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【朗読】野村胡堂audiobook 「三万両五十三次 二、情炎編」「一、蘇る情炎」  ナレーター七味春五郎 発行元丸竹書房



【朗読】野村胡堂audiobook 「三万両五十三次 二、情炎編」「一、蘇る情炎」  ナレーター七味春五郎 発行元丸竹書房

著者野村 古藤3万両53次上演 編蘇る 上演 1千出てきなどこへ潜ったんだい えいなんてまけなつなんだろう坂を渡って 小田原の町へ入ったのはもう酔い闇の迫る 頃宿はれの茶店を23元当たった末とある のれをくぐるともう検討をつけたものか れんはこう店の奥へ声をかけまし たまけのつだけは余計だよあどうせいい男 じゃねえがまけやドジじゃねえつもりだ樽 を重ねた影からセの吉だ大きな顔を赤い 明りの前へぬっと出しますなるほどあまり 賢い顔ではありませんが野生と勢力が大一 して油で炒めてすで色付けしたような ものすごい人相でしたまけじゃないかあれ ほど言ったのになんだって目印の傘を外へ 出しておかないんだこの当たり中の茶を 一見けん探し回ったじゃないか大きなつを した虫で手足の長いみたいな野郎が牙し ませんかっておなんて悪い口ださは確かに 外へ立てかけてあったんだ が吉は慌ててのれの外へ首を出しましたが いけね風で吹っ飛ばされてあんなところへ 行っているんだ少しめくった形で23元先 から拾ってきますだからまのおさんこう 言われて文句があるならお所へ言って聞い てくるがいいまいったあご言もねもそう ボンボン言われちゃういいわけもんが 台無しだタガにして勘弁しねえなセムの吉 さもさすがに恐れ入ってしまいまし たところでお前も知ってる通りこれが泉屋 の番頭さんだ今日から道連れになるんだ から面倒を見てあげてくんなそれはもう吉 は柄にもなくにたりと笑って千松を見上げ 見下ろしました下段の姿つの綿入れに小倉 の帯麻裏をつっかけて存分に誇りを 跳ね上げた格好は羽織りを置ことして きらずから夜通し歩いてきた切れ夜郎 みたいな風 です驚いたなバトさんこれでお前さん京都 まで通すつもりか吉は暗しもなく吹き出し てしまいます人様の風を笑いもがかよお前 さんは思いやりがあるなら黙ってかっぱで も立引いておやりなとおれんそいつは行く ね長野道中どこで雨に会うか雪に降られる かわからね贅沢はおいてないお前なんか雨 や雪で痛みつけられる柄じゃねどうもコボ は当たりが強いぜ姉新色でもできそなった のかい馬鹿にしてない新しい連れができた んだからこれくらいポンポン言わないとお かしらの異性が分からないじゃないか なる冗談は冗談としてバトさんがこの長束 じゃ小田原の町へ追い込めはしないなんと

か工夫をしてえりよ吉俺は台の上へ肘を ついて無人の店の中を見しましたここの家 へ掛け合ってみなすっちゃと吉座 ありがたいお前も飛んだ知えもだねその ことそのこと何それほどでもね気取るなよ ところでご亭主きの通りこの人が急に髪型 へ行くことになったんだが急場のことで 支度が間に合わないお前さんのとにある旅 所属をそっくり譲っちゃもらえまか俺は こうさやかな丁場の向こうへ声をかけます ええそんなものはございませんがさっき からの話に驚いている亭主薄はげた頭を 出してまじりまじりしており ます 2もう少し酒行くとご服屋も旅屋も荒物屋 もありますよそこへ行って買い集めなすっ ちゃどうです見の主はこ出しながら いきなり旅束を売れというおれんの望みが どんなに無法でバカバカしいかを思い知ら せるようにくすぶった顔を3人の前へぬ 突き出したのでしたありがとよとさん そんなことは100も承知だがわしはめど くさいことが大嫌いさそれにかっぱや キハンのまたらしいのはあまり自慢になら ないしお前さんも旅人相手の商売だから 知らないわけでもあるまいが大一道中で 馬鹿にされる よその通りですがだから長い短いを言わ ないこととしてお前さんのフルをそっくり 譲り受けようというのさ少ないけれどこれ だけで何とかしておくれよとっ さんオレンは懐の手を抜いて亭主の前へ 開くとチリンとリキが1つ醤油と油で 黒光りのする台になり ますへえ私は入りに来たのでよろしければ ないことはございませんが少しフルー ございますよ待ってください亭主の倉庫は 急に変わっていいと奥へ飛び込みます やがてばあさんを鹿に飛ばして持ち出した のを見ると朝木の毛引きに鉄鉱キハ山の 入ったカのかっぱに太鼓のすげ笠まで添え てあります 傘には住クグと同行3人総州小田原福屋 全米47歳店舗11年夏と書いてあるの ですから亭主が最初出ししぶったのも無理 はありませ ん番頭さん引き抜いてお伊勢参りに負けて 泉屋の行列の止まった宿へ正面から 乗り込むとしよう後地は少し汚いけれど これぐらい時代をつけなきゃお嬢さんの そばへは寄りないよそう言われるまでも なく千松は黙って着替えました抜けまり 江戸を離れてなりができという千柳が教え ている通り江戸からきなしで飛び出して 道中小族に変えることなどは今の人が

考えるほど珍しくも怪しくもあった時代で はありません現に茶の亭主は部に売り付け てあとはそしらの顔に2目の安梅かなんか を見ている様子 ですどこ3人は辛い向きだが47歳は気が さすね吉だせめて傘を変えてやりよと おれんごめんこもろ俺だって四7にはまだ 10いくつ足りねえ吉さはもっての他の 機嫌です贅沢追い出ないお前なら47が 57でも通るけど番頭さんは朝方だから 30の上にはどうしたって踏めないよ大事 の前の商事だ黙って変えておやり俺にこう 言われるとどんな急所があったものか言葉 を返せる吉座ではありません黙って自分の 傘を取り上げると中松の方へポンと放って その代わりに化けそうな傘をひったくる ように取り上げましたそれからとさん わらじを一足負けておくれ帰って古いのが いいよ暗くなってから宿を取るのにま 新しいわらじを吐いているって法はない から ああ1人で歩き出しそうな君の悪い古 わらじでいいとも俺がどこまで行き届くか 分かりません支度ばた出来上がるとレを 戦闘に3人は小田原の夜の町へ出ました おお検討はお前一足先に行ってその辺りを 買いてきておくれ小屋が分かったら冗談に 歩いて旅をする江戸の大長人のご心臓と おれバトとゴスみたいな顔をして乗り込む んだあんまりり返っちゃいけないよ江戸の 大長人はまあいいとしてゴスてのは誰た号 お前さ分かりきってるじゃないか俺の言葉 はいともほがらかでセの吉さも争う余地は ありませ ん3おでんの一向が医へついたのはもう6 つ6時過ぎ一刻も先についた泉屋の行列の ゴタゴタがようやく一通り片付いて人間は 人間荷物は荷物とどうやらこうやら収まる ところへ収まった自分でした おい肉さんこの通り急に大勢様のお泊まり でお部屋がすっかり塞がってしまいました 番頭がびれをして断るのをレんはまるで 相手にしません何を言うのサバントさん 江戸から後先になってきた泉屋のお嫁入り 行列ならそれぞれ60人か80人だろう あれくらいの人数で伊勢屋がいっぱいに なるなら春先の三宮客の多いい時やお大名 の道中が勝ちあって本人から流れ込んでき た時は建て増しでもするのかいとんでも ないご心臓様江戸から伊勢屋を目指してき たんだものそんなもなことを言わずに器用 に止めておくれその代わり部屋の贅沢など は嫌しない付け届けだって自慢じゃないが 泉屋の番頭のするくらいのことはする よそんなに私の顔を見なくったっていいわ

よ姉さかぶりを取ると道中の誇りもとどめ ぬ濡れ場色の胃腸外しかまちへ腰をかけた まま斜めににっこり見上げるとまだ年の 若い番頭は思わずぞっと背筋に寒気を走ら せましたそれほどおレんの言葉には嫌を 言わさぬ熱力があったのですちょいとお 待ちくださいましそれほどまでに おっしゃるなら一応見てまいります番頭は あたふた奥へ駆け込みましたが多分主人と 相談をしたのでしょう2度目に出てきた時 はすっかりご機嫌が変わって何度のそで 暗い部屋でございますがそれで我慢して くださればなんとかならないことはござい ません最後な開けようと思えば開く部屋が あったじゃないかお前さん親切がないと とんだいい客をすところ さそんなことを言いながられんは真っ先に 速たに美しい足を入れ ます通されたのは番頭の言った通り大南度 の横で便所の前番頭もこれは言おとしまし たが冬でもなければとても入られそうな 部屋ではありません結構結構こんな立派な 部屋があるのに客を断るなんてさんは すぎるよ俺はそんなことを言ってすっかり くつろいでしまい ますいま顔を立って俺れには苦手の小兵よ や御用聞きの蒼太がいるはずですがそんな ことに驚くようなおれんではありません わざと世間なみ旅人らしく吉には晩酌まで 当って都を敷かせたのは4つ10時頃泉の 一も日は箱根という気持ちがあるせいか その頃はもうとへ入ってうの旗は酔い ながら深夜のようにふけ渡りますちょいと バトさんれんは長じ1つになってとの上へ 座るとそれを見舞いとするように部屋の隅 へ小さくなっている千代松へ何のこだわり もなく呼びかけ ますお前さん今晩どんなことをする 分かっておいでだろうね塩物はおよそ振り 落ちない顔をしてこの抜け目のなさそうな 寝の顔を見つめまし たお嬢さんにあってなんとか話をつけるん だが部屋は分かっているだろうねいえまあ 豊生な人だね私なんかはこの部屋から2 サド出入りするうちにこの家の中を すっかり見てしまった えここっから廊下を真っすぐに行くと左の 3つ目が番頭の五兵と手代たちさその次が お嬢さんとついてきたゲジ1番向こうの 端っこが小平だこうなっていいのだよ 間違わないようにして おくれ 4俺んの言葉は田心を刺すようでしたいつ の間に見ておいたか分かりませんが うっかり聞くと壁やからを透かして物を

見る能力を持っていそうでこの美しい顔 までがなんとなく不気味になりますその 向こうの廊下の右側は大部屋さ御用聞きの 蒼太を始め江戸から来た人足はみんなそこ に溜まって いるお前さんは小を会いずに隣の難度の中 で待っているがいいその時刻には火の番の ひが通るよそれも戦国番頭から聞いておい たよそんな変な顔をしなくたっていいそう 言われるとそれまでですがおれんの言葉の 恐ろしく行き届くのには舌を任され ますそれから塩のも少し引き入れられ気味 に寒そうな膝を進めましたそこで待って いると潮時を見てお嬢さんが出てくるよ えそんなことがどうして分かるでしょう 分かるよ若い娘が夜中に商用に起きないと いうことがあるものかねそんなこと かそれは嘘だよ実はお嬢さんがどうしても 出てこなければならないようにお間をして あるんだよ俺んは少し得意そうです長じ だけで寒くなったものか開巻を取って ちょいと羽織ると生かしさが一瞬にして 本格的な姉子といった伝法な方に変わり ますほまちないいちいち物々をする子だね そんなに恐れ言ってばかりいた日にはこれ から私と付き合ってると毎日目を回さ なきゃならない よ暴into無人な笑い声は低いが意も 楽しそうにムムした夜の空気を温め ますそれを見上げると千松の目はもう動き の取れない共々にまくのさえ忘れたよう です種明かしをすると廊下でちょいとお嬢 さんに書いたものを渡しただけの話さ若い 娘が暗い廊下で男の手から物を握らされる と大概悲鳴をあげるに決まったものだが女 同士ならどんなに間違っても睨みつけ られるくらいがせいぜさありがたいことに あの娘は見かけに似合わず肝が座っている しそれにこの源が嫌で嫌でたまらないんだ から知らない女の手紙だって受け取らな いってことはないよば首の座に治る前だ ものあの娘は喜んで私の手から手紙を持っ ていったから受け合い1人で読んで指しず の通り根のこには何度の入口に立って まじまじしているよレんの言葉は名称が 計りことを巡らすようで少しの義も挟ませ ませんそんなことは分かるでしょうか 分からなくてどうするものかお前さんは アドの家に育ってお客の言葉や顔色で 気持ちを察することができるだろうそれは もう 慣れた商売人から見れば買う客と買わぬ客 がよく分かるように私から見れば素人ほど 甘いものはないお嬢さんは間違いなく来る よ毎日来なかったらお嬢さんの代わりに私

がお前の嫁になってあげても いいまともからふんふんたる怪しいどけ 千松はそれをあげて煙でも払うようにそれ を払いのけるのでした 俺はそれを面白そうに見合ってしっかり よしよお嬢さんにはまだ脈があるんだあの 女は傘にかかっていくに 限る死んでくれとか逃げ出そうとかそれで 行かなかったらぶち殺すとかお前さんの方 から精いっぱい脅かしていって ごらんそれができなきゃ諦めて江戸へお 帰り俺の下が次第にこの千松の弱い性格を 鞭打っていくのはイよがありませ ん5嬢様どこへいらっしゃいますあのあの お蝶はゼクしてしまいました同じ部屋に 止まっている下女の奥目が健康そうな いびきを書き始めたので床の上へ座った まま長板の上へ合わせを羽織って足並みの 帯まで閉めてそっと抜け出そうとする ところを後ろからぴたりと裾を抑えられた のでした嬢様このくに隠してどこへ いらっしゃるおつもりでござい ます18巻の大女まだ24後でしょうが 白像のような感じのする曲を起こして 寝巻きの前のはかるのも構わずとの上から 畳へにじり出ましたあのご条へご府条へ いらっしゃるのに帯まで閉めていく方が ありますかお嬢 さん私はここお嬢さんの旅の供をしておネ のお世話までしてあげるようになるまでに どんなに骨を折ったことかお嬢様もご存知 がないはずがございません江戸立つ前の晩 何度の番をして番頭さんに盾をついたと いうので私はもう少しのところでお供の 人数からのけ者にされるところを嬢様の身 に毎日の間違いのないよ命に変えても 見張りますと一晩ないてお願いして ようやく供の叶った私じゃございませんか それそれに奥目は身にすまされてシクシク と泣きだしてしまいましたお蝶は少し もやし気味でそのまま後ろを向けたまま 崩れ落ちた花のように畳の上へ座って しまいました補様に間違いがあれば今度 こそ私の命はございませんあの小ゆの旦那 がお腰のものをひねくり回しながら何べも 何べも年をしたくらいですからもしもの ことがあれば旅の空で私は切られて死んで しまい ますそれも構いませんどうせ私のような ものが死んだって生きたって毒な鳥も なきゃしませんが私の寝を見て抜け出す ようなお嬢様のなさることでいちいちとめ られては私も浮かぶせはございません奥目 はあたりをはかる声ながら畳を叩かない ばかりにの方へにじり寄りました大日階の

圧迫にお蝶のキシな体が押しつぶされそう で見るものがあったら飛び込んで押し 立てる気になったこと でしょうなぜこうこと打ち明けては くださいませんお嬢様次第によっては私の 命などはのしをつけて差し上げます補嬢様 が身にもよにも変えがたいことがあって どうかなさろうというのを命が惜しさに 止めるくではございませんお嬢様隠しだて なさろうとするお嬢様のお心持ちが恨みで ございます奥目はたった3つの赤ん坊の ようにお蝶を引き寄せて抱き上げようとし ましたその無知な一本上司な女は美しい 主人に対して主義とも由ともともつかぬ 不思議な熱を持っていたの ですめ管にしておくれ私が悪かったお蝶の 体が座ったまま後ろへ振り向くとその 悩ましいポーズのまま奥目の盛り上がった 懐へ何の遠慮もなく身を投げかけるのでし た女様女様晴れほ気になっちゃう奥目は 物慣れたUBのようにその信じのような涙 を吹いてやりながら少し歪んだお蝶の赤い 唇にそっと触れてやりたいような悩ましい 母性的な誘惑を知りとけるのに骨を折ら なければなりませんでし たくやこれを見て おくれお蝶は任せきった様子で帯の間から 小さいびを出してそっと奥目の手に握らせ ます 6それはなんでございますお嬢様奥目は ありがたいごふでもいただくように 恐る恐る分厚な手のひらを出しまし たどこの方か知らないけれど綺麗な女の人 が廊下でそっと手渡したよ怖いと思った けれど受け取って読んでみるとこんなこと が書いてありました女様この女は色葉の 命字も読めないことをお蝶はようやく 思い出してその手のひらの上から結び踏み を取るともう一度心をせわしく結び踏みを 解きましたそれがねくよ大変なことが書い てあるんだよ へえ大変とおっしゃるとお蝶は阪2枚ほど の手紙を膝の上に乗せて丁寧にシを伸ばし ながら千松が晴れから死のうとしたんだっ て えあの臆病な男が夢中だったんだね本町の 家の裏口の針へ紐をかけてもう少しで息を 引き取るのそこへ行き合うの人が助けたん だってへえそれから色々言い聞かせると 今度は思い直して命にかけて私を横取り するつもりで江戸から私たちの後を追って きたんだそうだ よ野に寝たり山に寝たり人ののき派に寝て は叩かれたりこの寒空に着流しのまま造り を吐いてこの行列を追っかけているとこう

書いてあるよそれは俺が上の文句を借りて 書いた一世1台のイチな名文と気がつか なかったがお蝶はすっかり引き入れられて こう読み続けながらもつい涙声になるの でした ま奥目も体に似合わずセンチメンタルでし た後を促すようにお蝶の背をさすって濡れ た顔を差しのきますそのく千松は私からた 100両の金には手もつけずたった2部5 種53問のお宝で京都までもから天軸まで も行こうとしていいのだとさ私から預かっ た金へ手をつければ手切れ金を取ったも 同様だからこのまま縁が切れるかもしれ ないとそればかり心配しているとも書いて あるよまあかわいそうにだからこのままっ ておくと千松はに死んでしまうかも しれ ないかわいそうだと思うならそっとあって 別れの言葉なり慰めの言葉なりをかけて やってくれ今晩コのにはすぐそこの大など のそばにいるはずだからとこう書いてある よ奥目はもう簡単の声さえ飲んでシクシク と泣いておりました歌舞伎とが醸し出す 桃色の空気の中で育った手中2人の娘は こんなにたいもないロマンティストであっ たことに何の不思議もありませんねくや私 言ってやってもいいだろうほんのちょいと 千松にあってなめるものならなめ諦め させるものなら諦めさせてやりたいそうで もしてやらなければあんな気の小さい男が そこまで思い詰めたんだものどんなことを するかもわからないだろうええ補助様お前 に言わないのは悪かったけれどそんな暇は なかったんだもの管にしておくれくやそれ はもう女様少し顔をかげてご機嫌を取る ように下から覗きあげるお蝶の可愛らしさ を見ると奥はもう一度抱き上げてほりでも したいような猛烈な衝動を感ずるばかり です言って会ってやってもいいだろうくや ええそれはもうお嬢様この中物は自分の首 とすり替えの冒険にさらすことも考えずに お蝶の気まぐれな望みを遂げさせてやろう としているのでし た 7こうなると帰ってお経の方がしりごみを しました自分の勝手な行いが1つ間違うと 奥目の首にもかかりそうな形成を見ると わがままとむきと共と愛嬌とめちゃめちゃ に振りまいてきた宇宙でもさすがに遠慮と いうものがありますそれにこれは大事な ことですが言ってもいいと言われると今度 はお蝶の自の方がお冠を曲げそうになった のでしたお嬢様言ってらっしゃいましそう ことを分けておっしゃってくだされば 決して立てするくではございませんでも

言ってらっしゃいましとも千松にあって よく訳をおっしゃってあくれのないように 諦めさしてやってください ましでもお蝶は拗ねるともなく背を向けて 首をかげてのよく太った膝へ右の腕で グリグリよやっているのでし たここから帰れば江戸へは2日時に大旦那 様へお詫びが叶わないというほどの日数で もございません番頭さんが留守の方が何か と都合もよろしくござい ましょうお嬢様のお顔さえ見ればあの千松 のことですもの逃げるの死ぬのという 気遣いはございません 奥目は順々として解きましたお蝶の 思い立ったのを邪魔して泣いたり口説い たりした埋め合わせのつもり でしょう後ろから襟を直してやったり瓶を 撫でてやったりとうと脇の下から両手を 入れて安よは上手をする時のように少しす 気味ながら咲きこぼれるような美しいお蝶 をカガと起こしてやるのでした でも毎日お前が殺されては悪いそんなこと がお嬢様お前が切られたらどうしようお蝶 はだっこのように畳の上へ滑り落ちてもう 廊下を振り向いても見ようとしません 大丈夫でございますよお嬢様小の旦那だっ てむやみに人を切るはずもなしそれにお嬢 様が逃げも隠れもどうもなさなければ小の 旦那だってまさかニジやごぼうに人をきり もしないでしょう言ってらっしゃいましお 嬢様奥目は少ししつこいくらいに進めまし たがお蝶は畳みの毛羽をむってもう一寸も 動こうとはしません散々意見をされた上 あびのやり直しなどが気のまさった娘に できることかどうか若くて娘らしさを失っ た奥目は考えても見なかったの ですしかしお蝶の悩ましい様子は奥目を すっかり苛立たせてしまいましたそれでは こうしましょう私が出て行って塩松を読ん でまいりましょうここでお会いなさる方が 廊下や難度よりは寒くないだけでも よろしくございましょうお待ちなさいまし あれめそんなそんなことをしちゃ悪い 娘の名前それは旅館の2階の下女と枕を 並べた場所であるにしても若い男を呼び いれるということはお蝶にしてはとても たまらない冒涜だったのでしょうその方が どんなにいいか分かりはしません私とした ことが本当に気が効かないあれくやこんな ところへ人を入れちゃう構しませんお蝶と くの心持ちはどこまで行ってももちぐはぐ ですお待ちよくやいいえお嬢様あたりを はかる声力ずくでは争うことも阻むことも ならぬお蝶をかいやるように奥目は とうとう部屋の外へあたふたと飛び出して

しまいましたはあお蝶はどんなに悲しかっ たでしょうせめてものを乱しなみエリを きわせて生暖かそうな赤いを生めかしく 見せた夜のものを手早く折り返して 冷え冷えとした畳の上やせない膝を折り まし た 8有明の安藤のそばへ冷たく座ったお蝶の 耳へ18巻の大日階が廊下の板敷きを きしませて去るのがはっきり聞こえました それからだけ立ったことでしょう本当の ところは物の100とも数えるほどは立た なかったでしょうがお長の心持ちでは 半時いやどうかしたら一時も立ったような 恐ろしい街通しさですもうこっきり奥目も 千松も来ない方がいいお蝶は何べもそう 思いましたどんなに息を殺しても平手で ぎゅとさえても左の父の下で盛り上がる ような鼓動が早を打つように全身に響き 渡り ます やがてしもり返った廊下へ大南土の方から 近づく足音が聞こえましたそれは奥目が出 ていった時とは全く違ったリズムで明らか に複数に聞こえるのがどれだけお蝶の耳に 恐ろしく響いたことだ でしょう日頃は歌舞伎芝居の濡れ場のよう な甘い夢ばかり見ているお蝶ですが奥目 より他には頼るものもない旅の空でいく人 かの命をかけての歩引きをすることが さすがに娘心を転倒させたの でしょう江戸を立つ前の晩泉屋の南道で あって夢心地に夜逃げの相談をした時と 違っておちは近づきつつある恐ろしい運命 の圧力に身の毛のよつような恐れを感ずる のをどうすることもできなかったの です命を刻むような4つの足音が次第に 近づくのを聞いていると狭い廊下を1つ 減った右隣の五平の部屋へまっすぐに 駆け込んでしまおうかと言った不思議な 臆病な心持ちにもなりますが一方にはは また命がけでしんでくる千松の焦れ抜いた 姿に対する焼けつくような好奇心が1度は 浮き腰になった娘をもう一度畳の上にしか と釘付けにしてしまったのでし たけれどもたった1枚2人の隔ての商事を 開くと事情は何のこだわりもなく極めて 自然に解決してしまいました お嬢様連れてまりましたそよめその後ろに もじもじする千松の手を取ると何の手加減 もなく黙ったままお蝶の方へさっとついて やったのですお嬢様 千松アドの中に2人の顔が合うとたった これだけを言うのが生ぜでし た奥目が苦労するまでもなく次の瞬間には

2人はもう手を取り合って冷覚と泣いてい たのですお前はお前は女 様お蝶はたり寄せるように男の体に すがりつきましたもめん物のお敷は すっかり誇りにまみれて旅に苛まれた神形 も見る影もありませんが生まれつきの 不思議な美しさはヤギスの体にも青ざめた 顔にも残ってお蝶の幻想を壊すほどになっ ておりませ んお前は苦労したんだってねお嬢様千松の 目の前には泣き濡れた黒い瞳と探りよる娘 の赤い唇が2つのグミのように悩ましく 動き ます清松は乙女の飽満な大衆にむせかって 急には受け応えの言葉も浮かびません しばらくはほとばしる互いの熱病に浸り 切って夢のような時を過ごすだけでし た奥目は後ろ手に生子を締め切って冷たい 廊下の外にしょんぼり立ちました江戸では 愛そづかしをしここでは尻込みをしたお蝶 が思いの他熱的に見る影もない千松を迎え たのでほっと安心をするというよりは迎 すかざる娘心の同様に少なからず面食らっ たのでし たこんなはずがあるだろう かいやこんなバカなことがあるわけはない 行くたも自問自しましたがいつまで考えた ところでには分かりそうもありませんでし た 9一度は千松の臆病に愛をつかして死んだ 虫ケラのように顔を背けたお蝶ですが自分 の跡を追いすがって気流に造りを吐いた まま京都までも追っかけそうな様子を見る とやせない恋さが燃えさかる炎のように 蘇るのをどうすることもできなかったので お蝶は結局自分の生活を全てお芝居にし なければ我慢のできない下町娘でしたその ために自分はホトトギスのように切られて も浦里のように責められても朝顔のように 目を潰してしまっても本毛だった でしょうとにかくその相手に選ばれるのは 弾力のある少し無分別な死ぬことを何とも 思わないそして美しい男でなければなら なかったの ですお尚は臆病で感情高いただの千松が 自分の幻想を打ち壊すと何の未練もなく 捨てましたが自分の後追っかけてきた 千代松詳しく言えば首吊り縄の洗礼を受け た千松はもはや3日前の千松でないことを 発見してどんなに驚きもし心強くも思っ たこ でしょう塩松はもう臆病な虫ケラでも感情 高いただの手代でもありませんでし たそれはあえてお蝶が望んだようにいつで も命を投げ出してお蝶のためにはスカの中

へも飛び込んでくれる立派なけれども 無分別な恋なナイトになりきっているの でし た手を取り合って顔を見たばかりでお今の 敏感な神経は千松の心の中に起こったこれ だけの変化を感じすぎるほどよく感じまし た千松の疲れはてたキシな体はお蝶の腕の 中で火のような情熱に燃え下がってきたの ですお様逃げましょうえお嬢様ここから 抜け出して夜子で精一杯飛んだら世の明け ぬうちに里は逃げられ ましょうどこへ行くつもりだえお蝶はそれ でもほんの少したじろぎました外の寒そう なのを考えると情熱は情熱としてもさすが に道行きも気がくじけないではありませ ん血石しをこすには切手がなし江戸へ帰る のも知恵がなさすぎます幸い総州厚木には 私のがいるはずですからそれを頼ってまり ましょうもう10年も合わないばですから 力になるかならないか分かりませんがその 代わりお手がかかっても検討をつけられる 心配はございません小田原から厚木なら 引き返しても1日旅ですそれじゃ千松お 支度をなさいましお前は私このままでも 構いません2人の相談は正直の外へ筒抜け に聞こえ ます驚いたのは下女の奥目でした自分の首 をかけるような大それた相談をまごの献立 でも決めるように決められてしまっては 奥目の立場がなくなってしまいますお嬢様 それはお約束が違います我慢のできなく なった奥目はとうとう境の生子を開けて しまったのでしたあく若い2人は必死と 握り合った手を熱湯の中から引き上げる ように大急ぎで振りほどいて飛びのきまし たお嬢様それではくがかわいそうでござい ますお嬢様が逃げたと知ったら小の旦那は 私を生かしておくことはございません奥目 にしては2人が潔よく別れるように最後の 機械を作ってやるつもりだったのですが 予想すっかり裏切られて自分の首だけが 恐ろしい危険にさらされることになっては 我慢ができませ んくやお前も一緒にお逃げよ千松が厚木に おばさんがあるそうだからお蝶はしかし何 のこだわりもなくこう言って途方にくれた 奥目の顔をよにも腑落ちぬ様子で眺めやる のでし た

1.愛憎篇朗読まとめは、こちらです。https://youtu.be/_YfIe1PZpCk
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昭和27年作品に、大河内傳次郎主演で映画化された同名映画の原作!
 時は幕末、黒船が来航した、安政五年から物語は始まります。時の老中堀田備中守は、「日米通商修好条約」締結のため、京の都へ三万両をおくる。
 主人公の馬場蔵人は、倒幕派の武士、三万両を狙う怪盗たちとたたかいながら、一路京都をめざします。
 東海道を舞台に上を下への大騒動が実に面白い。お聴きください。

三万両五十三次は、一年半の連載(1932年3月から 1933年8月にかけて)をおえると、中央公論社から函入り上製本 上下巻(湊書房版は 全5巻、中公文庫版の全4巻版もある)で刊行されました。昭和9年のことです。ちなみに銭形平次の連載は、昭和七年にはじまり、当時務めていた報知新聞に長篇の連載を依頼されました。

■登場人物
馬場蔵人……本編の主人公。四十二三才。
小百合……父山際山左衛門を上意討ちされたため、蔵人を仇とねらう
茜の半蔵……山際家の老僕。小百合を助ける金五郎の父。
南郷小源太……真四角虎ひげ
矢柄城之助……色白の美男
真琴……矢柄の妹
伝次……小源太家来。岡っ引きだが、渡り中間に変装。異名は二面
作良軍之進……倒幕の志士
進藤晋……倒幕の志士
今宮八郎……倒幕の志士
お蓮……伝次に姉御と呼ばれる。謎の女性。陽炎のお蓮。殺人を好む。

牛若の金五郎……泥棒の親分だが、殺しを厭う
ノッポ竹……お蓮に惚れている
藤次……猩猩、四十六七になる、小頭格
丑松……奉行所の手先
吉三……背虫、ながら、夜目も利くゴリラのごとき長い腕と怪力を誇る
小動平太夫……与力
堀田正睦……幕府閣老
植松求馬……家老
文治……金五の子分
お蝶……和泉屋の令嬢
千代松……和泉屋の遠縁。手代。
五兵衞……和泉屋番頭
本庄左次郎……蔵人の添え役
桃々斎桃吉……講釈師の小僧

■用語集
飛白……カスリ・かすったようにところどころに小さな模様を出した織物。またその模様。
権助……ゴンスケ・江戸時代の下男に多い名であったところから。下男、飯たき男。
洗足盥……センソクタライ・よごれた足を洗うのに用いるたらい。
九つ……子の刻、十二時
科人……トガニン・罪を犯した人。罪人。
蓮っ葉……ハスッパ・女の態度や行いが軽はずみで下品なこと。浮気で品行のよくないこと。そういう女。

■2.情炎篇 目次
0:00 蘇る情炎 1
4:46 蘇る情炎 2
9:36 蘇る情炎 3
14:18 蘇る情炎 4
19:05 蘇る情炎 5
24:02 蘇る情炎 6
28:56 蘇る情炎 7
33:36 蘇る情炎 8
38:59 蘇る情炎 9

#野村胡堂 #三万両五十三次 #朗読 #時代小説 #七味春五郎 #audiobook #音本

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七味春五郎はこちらです
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