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【天地静大 第十二回】山本周五郎の傑作長編〜毎週土曜夜八時〜  朗読時代小説  読み手七味春五郎 発行元丸竹書房



【天地静大 第十二回】山本周五郎の傑作長編〜毎週土曜夜八時〜  朗読時代小説  読み手七味春五郎 発行元丸竹書房

こと全て よし9月になった小平の馬場での出来事は そのままもみ消されたのがトの耳には何の 噂も入らなかったし神辺にも変わったこと は起らなかっ た一造は気にかかるのか三のばかり 問い合わせの手紙をよこしたがそれによっ て一造の方も無事だということが分かった だが45日前に来た一造の手紙には橋本 佐内が捉えられ江戸の福判定に押し込め られたそうだということが書いてあった やはりそなったかトルはそれを読んだ時 大きな目に見えない壁に地方から圧迫さ れるような胸苦しさを感じながらしばらく 目をつったまま座ってい た4月のうちに幕府は強い弾圧の手を打ち 始めた将軍の警視がキの吉富家持ちに 決まってから終わりの吉勝水戸の成明が 建設され多くの金農死士が捉えられた見の 成明は幕府に対してはもちろん死士の間に 大きな影響力を持っていたのでこれを建石 処分にすることは幕府がその決意の動かし がいことを表明するものであっ たこの情勢は福井にも及んだであろう阪の 松田吉長を中軸とする勢力は交代しその 周囲を固めていた人々は罰せられる橋本さ が判定に監禁された理由はそのまま幕府の 同行を示すものだとトルは思ったすでに 捉えられた死士または追われている死士 たちの名が通たちの耳にも色々伝わってい たその中には梅田定明小林民部また吉田 商人などの名もあっ た川上岩は喜家に席があるのでそういう 情報には詳しかった内藤の家で5人が 集まる時には幕府の内部事情や政治的な 動きについてよく話したが一郎は元より平 ライザ郎も松浦タスもなるべく聞き流す ようにしてい たトルも無論その1人であったこの5人は 初めから政治問題には関係しないという 立場を取っていたのでそういう情報から 受ける不愉快な圧迫は感じてもそのことの 是非を論じ合うような例はなかった5人は 学問に打ち込むという一点だけを守りそれ が自分たちにとって唯一のだと信じてい たクは万衆であるが時々残暑が帰ったよう な暑い日の続くことがあったその日も暑く 出稽古から帰った徹は汗だらけになったの で井戸端で裸になって体を吹いていた風呂 へお入りなさいなそう言いながら服が目を ふきふき出てきたもうすぐ湧くのよ内藤は はまだでしょうあなたの悪いおせよと服は 言ったあなたはちゃんとふを入れて いらっしゃるのにいつも遠慮ばかりなすっ てそれではいつまでも他人容疑で嫌だわ目

をどうしました赤いでしょ服は小さな肩を すめ喉で笑いながら恥ずかしそうに言った 今ねかを炊いていたのよ煙が入ったんです ねえ薪の中に生きが入っていたんですって お母様は持ってみれば分かるのにって おっしゃったわ無理だわね服はまた目を 吹いた他の巻と同じように割ってあるん ですもの持ってみただけでなきだってこと 分かる通りがないでしょうあら服は目を パチパチさせ たあなたの腕って随分強そうねそう言い ながらちょっと触らせてねとそへ寄ってき トルの左右の二の腕のところを掴んでみ たり筋肉に沿って指を滑らせたりしたも こいことと服は目を見合った肉がコリコリ していんのよこんなに白くって毛も何も ないのにお兄様は腕にも毛が生えてるし胸 にも足にもすごく毛が生えてるのよ服のを 触るままにさせながらトルは何年か前磯べ の浜であったことを思い出し たふの名と右を歩いていた時急に波が寄せ てきて足を現れた造りも旅も濡れてしまい ほが彼の足を吹いてくれた白い肌だねと その時ナホが言った白くて女のように決め の細かなお肌ねその声はまだに残っている がほの顔立ちは目に浮かばない全体の姿は 思い出せるけれども買う形は恋い霧の彼に あるようで捉えどころがなかっ たそればかりではない今こうして磯べの浜 のことを思い出しても淡い懐かしさ以外に はさほど心が痛まなくなっているほの方 から離れていったことは事実であるが生涯 変わる前と誓った自分の気持ちがわずかな 年月の間にこんなにも冷えてしまうもの だろうかトルはそう思って人間の心の頼み 方さというものを現実に見るように感じた 服が拭いてあげましょうそう言って服は トルの持っている手ぬいを取ろうとした もう終わりですよとトルは手をよけたそれ よりかをたいけないでしょお母様が書いて くださるんですって服は片手を隠居所の方 へ振った服はお掃除に来たのよ掃除は自分 でし ますいいからお母様を手伝ってあげて ください服が下手だからでしょ掃除ぐらい は自分でしますどうかあまり私のことに気 を使わないでください帰ってきまりになり ますから服は目を大きく見開い まともにトルを見上げた杉浦様はと服が 言った私のことお嫌いなのねどんなことを 言う人だそう言いながら見ると大きく 見開いた服の両目が涙をいっぱい溜めて 光りそれがしになって頬の上筋を引いた どうしたんですトルは驚いて手を伸ばした 私の言ったことが気に触ったんですか服は

ベソをかいてくるっと振り返りそのまま 勝手口の方へと走り去っ た何が悪かったのだろう彼は服の大きく 見開いた目とその目から溢れ落ちた波だと 少女のようにベソを描いた表情を思い返し ながら心配するというよりむしろ 微笑ましい気分を感じ た服が食前の支に来た トルは机に向かって筆を動かしていた服の 機嫌はもう治っていてトルが気づかずに いると後ろへ忍び寄ってそっと両手で彼に 目隠しをし妙な作り声で言った誰だかお 分かりになって充血したまぶをそっと抑え た服の冷たい手指の触れ心地が良かったさ 誰だろうなトは筆を持ってたままで微傷し ながら頭をかげたちょっと分からないな えっと誰だろ服は喉で笑ったああよかった やはり目隠しをしたまま服はトルの背中へ もたれかかりながら言った怒って いらっしゃるかと思って心配していたのよ さっきはお怒りになったん でしょこれは驚いたとトルが言った怒った のはあなたでしょう私はただ同枠しただけ ですよ服はまた喉で笑いもたれかかった体 をトルの背中へそっと押し付けたテは心 よい柔らかさと冷たさを持っているが 押し付けてくる服の体は熱でもあるように 温かく感じられた怒ったんじゃないのよ服 は手を離し前の方へ戻りながら行った女は ね時々そんな風になるものなんですって 何にもわけはないのに急に泣きたくなっ たり誰かに甘えたくなったり拗ねて見たく なったりするんですってあの時はそうだっ たのよそれは得なもんだなあなたは男だし まだお若いから分からないのよくは姉が弟 にでも言い聞かすような大人びた口ぶりで 言った女ってそういう風に難しいものなの よ確かに難しそうだそれで女はしつけが男 より厳しいんですってはい押したができ ましたトルは筆を置き両手の指でまぶを 押えたするとまぶたの裏に小さな光の玉が 明滅し今かいていた線や円の図が現れたり 消えたりし た服は机の脇にあったアドを前の方へ移し の具合を直した月に1度ぐらいはそういう ことがあるのよと服は続けたいくら厳しく しつけられた人でもそういう時は自分で どうしようもないんですって男の方はそれ を分かってあげなければいけないのよ人の ことのように言いますねとトルは 立ち上がりながら軽く笑ったそんな時には 今そういう状態だと言ってもらわなければ 男としては東するばかりです ね彼は前の前に座っ たそれは恥ずかしいことですもの口では

言えないのよと服は休をしながらひどく まじめに言った口で言われなくっても男の 方に愛情があれば分かるんですってお母様 がそうおっしゃったのよますます女は得な 理屈のようだなそれはあなたがまだからよ 褒めてくらすってありがとう彼は茶碗と箸 を取ったそういうことなら早く年を取る ことにし ましょう現地物語お呼びになってと服は急 に話題を変えたトルはもちろん読んでい なかったではお久は彼はまた頭を打った あらつまらない服はがっかりしたという風 に物語や日記体のコシの名を色々あげトル がどれも読んでいないと知ると全く失望し たように不機嫌な顔になった始まったよう ですねとトルが言ったまた拗ねたくなった んでしょう顔つきが怖くなりましたよ まさか服はすてなんかいませんわじゃどう したんです私ねと服は座り直したあなた私 の麻川のき読んでくださったでしょ今でも 時々読み返していますあの後も書いていん のよと服は言ったこれからも ずっとあなたあれをどうお思いになって どって大変勉強になりましたね自分の弱点 や短所が分かってあれから務めてそういう ところを直すように心がけていますよそれ だけそうそうですねトルはは考えるふりを した今のところはまそのくらいですねでは 言いますね服は決心したように言いかけて トの顔を伺うように見たがそこでまた失望 の色を表したあなたはご存知ないんだから だめだわ何をです原地とか伊とかかろ日記 とかよ太平器は言いましたがね太平器 なんかだめ暴れがないんですもの徹は食べ ていたものを飲み込んでいったそうです かそうよと服は確信あげに言った服はね 朝顔の日記をずっとかけ続けていって 100年も1000年も後のよに残るよう な立派な物語にするつもりなの私のことが そんな材料になりますかあなたはおになり 方が分かっていらっしゃらないのそれは あなたのことが主になっているけれどそれ も大切だけれどあなたのことを見て書いて いるものの気持ちも考えなければだめだわ だって書いているのはあなたでしょう そんなことお考えになっちゃだめと服は かぶりを振った藤千っていう作者の名が あるでしょうそれは服の画号だけれど服 自身ではないのよああなるほどとは茶碗と 箸を置いた茶をいただきましょう かつまりねこうなの区は食前の上に付近を かけそれを脇へ置き直して茶道具を 引き寄せ勝ってゆかしを取りに行って戻る 間もそして茶を入れて出しながらも話し 続けてい

た要するに1人の娘があって1人の青年を 恋している青年は娘にこされていることに 気がつかない娘は遂げられぬ恋だと知って 一生の思い出にするため恋人の日常を見 それを書き綴るという趣旨だそうであっ たですからさと服は勘で含めるような 口ぶりで言った書いてあることを読み ながらそれと一緒に書いている娘の哀れさ も読み取るのでなければダメなのよ するとトルはよく考えた上のように言った あの日記に書いてある私は私であると同時 に私でなくもあるんですね書いてあるのは 杉浦様のことよだってみんな思い当たる ことばかりでしょ大抵はね大抵じゃなく みんなあったことばかりだわとすると そういかけてトルは急に口ごもった服は 問い詰めたとするとって 何か腑に落ちないことでも終わりになって いや何もトルは微傷していったおかげで だいぶ勉強になりました今度読み返す時に は注意しましょうくも嬉しそうに法演 だその時の会話はトルの感情に深い印象を 残した服の説明をそのまま受け取れば一種 の愛の告白である元より服自身はそれに 気づいていない藤茅という必死の立場で 物語として考え物語として書いているだが そこに描かれているトルの細かな動作や 言葉つきや癖などの捉え方とその追求の ただならぬ熱心さとは決して防寒者のもの ではなく必死の内部にある激しい情緒を 表しているように思えた 余人しなければいけない彼は初めて日記を 読んだ時の自分の心に起こった同様を 思い返しながらこれからは服から遠ざかる ようにしようと思うのであっ た中旬を過ぎたある日安電波郎から来た 手紙に少しでもいいから補助してもらい たいということまた役所の人も会いたがっ ているということが書いてあっ た元に不慮のことがあってから毎月の補助 ができなくなったので安方に詳しい手紙を やり安方からも病むを得ないという返事が あったはっきりとは書いてないが同棲して いる女が稼いでくれるといったようなこと が読み取れたのである安は今でも自分の 住いを隠していい元からの補助を渡すのも 薬上を返して続けられた安は何がしおさと かいう腰抜けの病人が承知しているといっ たし金は待ち客に届けさせろということで あったがそれはふの名に合う後期なので ドルはずっと自分で持っていっ たどうしようトルは今自分が生活するだけ で精一杯し買いたい書物も買えない状態で あった収入は決まっているしそれも常に 平均しているとは言えない出稽古の相手が

これでやめるといえばそれまでである中に は次の稽古先を紹介してくれるものもある が多くの場合誰かの世話を待つより仕方が なかったしかし彼の方が迫している だろうルはそう呟いて富士のために少し ずつ溜めてある小さな銭入れを出してみた これが俺の弱点だなそう思ってちょっと 迷った後いくらかを数えて紙に包ん だ明日の午後稽古に行く先を安梅して徹は 役所へ出かけていったいかにも爽やかに 晴れた日で住の水も住んでいたし小梅の堀 の水も住んでいた枕橋を渡ってすぐ右に 曲がるのだがそこに見をした若侍が5人 ほど立っていて通を見るのり緊張した 顔つきで一斉にこちらを見たたきをかけ 白い汗止めをし袴の桃を絞った彼らの姿と 異常に緊張した彼らの身構えとでトルは 本能的な危険をを感じちょっと立ち止まっ たこちらが立ち止まると向こうの5人は 素早く左右へ開き1人が前へ出た何者だと その若侍が言ったどこへ行くんだトルは 穏やかに答えた悪所だと相手は不審そうに 聞き返した聖所とは何だルはまた答えた 相手は振り向いてのに呼びかけたそんな ものがこの辺りにあるか知らんな聞いた こともないぞ彼らはそれを知らなかった トルは辛抱強く説明したそれが3年前の 震災の時儲けられたこと場所は常仙寺の東 にあり現在でも貧しい商描写や孤児たちが 収容されてい町業の支配によって保護され ているということを詳しくった 馬鹿な話があるものだ聞き終わると彼らは 霊障した日本全体が転覆するかもしれない というのに病人や孤児の世話に暇を潰し 多額の金を使うなどということがあるか こんな時代でも大事と正児の区別の使のや がいるもまなもんだ無知は救えないな どうせ変動する時世に押し流される連中で いずれにせをその力に押し潰されるだけ だろうが押し潰されることさえ自覚しない 連中だ無知ほど救いがく哀れなものはない よとは彼らの記念に区切りのつくのを待っ て聞いた言ってもいいですか念のためにと 始めに呼びかけた1人が言った身分と生命 を聞いておこうトルは相手を見た見のもの にそいない場所から行っても彼らの態度 から押してものだということはほぼお差し がついたそれなら侍の左方ぐらいは知って いるはずであろうこっちの身分や名を聞く にはまず自分から名乗るべきではないか トルはそう思ってちょっとためらったが すぐに思い返して穏やかに答えた浪人かと 言って相手はトルを上から下たまで警部し たように眺め回し唾でも吐きかねないよう に口を歪めた

よは様々だと他の1人が言った今時そんな 人間もいるんだな心あるものは立って酷似 に簡単を砕くべきなのに病人や孤児の面倒 を見る全く救いがいものだトルは木霊をし て歩き出した後ろで霊性の声が起こるのを 聞きながらトルは自分に向かって静かに 微傷し た何かあったのだ見の中で何事かあったの だ成明が幕府から建設されたので水戸班の 内部にある派閥の均衡が破れ新たな勢力が 表面に出たために何か返事が起こったか または怒ろうとしているのであろう俺には 関係がないいずれにしても自分には関係の ないことだとトルは思っ ただがそう思いながら 確かにそうかという疑問が心のどこかに根 を下ろしていいそれが時を負って大きくし に強くなるのも感じていた砂派と金王派と の構想は1日ごとに激しさを増していく彼 らが各々自分の信念が唯一の大義だと唱え そのために自分の一命も投げ出す代わりに 自分に反対するものの命をも平気で奪う そのことに限ればほとんど狂気に近いと 言えるが彼らはそういう狂気に駆り立てた 現実はそこに ある政治が国を納めるためでなく権力の 維持やその争奪のためにあるなら最も多数 の民たちには有害無益なものだ徹は前から そう信じていいこの国における政治が常に 権力の維持と反対者の抑圧にのみ専念し国 全体の利益のためには何もしていなかった し現在王制復興を叫ぶ人たちもまた政権の 交代を目的としていると見られる点が多い ので絶対に政治問題には関わらないという 決心を保ってきたその決心は変わらないし 変わる時が来るとも思わないがそれにも 関わらず海国という大きな変革を目前にし て 多くの青年たちを狂に追いやる現実この国 全体が新しく脱皮しようとしているような 生々しい現実を否定することはできない だろうとすればトルは歩きながら考えた たえ彼らのすることや言うことが強心者の ようであってもその根本は現実と密接に つがっている自分たちはどうだ 自分たち5人は新しい学問に専念すること が最も正しい道だと信じている確かに現在 でも自分はそれが正しいと信じているが 同時にそれが現実から逃げていることには ならないかという不安を感じずにはいられ [音楽] ない依頼師たちはよくわからないが内藤が そう感じ始めたことは確か だ郎の父はする問題のために死んだ公表さ れないから詳しい主体は分からないが横浜

に竜地を設けるという問題で本給し逆上し た相手によって切られたというのが真相の ようであった内藤は狂人の味を父の死と いう事実で知った一郎はそれによって何の 反応も表さないが父の死ということで現実 の情勢と繋がりができたのであり理性では 目を背けるにしても感情ではもうその 繋がりを断ち切ることは不可能で あろう俺たちだけこうしていていいのか現 に血を流して戦っているもたちをよそに 自分たちの学問という殻の中に閉じこもり この激しい暴風雨を避けていていいのか おそらく一郎はそう思うようになっている だろう今自分がそう感じているようにと トルは思っ た役所へついていつものように案内を頼む と顔に見覚えのある少年が走ってきて こっちへ来てくださいと言った今はおば さんはと初年は歩きながら言ったでも話せ ない病人があるんだうんもうずっと前から つきっきりなんだよ坊やとはよく会うな うん俺知ってるよと言って少年は恥ずかし そうな顔をした初めておじさんが来た時俺 やつだった今遠だけどねあの時つきが咲い てたんだよああつばきが咲いてたなあの時 初年はちょっとためなってから行ったおじ さんが俺たちのおばちゃんを連れてっ ちゃうんじゃねえかってみんなで随分心配 したんだうんどうしてどうしてってあの晩 初年はまた口ごったあの番何があったのか トルは優しく促した少年は頭をかきその手 で後ろ首や顔を撫でたおわちゃんがよと 少年は言ったあの晩ずっと泣いてたんだ おいらが見つけてよみんなでおばちゃんの とこへ行って一緒に泣いちゃった だドルは少し間いてからさりげなく聞いた どうして泣いたんだ俺たちはよおばちゃん どこへも行っちゃ嫌だて泣いたげはおば ちゃんに抱きついちゃってさ少年は自分に 頷いたうんおばちゃんはげの背中を撫でた そして俺たちみんなを順番に見てどこへも 行かないって言いながら涙を置いて笑った 俺たちといつまでもいるために悲しいこと があったんだってでももう心配することは ねえっていつまでもみんなのそばにい るってよトルは少年の頭を撫でたああ 思い出したぞと彼は不自然なほど明るい 調子で少年を見ながら言った坊やはいつか 1問送るておじさんを脅かしたことがある そのつきの咲いていた時さそうだろう 少年は顔を赤くしどもった小さあったから な俺そして忙しくトールを見上げながら 言ったもうあんなこと言わないよ俺血も 少しかけるし本も読めるんだ好きじゃない けどさお結構しねとおばちゃんが悲しそう

な顔をするんでさどは大きくなったら何に なりたいわかんねえと言って少年はよく 考えてみそれからまた行っただ本当に わかんねえ大川の先導ならなりてえけどよ そう言うとおばちゃんは決まって悲しそう な顔するからなその時2人は裏庭へ来てい 少年は栗の方を指さしたこっちだよここで 待ってよ上がるんだよと少年が言った 汚ねえとこだけど上がっていただけって おばちゃんに言われたんだよ今日に限って 何だろうドルはそう思いながら少年の後 からついていっ た大きなかのあるガランとした暗いクリア を抜けていくと右側に中上ほどの板の間が ありそこで5人の中年の女たちが野菜を 向いたり切ったりしていたお立たの人だよ 少年は通りすぎてからトルにさえいたあれ みんな金持のうちの女将さんだよトルは 少年をを見返した本当だよと少年は言った みんなただで手伝いに来るんだ魚だの野菜 だの持ってさ歌詞も持ってきてくくれるよ おばちゃん1人じゃ大変だからさ飯の支度 はあの将さんたちがやってくれるんだよ 医者もただで来るのかギアしないよ少年は 軽蔑したように鼻へシを寄せながら首を 降った決まってる医者はあるんだうんに 2人と浅草に1人いて1人が月に1度ずつ 来るんだけどさみなやがってその時は逃げ ちゃうんだよ逃げるってどうしてもう治っ たから出て行けって言うんだ1人では立つ こともできないような病人にもだぜ貴様 たちは女のおを食いもにしているってすぐ に言うんだ女の慈悲にも切りってものが あるぞってさ徹は立ち止まった おさばさん知ってるかいと少年は続けた 弁天おさって言って昔は何かの大子だっ たってそのばあさんだけはともっちゃい ないんだ医者がそんなことを言うとね嫌 なら来るなやれが出ねえから尺に下がるん だろう浮には断れねえもんだからこっちへ 来て当たり上がるてめえたちは医者じゃ ねえ猛者だびた戦にかじりつく猛者だって さおかねかトルが黙って向こうを見ている ので少年もひょっとそっちを見たそこは 広くて暗いどの突き当たりで向こうは廊下 になっているその廊下の右側に水屋のよう なところがありふのナホがこちらへ横顔を 向け何か洗い物をしていた2人のとろから 67件離れているが水屋に的があるの だろう午後の明るい日光が差し込んでほの 姿だけ鮮やかに浮き立たせていたおば ちゃんと少年が呼んだその声は天井の高い 廊下に驚くほど大きく反響しナホはこっち へ振り向いたそしてすぐにたきを外し ながら近寄ってくると釈しながらどうぞと

言ったおちゃん何かよはないかと少年が 聞いたおちゃんを見てあげてちょうだい とほが言った今誰かに泣かされていたよう だから竹のやつだな喧嘩をしてはだめよ しかし少年はもう走り去ってい たトルが刀を取って右手に持ち廊下へ 上がるとナホはこちらへと言って歩き出し たナホの顔色が良くなっているのに気づい てトルはちょっと目を見合った皮膚にも艶 が出ているし方も滑らかな針を見せ紅を 薄く吐いたように血の色が刺してい た安から手紙がありましてと徹は言った安 というのをご存知ですねいえ話に伺った だけでおめにかかったことはございませ んほは廊下を左へ曲がったこれまではも外 で会いほの短い立ち話だけで別れた家の中 へ入ったのはその日が初めてのことである が何かわけがあろうとはトルは考えもし なかっ た安方の手紙にナホが開いたいと言って いると書いてあったのもただそれだけの 意味に受け取っていたのであるが曲がった 廊下の中ほどでナホは立ち止まってドルを 見 た先に申し上げますけれどとナホは食い声 で言ったおいでを願ったのは私ではござい ません水谷様でございますの通るにはその 意味がすぐには分からずイかに名を見 た 水谷と言うと元美様でございますとるは息 を止め声にならない声をあげた水谷さんが ここですかはい7月以来ここで余情して いらっしゃいましたどうしてまた いやトルは驚きのため頭がかとなっただが あの方は小事だったんですねひどい怪我を なすっていて初めのうちは医者もダメ だろうと申したくらいでしたとナフは両手 を胸のとろで握りしめたおそらくその時の ことを思い出したのであろう心を沈める ようにちょっと黙っていてそれから静かに 続け た本上今川町の神兵という飛頭が古文の者 3人と元をここへ 担ぎ込まと銅と足に7か所の傷があり出血 多量のため元は失ししてい た気を失う前にとはをてから言ったその 神兵という人に小梅の役所へ連れて行け名 も身分も言うなこのことは決して多言せぬ ように屋敷へも知らせてはなれぬと 繰り返し押せられたそうでございます役所 では雪田人と同じ扱いで引き取った神米は 八両余り入っている紙入れを渡したがそれ は当人の持ち物だと告げ事情は何も告げず に去っていった呼ばれてきた医者はすぐに 下界をもう1人呼ぶように言い傷の方向に

愛近くもかかった2人とも手当てを終わっ た後とて助かるまと言っていたし5日ほど 経ってこれなら命だけは大丈夫だろうと 言われてからも元は半睡反省の状態が続い たご人品で何かよしある方と見えたの でしょう肝入りの人たちも大切にして くださり治療のためのかなり多な費用も心 よく引き受けてくださいまし た8月の末になってようやく医者の手を 離れたが元は口を聞かず寝床に入ったまま ぼんやりと物思いにふけっているようで あっ た神兵はその後2度様子を見に来たが2度 目に元海から見舞いに来ることを禁じられ たナホは何か死あげに思いただ看護する だけで話しかけるようなことはしなかった 今に自分から言い出すだろうと思っていた のであるが3日前なぜここへ来る気になっ たのかということを聞いてみたその時 初めて杉浦様のことをおっしゃったのです 杉浦様をお呼びするように自分は水谷元と いうものであるとおっしゃいました の杉浦を呼べという言葉はトルの心を 激しく打った元はナホの話を覚えていたの だトルがナホとのことを打ち明けた時 さして関心は持たない様子だったがナホの ことを記憶していてまず役所へ行こうと 思ったのだそして初めて口を聞いた時杉浦 を呼べと躊躇なく言った多分それまで ずっと徹のことを考えていたのであろう そう思うと痛ましさに心を打たれまた深く 感動し たではそれまで水谷さんだということには 気がつかなかったのですね気がつきません でしたとほは頷いた3日前にそう おっしゃった時初めてこの方がお様まで いらしたのかとびっくりいたしました よかったよかった通はいく度も頷いた私は いや私ばかりでなく水谷さんの知遇を得た ものは皆どうなしたのかと暗示ていたの ですではもうお体の方は大丈夫なんですね はいお体の方だけはとほは目を伏せていっ たもう心配はございませんけれどお気持ち の方は何か体操を傷ついていらっしゃる ようで傷ついていると申しては間違って いるかもしれませんけれどまだ熱の高い 自分上元におっしゃることなどを伺ってい ますと主材は何も分かりませんのに私お いわしくって行くたも涙がこぼれました のそうです一口では話せないほどご神辺は 複雑ですしおいしいことが多いのですと トルは言ったでは案内をしていただき ましょうかナホははいと言ってまた歩き 出し たこの家が昔大名屋敷だった頃すき屋にで

も使ったのであろうか元渡り廊下があった と思えるところが飛び石伝になって別棟の 建物へ通じていた 柱も壁もすっかり古び玄関の次の真と接待 と見える座敷もゆいただけで畳みはなく襖 なども張り紙がしてあった一番奥にある 十条ほどの座敷に枕平部を回して元が寝て いたほの心づくしで あろう枕本の漁師やすり箱を備えた机の上 に野の草を投げ入れた壺が置いてあっ た元海は驚くほど痩せていた額や頬の肉が 削ぎ落としたように薄く頬骨と顎の骨が はっきり見えていた髪はまた早発にする ほど伸びていたが口の周りの髭は綺麗に 沿ってありそのために一層痩が目立つよう に思え た入ってきた通を見ると元海は枕の上の頭 を回して頷いて見せそれから名の顔を 見上げ た大きになりますかとナホが聞いた 起きようと元が答えナホは手を貸して 置き直してやった掛けの1枚を折って背中 へ当てがい乱れているエリや裾などをかき あわせまた後ろで髪を束ねた紫色の紐が 少し曲がっているのも直してあったトルは これらのことを見ていながら2人の動作が ごく些細なところまでぴったりと呼吸が あっているのに気づい た60日くらいも看護をしているのだから なほが元の気分や好みをよく飲み込んで いるのは当然であろうごに一度結婚した 経験もある 勘のいい処分の上に病人の面倒を見ること になれているだが2人の呼吸があって 見えるのは元の態度の素直さと自然さに よるようであっ た元は自分の神辺のことに他人が接触する ことをひどく嫌ったお染などでさえ体に 触れるようなことはさせなかった今は条件 が違い人の手を借りなければ寝起きも不 自由なのだろうがそれ以上の何かはっきり とは言えないがほとの間にはもっと直な 気持ちと気持ちとの密接な繋がりといった ようなものが感じられるのであっ たいや挨拶はよしにしようトルが手をつく より先に元はゆっくり首を振った恋には まだ力がないが言葉つきははっきりしてい たひどく騒いだか吉岡さんが横浜から出て きました誰から聞いた横浜で聞きましたと 徹は福井半から一造の聞いたことを語り 一緒に江戸へ出てきてからの主催も話した 小平行の馬場のことは言いたくなかったが 黙っているわけにもいかないと思ったので ある余計なことをする元は舞をしかめたと 言っても石蔵は聞きはすまいがね非常なお

手前でした小谷の道場で免許を取ったと 言っていたからなしかしやはり寄せば よかったそんなことをしても何の役にも 立ちはしないどんな問題でも刀や暴力で 解決することはできないん だお茶を入れてまりますほがそう言って 去った やられた時ここを思い出してね元は去って いく名を目で追いながら行った運ばれて くる年で気を失って頭がはっきりするまで に56日もかかったらしいが初めて枕本に いるあれを見た時これがふの名だなとすぐ に分かった よあなたのことは国にいる自分にも話し ましたからえばすぐに分かったはずですだ は言わなかったと元は言った杉浦に頼み たいことがあるのでやむなく今度だけ 名乗ったが水谷元というなはいや元その ものも抹殺してしまうつもりだトルには その意味がよくわからなかっ たこれまでの生活から抜け出すんだ生活 からも俺自身からもと元は言った相まけに おける俺の立場は知っているだろうそう 負けには限らない今この国のあらゆる犯が 時世の波に押し流されまとしてどっちの側 についていいか迷い金の砂漠のどちらにも 色目を使いながら生き残るために本して いるそれを避難するのではないそれは当然 なことなんだ何百000人という家臣を 抱え殿内の領地を持って安穏に生きてきた その生活の基礎を失うまいとすることは 時世がどう変動するにしても人間として 当然なことだと思うだが俺はそういう騒ぎ に巻き込まれたくないん だナホが茶道具を持って入ってき たナホは元に八東の茶碗を渡してからトル のために茶を入れ用があったら呼んで いただきたいと言って静かに去ったいい娘 だ元海はまた名を目で追いながら感情を 少しも隠そうとせずに言ったここへ来て あの娘の世話になっているうちにあの娘の 立ち振る舞い言葉つきや考えていることを 聞くに従って俺は生まれて初めて人間は こう生きるのが本当ではないかと思うよう になっ たあの娘は誰にも好かれるし誰をも平等に 扱っていると元は続けたこういうところだ から金持ちや裕福なものの来ることはない 皆貧乏だし頼るもののない孤独な人間 ばかりだけれども貧しく頼るものもなく 孤独だという共通点があるにも関わらず 性質は決して一応では ないそれは当然なことだろうだがここでは 単に当然だという以上に各々の小文が むき出しになると元は言っ

たここには各自の生活がない全てを幕府の 切り詰めた予算とわずかな特殊化の寄付に よって賄われているそのため自分たちの 欲求を満たすためには見えも外分もなく 自己主張をする大人しくしていれば衣類に せよ食物にせよみんなの奪い取った残りを 当てがわれることになるそんなことのない ようにナホは随分気も使うし工夫もするの だがほの力でさえどうにもならないことが 少なく ない貪欲や無知や独善がここでは全く むき出しだと元海は八頭をすすってから 言った普通の生活をしていれば世間定と いうものがあるがここには生活もなし世間 もない何をしても人に笑われるという心配 がないから欲望を抑えるという習慣も なくなるのだろう幸い俺はこうして離れた ところにいるが時たま怒る彼らの争いは ここまではっきり伝わってくるくらいだ ナホは決して怒らなかっ た彼らの中には特に貪欲なものや無知な もの独善的な人間がいてしばしば暴力を 振ったり他人のものをかめとったりする 騒ぎはそういう時に起こるし彼らはナホに 訴えるだかほは決して怒ったりばしたり するようなことはないかめ取られたもので 自分の持っているものの中にそれがあれば 黙ってそれを取られたものに 与える食い物でも同じことでそのために ナホは食事を抜くことさえも珍しくなかっ たあの娘ナフはそれをごく自然にやって いる元は目をまっすぐ前方に向けながら 静かに続けた 彼らの機嫌を取るでもなく自身でも天秤で もない貪欲も独善も無知も皆その人の持っ て生まれたものだその人自身の罪ではない というように考えているらしい一道だけだ がナホの口からそういう意味のことを聞い たことが ある元海は次に移る前に悪党の茶碗を盆の 上へ置きややしばらく黙っていた これは頭で考えることはできても現実に あたって理解し理解に従って行動すること は非常に難しいと元は言った自分が殴られ て殴ったのは相手が悪いのではないそんな 風に生まれついたのが不運なだけだこう 考えることは誰にでもできるものでは ない どこかで子供たちの声が聞こえた男の子 たちの完成の中に金属的な女の子たちの声 も混じりそれが一方へ動いたかと思うと次 には反対の方へ遠いていっ た俺はこうして寝ている間に俺自身につい てまた周囲の者たちやお互いの関係につい てゆっくり考えてみたと元ははまた続けた

繰り返し考えてみた上でこれまでの生活や 水谷元であることが無意味であり馬鹿げて いるということを確かめた俺はこの役所で 一生を送ろうと 思う徹はじっと元海の顔を見 たせっかくのお茶は冷えてしまうと元が 言った読みながら聞いてくれそんなに固く なるような話ではないんだトルは茶を すすったそれはもうぬるくなっていたが味 も香りも爽やかであったナホのすることを 見てからそう思ったのではないと元は話を 続けた端で襲われ道の上に切り倒された時 こいつらが悪いのではないと俺は思った こいつらはこいつらで真剣にそうすること が自分たちの義務だと信じているいつか俺 は彼らを狂人に等しいと言った俺は本当に そう思っていたのだしかしそれは水谷元の 考え方であったと元は言った人間には それぞれの性格があるし見るところも考え 方もみんな違って いるが各自の人生を持っているし当人に とっては自分の価値判断が何より 正しい善悪の区別は集団生活の約束から 生まれたもので人間そのものを突き詰めて 考えればそういう区別は存在しない人間の 生きているということが善であるしその なすことも全て善なのだ何をするかは問題 ではない人間が本心からすることは善悪の 約束に反しているように見えることでも 結局は善を表わすことに なるタハを作るためには雑草を覗かなけれ ばならないその雑草を除くという活動は 人間だけに備わった能力でありそこから土 をこやすことや作物を改善するという活動 が 生まれる犯罪者が出れば団生活が壊される そこで前後を表そうとする活動が起こり 生活全体により良くなろうという考えが 生まれて くる分かりきった子供騙しのような例えだ が俺は路上に切り倒され救いのものが 駆けつけてくるまでに死と当面しながら このことを考えたのだと元は言ったこの世 に起ること人間のすることは全て 良い愛したり憎んだり切ったり切られたり しながらそれら全ての経験によって人間 全体が成長していくの だ元はそこで口を閉じ た疲れたのであろうか手を伸ばして枕元の 髪を取り額から両の方口の周りを押しにい その髪を散りかごへ捨て た 俺はここで名もない下男になる元はそう 言って微傷した岩の草もかろ巻もわろかの 下も

たこう俺にできることは何でもするつもり だこの場限りの思いつきではない大川で 切られた時水谷にもみは死んだのだここに いる俺は全く別な人間なんだトルは神戸を 垂れたそれがいいかもしれないその方が元 にとって幸せかもしれない相まけへ戻れば また政治の紛争に巻き込まれる元がどっち へ動いても反対者から圧迫されしばしば命 まで狙われたおそらくそうする方が静かに 暮らせるだろうトルはそう思っ たしかしそれには問題が色々あると思い ますがそうくはないと元が言った本来なら 杉浦にも知らせずこのままここにすみつこ かと思ったのだが傷の手当てなどで彼の 迷惑をかけているし製薬所に割り当てられ た予算が極めて少ないため建物の修理や 備品の調達やその他経費が少ないために 不足しているものが相当あるようだ それで元は後ろへ手を伸ばし小机の上に ある漁師の下から封書をとって道に渡した これは兄に当てた手紙だがこれを持って兄 のところへ行ってもらいたいの だしかし私は分かっている反撃を覗かれた ことは分かっているがその顔を見せれば兄 は必ず会ってくれるはずだと元は言った 両職たちにしても俺の行方が分からずいつ どんなことが起こるかという不安がある から事情を聞かずにはいられないだろう 杉浦を追い返すような心配は決してないと 思うトルは封書の裏を返し新五郎という 署名と顔を見た五郎とは元が親戚に前の 呼び名であっ た承知いたしましたトルは抵当していった 他に何か工女はございませんか必要なこと は皆書いてあるがもし聞かれたら杉浦の 知っていることを正直に話してくれ兄は 了解するだろうと 思うトルは持ってきた風呂敷を開きその 風船をしまってまた包みをきっちり結んだ 気忘れたがと元が言った橋本さはうまく船 に乗れたか船には乗れませんでしたと言っ てトルは事情を語った元は黙って聞いてい たが他の多くの金の葉士たちと同じように 佐内も福井反の手で捉えられ押し込めに なっているようだと言うとその目に深い 悲しみの色を表し たいい大量の強行な弾圧のことは聞いたと 元は言った幕府の権威を確立することと 外国策を伸ばすことと2つの大きな課題を 処理しようとするのだから太郎が強行な 手段を取るのは病を得ない だろうおかしなことだが政治などにはも なく関心もないここの者たちの間にやがて 幕府が倒壊するだろうという考えが広まっ ている幕府が水戸や終わりを建設してから

のことらしい彼らは読み書きもできないが 本能で感じるの だろう理論で判断するよりも帰ってこう いう直感の方が当たるものだとすれば佐内 がクハに捉えられたことはむしろ彼のため に幸運だったかもしれないトルはいかし そうな目をした佐内は顕著問題に 引っかかったのだと元美が言った金の東博 の網にかかったのではないから命の危険は ないだろうあの人物だけは生きていて もらいたいと思うん だトルはそうであればいいがと 将軍の警視問題ではみと終りという徳川家 の審判が建設された福反では橋本佐内を 密かに今へ派遣して頂にまで働きかけて いるその頂に働きかけたという点が見逃さ れるであろう かい見逃されることはないだろう幕府は矢 を放したのだその矢を鶴引き戻すことが できない以上井さと必要な時必要と認めた ところへ込み続けるにそういないにはそれ が見えるように思えたしかし元には言わ なかっ たあれはどうしたトルが帰ろうとした時 思い出したように元が聞いたあの誤想中 脱走した安いとがいう男は 安い電波次郎ですかそんななだったな確か 脱走の時怪我をして足が不だとか聞いたが ずっと補助していただいておりました今 どうしているトルは荒まのことを語った そうだな聞き終わってから元はちょっと 考えていった杉浦には無理だろうしこれ からは俺にも補助はできないもしその気が あるならここへ来て一緒に暮らしたらどう だろうかそれがあまり好ましくない人物 ですから話してみてくれと元美は言った足 が不優では将来もまともに生きることは こなんだろうあって相談をしないかと伝え てくれ彼とは直接に会いませんがそのよう に伝言をいし ます別れを告げると元は小机の上の鈴を 取って鳴らしすぐに返事が聞こえて廊下へ ナホが来た杉浦が帰ると元美が言った送っ てやってください私なら結構です送って やってください元はそう言いながらほの目 をじっと見た2人だけにしかわからない意 のの疎通がその視線にこもっていることを トルは敏感に見てとっ たナホは目を伏せて釈しトルに向かって どうぞと言っ たクリアから外へ出ると秋の午後の薄いた 日差しが庭外れのつきの林をそこだけ 明るく照らし出してい たあの方はずっとここにいると言われまし たが

知っていますかトルは歩きながら聞いた はい咲夜伺いましたご神兵のこともですか いえナフは悲しげに小さくかぶりを振った そんな風に悲しげな表情を見せたことは これまで通るには全く記憶がなかったし彼 は胸の奥に一の痛みに似たような感じを 受けたあの方はとナホは囁くように言った ご自分のことは何もおっしゃいませんわ トルは足を止め感情を抑えた口ぶりで言っ た水谷さんのことは話してありますねどう か大切にしてあげて くださいナホははいと言ったがドルには ほとんど聞き取れなかっ たDET

※毎週土曜夜八時、放映中!です。
 八巻からは、下巻に相当します。

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大変励みになります。

1959年(昭和34年)12月24日~翌年10月31日 『北海道新聞、中日新聞、神港新聞に連載』
 「樅の木は残った」が、毎日出版文化賞を受賞(辞退)。演劇化、映画化、テレビドラマ化がつづき、TBSの「山本周五郎アワー」が人気を博します。脂ののった56才の周五郎が著した、幕末小説。お聴きください。

「樅ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」に続く作品
幕末、東北の小藩出身の青年が、学問の道を志しながら、激動期の日本に翻弄されていきます。
 どう生きるのか? 新しい主義の台頭に葛藤する若者たちの姿を、小説の達人山本周五郎が描きます。
 井伊直弼が大老に就任、安政の大獄へとつながる安政という時代の激震。物語は、安政の大地震からはじまります。
 倒幕も佐幕もない。大きな主義を離れて、自分の生き方をみつめていく、透の生き方には、変革の現代人の心を打つものがあるのではないでしょうか?
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 古い時代の終わりに、自己を確立させようとあがく若者の、成長と青春を描いた清涼な物語。英雄ではない、権力者でもないけれど、生きなければならない、では、どう生きるのか?変わりゆく時代に、変わらない自分を貫くのは難しい。そこに共感がうまれます。
■作者の言葉
「私はこの小説で主役を演ずる昌平黌の学生たちに託して、この『激しい変革』に当面しての不安やおびえや絶望にもめげず、こつこつと文明を開拓してゆく青年たちを書きたいと思います」昭和三十四年十二月十九日。北海道新聞。
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■登場人物
杉浦透……中邑藩士。学問で身を立てることを志す。
岩崎つじ……透と結婚。
杉浦勘右衛門……中邑藩重臣。透の父。尊王派。
杉浦たよ……透の母。
房野なほ……房野又十郎の妹。作田介二郎に嫁すも離縁。透が想いを寄せる。
水谷郷臣……中邑藩主の弟。藩籍におりている。
安方伝八郎……中邑藩士。透の友人。異人館焼討ちを企てる。
並木第六……中邑藩士。江戸詰。
吉岡市造……沼津藩士。郷臣の腰巾着。後に料理茶屋「深川」を開く。
おせん……元芸妓。郷臣にひかされて船宿「船仙」の女主人となる。
岩崎丈左衛門……中邑藩の老臣。つじの父。尊王派。
才助……髪結い職人。
佐伯角之進……中邑藩士。中目付。
松崎かの子……越前福井の人。小太刀の名手。
橋本左内……福井藩士
内藤伊一郎……中邑藩士、科学書窮理通の研究をする
ふく……伊一郎の妹
平石賴三郎……中邑藩士。透の学者仲間。
川上和助……中邑藩士。透の学者仲間。
松浦糺……中邑藩士。透の学者仲間。
大膳太夫充邦……郷臣の兄にして、中邑藩主
仲上藤六……房野なほの婚約者
川口ふみ……透の世話役。川口弥兵衛の女房
磯谷五兵衛……房野なほを江戸に連れ出し世話を焼く。

○下巻
お由……市造おせんのつかう、下女
マルケ……海外の料理人
橋田信十郎……市造の店に盗みに入る。元さむらい。
すみ……郷臣の思い人
大吉……大初の料理人
お初……大吉の妻

■用語集
印伝皮……インデンガワ・甲州(山梨)で400年余の伝統を誇る、鹿革に漆で模様をつける伝統工芸品
うろん……確かでなく、怪しいこと。うさんくさいこと。
禁裡……キンリ・皇居。御所。宮中。
インデペンデンス……自主。独立。独立心。の意味を持つが、ここでは独立記念日の花火をさす。作中では、独立してから、三十数年後となっている。

■この動画の目次
0:00 涼風 1
8:26 涼風 2
16:59 涼風 3
29:44 涼風 4
41:30 涼風 5

#朗読 #時代小説 #audiobook #山本周五郎 #七味春五郎 #音本

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■青空文庫、山本周五郎作品他、著作権きれた文芸多数
https://www.aozora.gr.jp/

1 Comment

  1. ありがとうございました。
    後半部分の沁み入る感情に繰り返し目を閉じて聴き入りました
    自らの仕事環境を照らす上で、静かで大きな考える機会になりそうです😊👍

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