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大林宣彦監督、最後に愛注いだ女優 山崎紘菜 出会いは涙から始まった



大林宣彦監督、最後に愛注いだ女優 山崎紘菜 出会いは涙から始まった

大林宣彦監督は女優を育てる名人だった。小林聡美、原田知世、石田ひかりらを主役に抜擢し、それぞれ異なる個性を開花させた。そして最後に愛情を注いでいたのが、山崎紘菜だった。3月31日、山崎は大林監督の遺作となった出演作「海辺の映画館―キネマの玉手箱」について、朝日新聞の取材に応じていた。
 出会いは2011年、「この空の花―長岡花火物語」。山崎はデビュー間もない高校生だった。「初めてのセリフのある役でした。オーディションでなぜか泣いてしまったんです。それを『いいね』と言って下さって」
 以来、14年の「野のなななのか」と17年の「花筐/HANAGATAMI」、そして今回の新作「海辺の映画館―キネマの玉手箱」まで、4作連続で大林映画に出演している。「海辺の映画館」では五つの役を演じ分けた。ミュージカルあり、時代劇あり。広島の原爆に散った劇団「桜隊」の女優も演じている。
 大林監督は、がんの治療を続けていた。ただ、医師から余命宣告を受けた後に2本の映画を完成させた。創作意欲は最後まで燃えさかっていた。インタビュー時、山崎は「次はどんな役をいただけるのでしょうか。また、楽しみにお待ちしております」と語っていたが、「次」のオファーを受けることはかなわなかった。

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