあれば一落さ楽助の仕業 だその頃楽助はまだ江戸にいたはずだし その晩伊豆のもので外に出たのは1人も ない楽助は追に自由自在に操られていたの だ4あれはただの女ではない悪で練り固め たとよおうかよにも恐ろしい人間だ主人 サベを殺した手際などは奇人の技と言って もいい池田大輔はこう語り続けました内中 のものがはご団の下のお吉の部屋に集まっ て新太郎のことを心配している時はもう 一度床を抜け出しいつか野がやってみせた ように藤棚を伝わっ にり主人の三の部屋へ忍び込んで間に置い てあった脇差しで主人をさした身動きも 自由でなかった主人は多分声も立てずに 死んだことだろうあまりのことに一座の 人々は黙って顔を見合わせまし たあの優しくて綺麗だったおの心にどう すればそんな悪の虫が潜んでいたの でしょう続け ますその時さすがのおも寝巻きにしていた 長のそう久しの青いの受けに引っかけて 広く咲いた上常に少し傷をこえた落ち着い ているようでもこれだけの際どいことを するとやはり少しは慌てたん だろう日差しに引っかかったひのこの長板 のキれは下男のトキの手に入ったそれは みんな知っての通りだとこ その子のキれからられると鍵のある長の 持ち主が間違いもなく主人三兵殺しの主人 ということになるこの時おは無理な体の 動かしをして2日前の古傷から血が出たの でそれをごまかすために主人が殺された 騒ぎの中へ起きていったりした勢の聞ては またごくりと片を飲みました同じは3枚 あるはなんとかして一刻も早く誰かの満足 な長板と変えなければならないおとははひ のの長板を不着にはしていたがまさか今 までは寝巻きにはしなかったところがおく は怪我をしてとについてから人に見られる ことが多いので長島を寝巻きにしていたト が久しの釘からひのこのキれを見つけたと 言った時から私は下主人はおではないかと 思っ たおは小郎の気持ちが近頃を半に傾いて いるのをひどく心配していた怪我をした時 小郎の心はしばらくおに帰ったが日が立つ
とまた小お班に取られてしまいそうになっ たそんなことでは急にお飯を殺す気になっ たんだろうそして自分のの長裾の破れて血 のついたのお飯の押入れに突っ込みお飯の 無傷な長板を持ってきて主人殺しの疑いを お飯に背負わせてしまったそればかりでは ないおはこのお飯ごしの罪をお飯に 言いよっていた千松に着せるつもりで 脇差しのさを千松の布団の中に突っ込ん だ恐ろしく行き届くようだがそれはサでの であったと思う主人はそんな場合に自分の 布団の中へ脇差しのさなど隠すはずはない 池田大輔の調子に連れて小勢の人たちも つい苦いしました悪人に手落ちがなかっ たらそれはあまりに世の中が不公平になり すぎます大輔はなおも語り続けましたこの 時私は育を縛るのが本当だったがのの意気 込みが凄まじかったのとなんと言っても 確かな証拠がなかったので千松には気の毒 だったがしばらく様子を見ようと思ってお みのを残して帰った幸いおは昔の極上仲間 だったおみのを甘く見ているみのはきっと なんか証拠を握ってくるにそういないと 思っていた美野に対する池田大輔の期待は なかなかに重大だったの です 5とうとはおぎを狙うようになったおぎが 桃園の娘で方向人並みでいるうちは無事 だったが死んだ主人の本当の子で伊豆の 跡取りとなると捨てておけないそれに池田 大輔はそばに神妙に控えている小は郎を 帰り見たのです騒ぎの半分はこの生白い ごり男の無接そな態度のために起こった ことで幾人かはそのために命を棒に振った と思うと虫の走る思いです小郎が近頃ひく おぎに親切になったのでおはそれを見ては いられなかったサブロウとおはを殺した手 はもうおぎ1人を容赦するはずはないが 今度はうっかりすると疑いが真光から自分 へ来るそこでおみのが帰った晩お吉を自分 の部屋に呼んで人代わりに止まってもらい 一方自分の言いなり放題になる一落楽助に 渡りをつけてその晩外から忍び込んで もらった楽助を呼び出したのは多分御用 聞きの小僧かタヒを使ったことだろうする と戦国の物は玄太は初めて口を開きました 今晩のだけはおでなかった一之助が小屋で 使っいるモハの探検を持ってんできたのだ 最も戸締まりは酔いのうちにおが開けて おいて一切も忍び込むようにしていたん だろう今夜きっと来る私はそう思ったから この危ない役目をおみに買ってもらいおぎ の代わりになってくもを待たせたの だ一歳楽助はどうなるんです池田様太は それが心配そうです大丈夫だ石寺にに頼ん
で両国の方は手当てをしてあるおうもう やけだやがて石寺からなんとか頼りがある だろうくもの逃げた後の縁側から淡い明り が入って晩Discの朝風がぞっと身に 染み渡ります池田様石こ様からのお使いが 見えました番頭の野郎は下ぴを1人案内し てきました石寺というのは筆頭より石子 万策のことで池田大輔と共に大岡一前の神 の片腕と言われた着けですどうだラノスは 捕まったかへお骨を下せましたがどうやら あげましたそれから池田様に申し上げてご 安心を願っていただきたいと石子様のご 伝言でございますが下っ匹はひどく持たせ ぶりますなんだ新太郎とやらこの家の坊っ ちゃんが一落祭の小屋に隠してありました 四国元気でええ明るくなれば連れてくる はずねま一番先に喜んだのはおぎでした よかったわねみもお吉もすっかり頂点です がその時と大変たんな下っぴが2人青く なって飛んできましたどうしたあの女が 逃げてしまいましたえ長の名人と知ってい ながらとんなことをしまし たそれはしかし後の祭りでした殺人機のお は巧みな長毛をして行安の江戸の町を 取り乱した姿のまま両国の昔の小屋の方へ 逃げていきましたが一落祭楽助が縛られて くるのに合うとさすがに観念したものか 両国橋の上から朝桐の深深と立っている 大川へ水音高く飛び込んしまったの です小郎はア払いになり千松はその日の うちに許されて帰り後にはおぎと夫婦に なりまし た新太郎の貢献として誠実に伊豆を守って いったというのはこれは後のお話 です
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大変励みになります。
池田大助捕物手柄話の内容は以下の通りです。
(昭和二七年刊行 野村胡堂捕物名作選)ちなみに定価は１６０円。
一、密書の行方 https://www.youtube.com/watch?v=BxcerLuXsPQ
二、寮の火事 https://youtu.be/olF6yDV1s7s
三、裏返しの半纏 https://youtu.be/olF6yDV1s7s
四、名刀の謎 https://youtu.be/WwAOW4qEYDA
五、双生児姉妹 https://youtu.be/zTPJRystzUs
六、闇を飛ぶ矢 https://youtu.be/PHhmEWG0yDE
七、娘軽業師 https://youtu.be/XoJ_OtWtK-c
八、三人姉妹 https://www.youtube.com/watch?v=lCq68-7wTEw
九、飛龍剣 https://youtu.be/wNfTO_rSdbY
十、お若の眼 https://youtu.be/yw5JXnoj7w4
十一、謎の三一文字 https://youtu.be/vAfY_ndovlA
十二、白羽の箭 https://www.youtube.com/watch?v=jkL_MIHD6vE
十三、旗本三人組 https://youtu.be/2xe4c9XLmLw
十四、一枚絵 https://youtu.be/SyYHr7O1Df4
十五、春雨五人男 https://youtu.be/ecnsRSOoH5Q
十六、笛の音 https://youtu.be/sPW8CRKPk_c
十七、三人娘 https://youtu.be/8Q1dxj-qqek
十八、謎の足跡 https://youtu.be/3Vc7V4qJcu0
十九、酔いどれ馬 https://youtu.be/ypssYJ-JWr0
二十、石灯籠 https://www.youtube.com/watch?v=hRa984HMEAc
大岡越前に薫陶をうけた若き池田大助の活躍を描いた、野村胡堂の連作小説。
テレビドラマが1974年より放映されており、全26回放映された。小西酒造提供(1550年創業。兵庫県伊丹市に本社があった。清酒メーカー)。
■登場人物
池田大助……名奉行大岡越前にみこまれて、訓育を受ける
お美濃……大助の許嫁的存在。軽業小屋あがりのいい女。
仙太郎……大助のつかう飴屋の少年
源太……御用聞きの四十男
勘次……下っぴき
石子伴作……大岡越前の配下の与力
三郎兵衞……井筒屋の主人。療養中
駒吉……井筒屋の小僧
彌五郎……支配人
お幾……さぶろベえの姪
小八郎……甥
お半……三郎兵衞の妻、お喜久の姪
お銀……遠縁の娘
新太郎……井筒屋の跡取り。七歳
お吉……ばあや
千代松……手代
寅吉……下男
一楽齋楽之助……曲芸師
■用語集
輪鍵……ワカギ・ 輪状になっているかけがね。わかけがね。
びん憐……かわいそうに思うこと。あわれむこと。あわれみ。
嗜虐……シギャク・残虐な事がすきなこと。
蛾眉……ガビ・蛾の触角のような三日月形の、美しい女の眉(まゆ)。転じて、美人。
参会……サンカイ・会合に参加すること。
索引……サクイン・ある書物の中の語句や事項などを、容易に探し出せるように抽出して一定の順序に配列し、その所在を示した表。 インデックス。
銘仙……メイセン・絣と呼ばれる手法を用いた平織りの絹織物の一種です。
玲瓏……レイロウ・玉などが、さえたよい音で鳴るさま。
卯の刻半……七時
■目次
0:00 三人娘 一の一
4:33 三人娘 一の二
8:50 三人娘 一の三
13:14 三人娘 二の一
17:30 三人娘 二の二
22:15 三人娘 二の三
26:13 三人娘 二の四
30:29 三人娘 三の一
34:35 三人娘 三の二
38:26 三人娘 三の三
42:06 三人娘 三の四
46:02 三人娘 三の五
50:21 三人娘 三の六
54:06 三人娘 四の一
57:45 三人娘 四の二
1:01:42 三人娘 四の三
1:05:31 三人娘 四の四
1:09:18 三人娘 四の五
1:13:07 三人娘 五の一
1:16:57 三人娘 五の二
1:20:45 三人娘 五の三
1:24:46 三人娘 五の四
1:28:48 三人娘 六の一
1:32:29 三人娘 六の二
1:36:14 三人娘 六の三
1:40:22 三人娘 六の四
1:43:50 三人娘 七の一
1:48:13 三人娘 七の二
1:52:15 三人娘 七の三
1:57:09 三人娘 七の四
2:01:42 三人娘 七の五
#大岡政談 #野村胡堂 #朗読 #池田大助捕物帳 #時代小説 #AudioBook #七味春五郎 #作業
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